e-4ORCE:電気の力で運転を変える

電動駆動で4輪制御。最新のテクノロジーがあらゆるシーンで運転への自信を高めます。

2020/06/04
  • クルマ・技術
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2010年、日産は世界初の量産型電気自動車「日産リーフ」を販売しました。それ以降、多くの電気自動車が発売され、世の中ではクリーンで高性能なクルマを求める傾向が高まってきています。高性能なモーターとバッテリーを組合せることで、スーパーカーや新幹線のような加速性能を生み出すことができます。爽快な走りは魅力的ですが、日産は速さだけではなく、お客さまのことを第一に考え、最新の電動パワートレイン技術を開発しています。

  • グローバルで販売している量産型電気自動車として世界初

日産は、電動で4輪を制御する革新的なこの技術を「e-4ORCE」と名付けました。4つのタイヤのトルクを個別に制御する「e-4ORCE」は、ドライバーの技量を問いません。あらゆるドライバーが、さまざまな路面状況で安心して運転することができます。

「e-4ORCE」の「e」は、日産ならではの100%電気モータードライブに由来しています。また「4ORCE(フォース)」は、クルマの持つ力とエネルギー、そして4輪のタイヤを制御するという意味を表しています。

現在、「e-4ORCE」の開発は、最終段階に入っています。その開発は、力強い加速性能と緻密な制御によるかつてないコントロール性能を高次元にバランスさせ、すべての人にワクワクと快適な乗り心地を提供することを目指して進められています。

「e-4ORCE」は、モーター出力とブレーキを協調制御することで、スムーズで安定感の高い走りを実現します。ドライバーは路面状況に応じて運転の仕方を変える必要がなく、いつでも思い通りに走行することができます。

日産は、2019年の東京モーターショーとラスベガスで開催された今年のCESで、来場したメディアに「e-4ORCE」の4つの特長を体験してもらうため、「日産リーフe+」をベースとした開発用車両「e-4ORCEテストカー」の試乗会を開催しました。

1. すべてが電動のシステム

「e-4ORCE」は2つの電気モーターを使う先進的なシステムです。これまでの日産のEVは一つのモーターで前輪を駆動していましたが、EVのラインナップを拡充するにあたり、日産は4輪をモーターで駆動するシステムの開発に取り組みました。そして初めてその技術を搭載したのが、次世代の日産クロスオーバーEVを示唆する「アリア コンセプト」です。

「e-4ORCEテストカー」では、人の目の瞬きより3倍以上速い速度でモーターを制御しています。この緻密な制御によって、瞬時に滑らかな加速を実現するだけでなく、様々な走行シーンに対応します。例えば、アクセルを踏み過ぎて走行ラインを逸脱しそうなときや、急な動物の飛び出しを回避するようなシーンでも「e-4ORCE」は高い効果を発揮し、ドライバーの意図を忠実にクルマの動きに反映します。

日産のエンジニアは、「日産 GT-R」のATTESA E-TS(電子制御トルクスプリット四輪駆動システム)や「エクストレイル」のインテリジェント4x4システムなどから得た、駆動力制御とブレーキ制御、そしてシャシー制御の効果を最大化するためのノウハウを持っています。そして、日産がEVと先進4輪駆動システムを開発してきた長い経験が、「e-4ORCE」をさらに確かなものとしています。

「『e-4ORCE』は、新次元の制御技術です。」と、日産のパワートレイン・EV技術開発本部、エキスパートリーダの平工良三は語りました。「日産初であり、EV初でもある『e-4ORCE』の制御技術は、4輪制御やシャシー制御の技術、そして電動パワートレイン技術など、長年日産が培ってきた多くのノウハウを組み合わせながら、それぞれの技術を進化させています」

2. 卓越したハンドリング性能

「e-4ORCE」は、シャシー制御とライン追従性、ステアリングの精確さをバランスよく発揮するので、急操作をしたときでもクルマの動きが予測できます。ドライバーが感じる安心感は、2つのモーターが発生するトルクと各ホイールのブレーキを個別に制御することから生まれています。

「e-4ORCEの制御技術は、既存の他のEV 4WDシステムとは一線を画しています。」と平工は語りました。「私たちは様々な条件下で、楽しくドライブできるクルマを目指して、数えきれないほどのチューニングを行ってきました。」

一般的に、コーナリング時に加速するとクルマの走行ラインは外側にふくらむため、ドライバーはステアリングを操作するか、速度を落として対処しなければなりません(アンダーステア)。「e-4ORCE」は路面状況や走行状況に応じて、タイヤのグリップを最大化するようトルクを前後輪に配分します。

「e-4ORCE」の前後のトルク配分は通常時は50:50ですが、路面状況や走行シーンに応じて0:100~100:0まで自動で最適な配分に変更します。また、減速時には前後モーターによる回生ブレーキと4輪の油圧ブレーキを組合せて制御することで、コーナリング性能を向上させます。こうした高度な制御は、特にコーナリング時に効果を発揮し、クルマの動きはドライバーのステアリング操作に忠実で、滑らかで心地よいドライビングを楽しむことができます。

3. 乗る人すべてに快適な乗り心地を提供

「e-4ORCE」のエンジニアチームは開発当初から、快適な乗り心地を最優先課題の一つとしていました。さまざまな運転シーンで、すべての乗員に快適な乗り心地を提供しながら、圧倒的なEVならではの動力性能を実現する。この2つを両立させることは、大きなチャレンジでした。
電気モーターによる回生ブレーキは、EVの特徴の一つです。回生ブレーキとは、減速時に発生するエネルギーをモーターによって電気エネルギーに変換し、バッテリーに電気を戻す技術です。

前輪駆動のEVの場合、フロントに搭載されたモーターで回生ブレーキをかけるため、減速時にクルマの前方がグッと沈み込みます。「e-4ORCE」は前後に搭載された2つのモーターの回生ブレーキを最適に制御することで、減速時のクルマの沈み込みや揺動を抑えます。そのため、発進と停止を繰り返すようなシーンにおいても乗員は前後の揺れを感じることが少なくなり、車酔いが低減されるなど、快適にドライブを楽しむことができるのです。

「電動モーターは高いレスポンスによって優れた加速性能をもたらすことができますが、加速性能をよくすることだけが私たちの目標ではありませんでした。」と平工は述べています。「モーターのレスポンスの良さを活かすことで、ブレーキが踏まれた瞬間から車体の動きを制御することが可能になります。この制御を行うことで、特に助手席や後席に乗る人に安定したスムーズな乗り心地を提供することができるのです。」

4. あらゆる路面で自信を持った運転が可能に

濡れた路面や氷結した路面、雪道などのすべりやすい路面を運転するときには、熟練したドライバーでもストレスを感じるものです。「e-4ORCE」はモーターの出力とブレーキ制御を緻密に統合制御することにより、タイヤのグリップを最大化し、クルマの動きを安定させます。そのため、すべりやすい路面でドライバーがアクセルを踏み過ぎた場合でも、クルマが出力を適切に制御し、ドライバーがしっかりとクルマをコントロールできるようサポートします。

「私たちが開発した『e-4ORCE』は、システムが作動していることにドライバーが気付かないほど自然な制御を行います。」と平工は語りました。「初めて「e-4ORCE」に乗った人でも、極めて自然に快適で思い通りにクルマを操ることができるということを感じて欲しいと思っています。一度「e-4ORCE」に慣れてしまうと、「e-4ORCE」なしのクルマには乗ることができなくなるでしょう。」

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