騎士の盾からヒントを得て、未来のデザインのシールドを纏う

「ニッサン アリア コンセプト」-EV新時代における技術とデザインのルネサンスー

2020/03/12
  • クルマ・技術
facebook
X
linkedin
mail

自動車の主要な部分は、100年以上変わらずにいました。しかし、電気自動車(EV)が量産される時代となり、デザインや、私たちの生活とのかかわり方を、大きく変えていく可能性が開かれました。

EVは自動車業界の共通言語も変えていきます。日産は、昨年の東京モーターショーで「ニッサン アリア コンセプト」を世界初公開しました。シンプルでありながら力強く、モダンな外観で「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」を表現する「ニッサン アリア コンセプト」は、フロント部分にフロントグリルではなく「シールド」を備えています。

「ニッサン アリア コンセプト」は、日産のデザインのまったく新しい方向性を示しています。先進技術を搭載し、高級感のある広々としたインテリアとピュアでクリーンなエクステリアは、EVならではのものです。そして、エンジン冷却用のフロントグリルを必要としないEVだからこそ、「ニッサン アリア コンセプト」に特徴的なVモーションデザインと「シールド」を創出することが可能になったのです。

かつて戦闘時で使われた盾は、頑丈な素材に威信と力強さを示すデザインが施され、機能とデザインが融合していました。「ニッサン アリア コンセプト」のシールドも同様に、その役割はフロントグリルの代替に留まりません。デザインが印象的なだけでなく、その内側には最新の先進技術を搭載しています。

「従来のフロントグリルを3Dの幾何学模様を組み込んだ革新的な『シールド』に置き換えることにより、周囲の交通環境をモニターし、ドライバーにインフォメーションを提供するテクノロジーを際立たせたかったのです。」とグローバルデザインを担当する専務執行役員のアルフォンソ アルバイサは述べました。

先進技術と日本ならではのデザインの融合

「ニッサン アリア コンセプト」には、EVだからこそ成立し得るデザインの自由度を極限まで追求しました。新開発のEVプラットフォームによって、デザインにおける機能上の制約がなくなり、各部位に対して全く新しいアプローチが可能となりました。

内燃機関車のフロントグリルには、これまで様々な形状が採用されてきましたが、エンジンを冷却し、飛び石の侵入を防ぐという機能を持たせる必要があるため、デザイン上の制約が常に存在していました。

「ニッサン アリア コンセプト」はエンジンを搭載していないため、内燃機関車におけるフロントグリルは必要ありません。デザイナーはそのスペースを活用することで、これまでにないフロントマスクを実現しました。「シールド」には、日産が持つ日本のDNAを感じさせる新しいEVを表現するため、日本の伝統的な幾何学模様を取り入れました。

「『シールド』の表面は、静かな水面のように滑らかです。そして、その下に組子模様があります」とプログラム・デザイン・ダイレクターであるジオバーニ アローバは述べました。

この滑らかさを実現するためには様々なチャレンジが伴いました。アローバとデザインチームは、素材の厚みをはじめ、組子模様を生み出す塗料に含まれるメタリックの微小片の量まで、「シールド」をつくりあげるためのあらゆる要素について検討を行いました。

「シールド」とその内側にある先進装備を厳しい気象条件や飛び石などから守るため、クルマのヘッドライトカバーと同様に耐久性が高いポリカーボネートを素材として採用しました。そして、デザイナーは耐久性の高さに加え、空力性能に優れ、「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」を反映した美しい「シールド」のデザインを目指しました。

「もちろん、もっと直接的なアプローチを取ることもできましたが、目指すスタイリングと機能的な要件の間で真のバランスを取りたかったのです。」とアローバは述べました。

近未来の現実に根差したコンセプト

「ニッサン アリア コンセプト」は、クルマの電動化や知能化によって交通事故や交通渋滞、排出ガスなどの問題を解決し、あらゆる人にシームレスな移動体験を提供する「ニッサン インテリジェント モビリティ」のビジョンを体現しています。そして、日産の新しいデザインフィロソフィによって、安全やコネクテッドカーなどの先進技術やヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)、そして日本的なミニマルなアプローチを融合し、お客さまのライフスタイルにシームレスにフィットするデザインを実現しています。

「ニッサン アリア コンセプト」の「シールド」は、デザイナーが着目した要素の中で際立った存在です。「ニッサン アリア コンセプト」は今すぐにでも東京やロンドン、そして世界中の街で走り出しそうに見えますし、実際に走り出したときには、最新の運転支援システム「プロパイロット 2.0」や「e-Pedal」、電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」などの真価が発揮されることになるでしょう。

これまでのコンセプトカーは、未来を視覚化するためのツールでした。しかし「ニッサン アリア コンセプト」はそれだけではなく、未来の日産車がどのような性能を持つかということも表現しているのです。

ストーリーをシェアする

facebook
X
linkedin
mail

最新の日産ストーリーを受け取る

最新の日産ストーリーを受け取る

関連ストーリー

2020/06/04

e-4ORCE:電気の力で運転を変える

  • クルマ・技術

2020/04/03

日産はなぜタブレットにしなかったのか

  • クルマ・技術

おすすめのストーリー

2024/08/27

品質へのこだわりが「INFINITI QX80」の生産チームの原動力

  • クルマ・技術
  • People
  • ものづくり

2020/07/15

新しいブランドロゴが、日産の新たな地平を開く

  • クルマ・技術

2023/02/08

移動だけじゃない!EVで給電も節電も防災も

  • クルマ・技術
  • 社会貢献