今、世界中が気候変動問題に直面しています。中でも大きな影響を与えているのは、日々のさまざまな活動の中で排出されるCO2をはじめとする温室効果ガス。その排出を減らすためには、私たちの生活そのものを大きく変えていく必要があります。その解決策の一つとなるのが電気自動車(以下EV)です。EVは、エンジンがなく電気の力だけで走るため、走行時にCO2を排出しないことは広く知られています。しかし、その可能性はそれだけにとどまりません。EVは、さまざまなモノとつながって双方向に充電や電力供給をすることができるため、いわば「移動可能な蓄電池」となります。また、自宅の太陽光パネルと組み合わせることで電気代を節約できたり、電力の需要が高まる時間帯にはEVから電力を供給したりと、EVは社会の進化にますます欠かせない存在になってきているのです。
クルマをつなげて広げる!「V2X」とは?
クルマとさまざまなモノをつなげる技術やシステムなどを総称して「V2X( Vehicle to Everything )」といいます。V2Xとしてできることの一つが、双方向に充電や給電を行うことです。具体的には、クルマと家がつながるV2H(Vehicle to Home)、クルマとビルや事業所がつながるV2B(Vehicle to Building)、クルマと電力網がつながるV2G(Vehicle to Grid)などが含まれます。
EVと住宅をつなぐ
多くの方にとって一番身近なV2Xの例は、クルマと家をつなげるV2Hかもしれません。例えば、家族が職場や学校から帰宅する夕方、電力を多く消費するエアコンなどの電化製品を使う際は、EVから住宅へ給電します。そして、あまり電気を使わない夜間に、住宅の電源を使ってEVを充電します。電気代が割高な時間帯はバッテリーに蓄えられた電気でまかない、電気代が割安な時間帯にEVを充電するので、コストの節約にもなります。
EVと電力網をつなぐ
クルマと電力網をつなげば、電力需要のピーク時にEVから電力網へ給電し、電力需要の低い時に電力網からEVに充電することが可能となり、需要曲線の平準化ができます。クルマと電力網がつながることで、事業者の安定した電力供給をサポートすることも可能です。また、EVに蓄えた電力を事業者に販売する「売電」によって、例えばEV所有者はドライブ先での駐車場代をまかなうことも可能になるかもしれません。
蓄電池としてのEV
晴れた日に太陽光発電を行って、余剰電力が生まれた場合は、その電力をEVのバッテリーに溜めておくことができます。
この蓄電池としてのEVの機能は、「動く蓄電池」として自然災害や停電の際にも活躍し、消防や警察などが行う緊急対応の活動支援にもつながります。
日産の取り組み
日産は、世界各国でV2Xの活動に取り組んでいます。ここでは、具体的な取り組みのいくつかをご紹介します。
グローバルな取り組み:
- 日産EVオーナーが、バッテリーの蓄電・放電機能を活かし、家庭や企業、さらには電力網にまで給電することも可能にするソリューション「Nissan Energy(ニッサン エナジー)」を発表。
- 家とクルマの間で電力を相互供給できるような社会を目指す「Nissan Energy Home(ニッサン エナジー ホーム)」のデモハウスを公開。
日本:
- 日産が電気自動車の普及を通じて社会の変革や地域課題の解決に取り組む日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」の活動が200件超に。
- 「ブルー・スイッチ」プログラムにおいて、「日産リーフ」のバッテリーが、災害地でボランティアセンターの電源確保を支援。
- EVを活用したV2Bによるオフィスビルでの夏季ピークカット実証実験。
- 関係会社と協業し、蓄電式充電ステーションとカーシェアリング用EVによるV2Gの実証プロジェクトを実施。
- コンビニエンスストアや自治体と提携し、台風15号の影響で大規模な停電が続いた千葉県内の避難所や福祉施設で「日産リーフ」を動く蓄電池として活用。
- 体験型エンターテインメント施設「ニッサン パビリオン」で、EVからカフェに給電。
- 以下海外事例のリンク先は英文のみ。
タイ:
- エネルギー当局と協力し、「日産リーフ」を用いたV2Gエネルギー変換の研究を実施。(リンク先は英語のみ)
オーストラリア:
- 政府の実証実験に参加し、実社会におけるV2G技術をお客さまに披露。(リンク先は英語のみ)
- 「日産リーフ」のオーナーが、世界で初めてV2Gを利用。太陽光発電の余剰電力を販売して、夜間の電力使用料金をオフセット。(リンク先は英語のみ)
アメリカ:
- EVバッテリーの蓄電・放電機能を活かした電力供給プログラムのパイロット試験をカリフォルニア州とテネシー州で開始。(リンク先は英語のみ)
- V2GサービスプロバイダーのFermata Energy社と協力し、「日産リーフ」オーナー向けに双方向充電の承認を取得。(リンク先は英語のみ)
イギリス:
- EVによる電力網サポートのソリューションを実証。ビジネスフリート向けに20台のV2G充放電スタンドを設置。(リンク先は英語のみ)
- 日産、E.ON、インペリアル・カレッジ・ロンドンは、CO2の削減と経済的利益をもたらすV2G技術の可能性を発表。(リンク先は英語のみ)
- 自然災害時に電気自動車の大容量のバッテリーから非常用電力を供給できる、災害復旧支援を目的としたEVのコンセプトカー「RE-LEAF」を発表。(リンク先は英語のみ)
ドイツ:
- EVと住宅と電力網をつなげる日産「i-rEzEPT」プロジェクトが始動。(リンク先は英語のみ)
ポルトガル:
- プロサーファーのサステナブルな生活を「日産e-NV200」で支援。(リンク先は英語のみ)
ナミビア:
- 持続可能な開発と生活の質を向上させる国連のプログラムに、「日産リーフ」2台を寄贈。(リンク先は英語のみ)
日産のEVに搭載されたバッテリーの蓄電・放電機能を活かし、EVの魅力をさらに向上させるソリューション概要については、「ニッサンエナジー・シェア」をご覧ください。