カラフルなロボットたちが列をなして静かに走っています。彼らはいったい何者なのでしょうか。
実は、10年以上前に日産自動車が開発した、集団で安全かつ効率的に走行できるロボットなのです。地図情報を持っていない彼らは、周りの仲間を認識しながら、自分で考え、判断し、ぶつかることなく、群れを形成して進むことができます。
この愛らしいロボットの名前は「エポロ(EPORO)」。EPisode O (Zero) RObot(CO2排出ゼロ、交通事故ゼロに向かうエピソード)の略です。この「エポロ」、なんと魚が群れをなして泳ぐ姿に着想を得て設計されたというのだから驚きです。
お手本は魚の群れ
近くを泳ぐ仲間とぶつからないよう、進行方向を変えるのが「衝突回避」。仲間との距離を保って泳ぐのは「並走」です。「接近」は、仲間と離れ過ぎると元の距離に戻る動きのことです。魚は、水圧や水流の変化を感じとる「側線感覚」によって最も近くにいる魚との距離を把握し、両目で330°にも達する広い「視覚」で、少し離れた位置にいる魚との距離を認識します。
「エポロ」もこの3つの行動ルールを守って動きます。「エポロ」に搭載された「レーザーレンジファインダー(LRF)」と「UWB通信技術(※1)」が、それぞれ「側線感覚」と「視覚」の役割を担っています。「レーザーレンジファインダー(LRF)」では、レーザーを照射し、その反射光が届くまでの時間から障害物までの距離を計測しています。「UWB通信技術」では、「エポロ」同士の信号の送受信により、その往復時間から距離を算出し、位置や速度、向きなどの情報をやりとりしています。
エポロを通じて日産がめざす未来
多様な周辺環境に対応して走行ができる「エポロ」。曲がり角や急に狭くなる道でもスムーズに走行し、障害物を回避しながら走行することが可能です。渋滞が発生しやすいポイントでも、衝突することなく、適度な距離感を保って進むことができます。渋滞の緩和や交通事故の低減を推進していく上で、参考になりますね。
日産は現在、事業構造改革計画「Nissan NEXT」に取り組んでいますが、その中でも先進運転支援技術の拡大を大きな柱に据えています。先進運転支援技術は、事故原因の9割以上といわれる人為的ミスによる事故の発生をクルマのサポートにより低減するための技術です。高齢化や都市の過密化など多くの課題に直面する現代社会において、先進運転支援技術は事故の大幅な低減に貢献し、多くのドライバーに安心を提供するだけでなく、高齢者にとっては移動機会の拡大にもつながります。日産は、「プロパイロット」をはじめとする先進運転支援技術をモビリティに新たな価値をもたらす技術だと考え、積極的に技術開発を推進し、実用化を進めています。
もっと知りたいエポロの魅力
「エポロ」は海外でも大人気。これまで、アメリカ、中国(上海、広州)、シンガポール、スペイン、韓国、インド、オーストラリアへ海外出張に行っています。日産の安全技術や未来の自動運転に必要な技術を世界中のお客さまに伝えているのです。かわいい見た目ながら、なかなかやりますね!
また、全部で7体いる「エポロ」たちですが、クルマの運転の仕方が人によって異なるように、「エポロ」の走り方にもそれぞれ個性があります。例えば、シルバーはリーダー的存在で、みんなを先導していきます。チョコはせっかちな性格をしていて、いつも前のめりに走っています。皆さんの運転の仕方と似た「エポロ」が見つかるかもしれませんよ。
もっと「エポロ」について知りたくなってきたのではないでしょうか? そんな皆さんに朗報です。「エポロ」の4コマ漫画、『エポロの日常』が日産の公式SNSアカウント、およびWEBサイトにて毎週連載中です。日産のデザイナーによって描かれたキュートな「エポロ」の世界をぜひお楽しみください!
『エポロの日常』作者の日産デザイナーとエポロ
【エピソード一部抜粋】
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