リスクマネジメント
リスクマネジメント体制
日産では、「グローバルリスク管理規程」にて、リスクを「日産グループのコーポレートパーパス、戦略、および事業目的の達成を阻害する事象又は状況」と定義し、日産グループ全体で活動を推進しています。リスクをいち早く察知し、影響度の大きさや発生の可能性を評価して、必要な対策を検討・ 実行することにより、リスクが発生する確率や頻度の低減、万一発生した場合の損失の最小化に務めるとともに、リスクの大きさに応じた適切な管理がなされているのかを確認しています。
具体的には、社内外の事業環境の変化に対応するため、リスク管理の専門部署による役員層へのインタビューと各機能部署へのヒアリングの定期的な実施、および、経営戦略室と連携し、さまざまなリスクを洗い出すとともに、インパクトと切迫度、コントロールのレベルを定量的・定性的に評価し、コーポレートリスクマップの見直しを行います。
そしてCEOが議長を務めるコーポレートリスクマネジメント委員会において、全社的に管理すべきリスクとその管理責任者を決定し、責任者のリーダーシップのもと、各リスクへの対策に取り組みます。リスク管理の責任者は各リスクにおけるコントロールレベルを評価し、それぞれのリスクマネジメント活動の有効性を判断しています。それらの状況は定期的にコーポレートリスクマネジメント委員会や内部統制委員会に報告し、さらに監査委員会や取締役会にも適宜報告しています。
コーポレートリスクマネジメント体制
個別のビジネスリスクに対しては、発生時の影響と発生の可能性を最小にするため、各部門の責任において、本来業務の 一環として必要な予防対策を講じるとともに、発生時の緊急対応策を整備しています。また、災害・操業リスクにおいては専門部署を設置し、危機発生時に迅速かつ連携のとれた対応を行うことで、事業継続リスク*1に対して網羅的に対応する体制を整えています。
国内外の連結会社とも連携を深め、日産グループ全体でリスクマネジメントの基本的なプロセスやツールの共通化、情報の共有化を進めています。近年、新たな技術の普及や地政学的リスクの拡大など、企業を取り巻く環境は変化の度合いを増しています。そうした変化にも適切に対応していけるように、これからも取り組みを強化していきます。
- 「事業等のリスク」は 2023年度有価証券報告書(P28-34)をご参照ください。
- リスクオーナーは、原則としてエグゼクティブコミッティのメンバー
リスクマネジメント強化の取り組み
日産が2021年に発表した長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の達成に向けて、リスクマネジメントの枠組みやプロセスの見直しとその強化に継続して取り組んでいます。
体制面の強化としては「三つの防御線(ディフェンスライン)」 の原則に基づき、リスクマネジメントの事務局を第二線の機能として明確に位置づけ、人員体制の強化も行いました。会社の新たな基本方針をサポートするために、リスクマネジメントの目的を、事業目的の達成といった短期的なものにとどまらず、より長期的な視点でコーポレートパーパスの達成をサポートする活動と位置づけました。それに伴い、対象とするリスクも環境・人権などのESGリスクを含め、会社の企業価値の向上やサステナビリティに貢献する視点で、より幅広く捉えるようにし、新たなリスクを適時に捉える体制も構築しました。リスクの評価についても、従来の主観的・定性的な評価に、客観的・定量的な評価を加えるため、国際的なフレームワークも参照し、より具体的なリスクの評価と、リスクをコントロールし管理状態に置くための活動のモニタリングに取り組んでいます。
これらプロセスとツールの改善内容は、リスク管理マニュアルにも適宜反映しています。