2010年、日産初の量産型電気自動車(EV)「日産リーフ」が誕生しました。EVならではの高い環境性能。これまでなかった全く新しいドライビング。ワクワクし、どこまでも行きたくなる運転の楽しさ。「日産リーフ」の先進性、革新性は世界中で大きな反響を呼びました。その「日産リーフ」が今年、おかげさまで発売10周年を迎えました。日本、米国、欧州から販売を開始した「日産リーフ」は、今では59の国や地域で販売され、累計販売台数も50万台に到達しました。クルマのあり方や人々の暮らしまでも大きく変えた「日産リーフ」。その10年の歩みをご紹介しましょう。
2010年 日産初の量産型EV「日産リーフ」を発売
急速な都市化や産業活動の進展に伴い、私たちは地球温暖化などの深刻な環境問題に直面しています。ゼロエミッション社会の実現に貢献し、お客さまへ運転する楽しさや移動する喜びを提供し続けるため、日産が世界に向けて発売したのが、走行中にCO2を一切排出しない「日産リーフ」でした。走り出しから滑らかに力強く加速し、誰でも安心して操縦できる高い走行性能。驚くほど静かな室内。携帯電話を使ってクルマの充電状況を確認し、家の中からクルマのエアコンを操作するなど、これまで見たことのない便利な装備。当時、「日産リーフ」に乗った人は、誰もが驚き、そして笑顔でクルマを降りてきました。
日産は各国の政府や自治体、電力会社などとともにEVの普及促進に取り組み、充電インフラの整備にも力を尽くしてきました。2010年には200基ほどしかなかった日本国内のCHAdeMO規格の急速充電器も今では約7,900基まで増加(2020年11月時点、コネクタ数)し、世界では計32,300基に達しています。
「日産リーフ」は世界各国で高い評価を得て、「欧州カー・オブ・ザ・イヤー2011」「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2011」「2011-2012日本カー・オブ・ザ・イヤー」などを始めとする数々の賞を受賞しました。初代モデルは24kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、満充電時の航続距離は200km(JC08モード)でした。
2012年 「日産リーフ」の駆動用バッテリーから一般住宅へ電力を供給
日産は2012年、「日産リーフ」のバッテリーに蓄えた電力を一般の住宅やオフィスへ供給するVehicle to Home (V to Hシステム)を世界に先駆けて市場に導入しました。V to Hシステムはこれまでのクルマにはなかった全く新しい価値を生み出します。例えば、日本では電気料金が安くなる深夜に「日産リーフ」を充電し、高くなる日中は「日産リーフ」に蓄えた電気を住宅やオフィスで使用することで、電気料金の節約が可能になります。天候に左右されやすい太陽光発電も、V to Hシステムによって「日産リーフ」を蓄電池として活用すれば、無駄なく電気を使うことができます。
また、自然災害で電力の供給がストップしたときには、「日産リーフ」は「動く蓄電池」となり、被災地での非常用電源として活躍します。2011年には、エネルギーの自給自足が難しい米国ハワイ州マウイ島で始まったスマートグリッド実証事業で、再生可能エネルギーを最大限活用し、電力系統の安定化を図るシステムの一部として「日産リーフ」が採用されました。
2012年 マイナーチェンジで航続距離が228km(JC08モード)へ
マイナーチェンジで、「日産リーフ」はクルマの動力を生み出すe-パワートレインが大きく進化しました。モーター・インバーター・DC/DCコンバーターなど高電圧ユニットを一体化することでe-パワートレインの大幅なサイズダウン(容積30%、質量10%)を実現し、満充電時の航続距離を228km(JC08モード)まで延長しました。もう一つ、消費電力の低減に大きく貢献したのが、ヒートポンプ式ヒーターの採用です。家庭用エアコンでも使われるヒートポンプを採用したヒーターや全席シートヒーター、ステアリングヒーターなどを採用することで、より一層消費電力を低減しました。
性能や利便性の向上に伴って販売台数も増加し、2014年、「日産リーフ」はグローバル販売台数10万台を達成しました。
2015年 2回目のマイナーチェンジ。航続距離が280kmへと大幅に向上
2回目のマイナーチェンジでは新開発の30kWhバッテリーを採用しました。高容量の新材料を使用することで、従来のバッテリーパックサイズを維持しながら、リチウムイオンを高充填化し、バッテリー内部抵抗を低減。室内のスペースを損なうことなく航続距離を280km(JC08モード)へと大幅に向上させました。容量が増えても、24kWhバッテリーと変わらない時間で80%までの急速充電が可能なことも大きな特長です。また、フロントカメラで前方の車両や歩行者を検知して衝突回避や衝突による被害軽減を支援するインテリジェント エマージェンシーブレーキを全てのグレードに標準装備し、さらに安心して運転できるようになりました。
「日産リーフ」は、2015年12月には販売開始5周年を迎え、2016年1月にはグローバル累計販売台数20万台を達成しました。
2017年 航続距離400kmを実現した第2世代の「日産リーフ」を発売
第二世代の「日産リーフ」は、最先端の技術を搭載し、革新的に進化しました。まずは電動化技術の進化です。新しい e-パワートレインは、出力を先代モデルから 38%増の 110kW、トルクを26%増の 320Nm とし、爽快でリニアなドライビングを実現しています。また、新開発リチウムイオンバッテリーは、先代モデルと同じサイズのままエネルギー密度を 2010 年モデル比で 67%アップさせ、航続距離400km(JC08 モ ード)を実現しました。もう一つのイノベーションが、「e-Pedal」 です。「e-Pedal」は、アクセルペダルの操作だけで、発進、加速、減速、停止、停止保持を行うことができます。発進と停止を繰り返す街中では、ブレーキへの踏みかえ頻度が減るので運転が楽になり、ワインディングでは意のままの加減速によってスポーティなドライビングを楽しめます。
また、最先端の運転支援技術も搭載しました。「プロパイロット」は、高速道路における単調な渋滞走行と長時間の巡航走行という2つのシーンで、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作をクルマがサポート。高速走行におけるドライバーの負担を軽減します。また、「プロパイロット パーキング」は、駐車の際にステアリング、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジ、パーキングブレーキのすべてをシステムが制御。道路脇の縦列駐車、ショッピングモールの並列駐車、車庫入れなど、さまざまな駐車スペースで誰でも簡単に駐車できます。
また、2017年にはカーシェアリングサービス「NISSAN e-シェアモビ」を日本でスタートさせ、誰でも気軽に「日産リーフ」の電動化技術や運転支援技術を体感できるようなりました。
2018年に「日産リーフ」はグローバル累計販売台数30万台を達成。また、同年には環境先進国のノルウェーにおいて暦年で過去最高となる12,000台以上を販売し、同国で販売されたすべての車種の中で販売台数第1位となりました。
2018年 EVの魅力をさらに向上させる「Nissan Energy(ニッサン エナジー)」
「Nissan Energy(ニッサン エナジー)」は、バッテリーの蓄電・給電機能を活用し、EVの魅力をさらに向上させるソリューションの総称です。例えば、「日産リーフ」をはじめとするEVをエネルギー・システムにつなぐことで、車載バッテリーに貯めた電力を家やビルに給電し、その電力を地域の電力網に供給することも可能とします。
また、日産は、EVに搭載したバッテリーの二次利用も推進しています。EVでの使用を終えたリチウムイオンバッテリーの再利用や再製品化を手掛ける関連会社「フォーアールエナジー」の工場を福島県双葉郡浪江町に開所するなど、車両への再利用だけでなく、定置型蓄電池への転用など、EVバッテリーの持続可能性をさらに追及していきます。
2018年には「Nissan Energy」のコンセプトをデモンストレーションする「Nissan Energy Home(ニッサン エナジー ホーム)」を日産グローバル本社ギャラリーで公開しました。
2011/2018年 EVレーシングカー「NISSAN LEAF NISMO RC」を開発
「NISSAN LEAF NISMO RC」は、EVならではのエキサイティングな走りによって、モータースポーツの新たな扉を開きます。日産のモータースポーツを担うNISMOのレーシングテクノロジーによって初代が開発されたのが2011年。市販車の「日産リーフ」と同じバッテリー、モーター、インバーターを車両中央付近に配して後輪駆動化し、高度な加速性能とハンドリンク性能を実現。イベントでのデモ走行や同乗試乗会を通じ、ベース車「日産リーフ」のポテンシャルの高さを訴求しました。
2018年には、ツインモーターと四輪駆動システムを搭載し、アグレッシブなスタイルのボディに刷新された第2世代を開発。リチウムイオンバッテリーやインバーターは、第2世代「日産リーフ」の技術を採用し、モーターは初代に比べて2倍以上となる240kWの出力と640Nmのトルクを発生します。また、フルカーボンファイバーのレーシングモノコック構造を採用することで、総重量をわずか1,220kgに抑え、0-100km/hの加速時間は、初代より約50%速い3.4秒を実現しました。第2世代の「NISSAN LEAF NISMO RC」は6台生産され、世界各国のファンに日産の電動化技術がもたらすゼロエミッションの静かでエキサイティングな走りを披露しています。
2019年 パフォーマンスと航続距離の新たな選択肢「日産リーフe+」を追加
新開発のe-パワートレインを採用することでパフォーマンスと航続距離を向上させた「日産リーフe+」がラインアップに加わりました。新開発の62kWhバッテリーはエネルギー密度を約25%向上させることで、バッテリー容量を55%向上。室内空間やデザインを犠牲にすることなく、458km(WLTCモード)の航続距離を実現しました。最大出力とトルクがさらに向上したことで、高速道路での合流や追い越しがよりスムーズになり、長距離ドライブをより一層、安心して楽しむことができます。
2019年に「日産リーフ」はグローバル累計販売台数40万台、2020年には同50万台を達成しました。
進化した「日産リーフ」はあなたの暮らしを変えていきます
10年間で大きく進化した「日産リーフ」。その進化には「日産リーフ」をご愛用いただいている50万人を超えるお客さまの走行データが活用されています。「日産リーフ」は、進化し続ける電動化技術と最先端の運転支援技術で、クルマの走りをもっと楽しく、快適なものにしていきます。また、クルマと家、クルマとインターネットがつながることで、人々の生活を大きく変えていきます。
クルマが誕生して約120年。人々の生活を豊かにしてきたクルマを、もっと楽しく、もっと便利にしたい。日産はこれからも「日産リーフ」をはじめとするEVを、さらに進化させていきます。