熱効率50%を実現するe-POWERの発電専用内燃機関
発電専用だからこそできるエンジンの運転領域の縮小により、効率のよい定点運転を実現します。
エンジンの効率化は自動車メーカー共通の課題であり、現在は最大約40%の熱効率*1を実現しています。しかし、これまで熱効率を30%から10%高めるまでには、実に30年ほどの歳月を費やしました。
日産はe-POWERでエンジンの役割を発電に特化させ、さらに独自のSTARC*2コンセプトによるリーン燃焼*3、廃熱回収技術により、熱効率50%を実現します。 これにより更なる燃費向上とCO2削減が可能となります。
- 熱効率: 燃料が持つエネルギーに対し、動力として取り出せる割合
- STARC: Strong Tumble & Appropriately stretched Robust ignition Channel
- リーン燃焼: 理論空燃比(燃料と酸素が過不足なく反応する、つまり完全燃焼する空気と燃料の比率)よりも空気過剰な空燃比のこと。ここでは空気過剰率λ=2以上のリーン燃焼を想定しています。
技術の仕組み
エンジンを発電に特化したことで、運転領域を高効率領域にコントロールすることが可能です。さらにバッテリー技術を進化させて最良効率点での定点運転を実現します。これにより、燃費を向上させることができます。
独自のSTARCコンセプトに基づく、発電エンジンの定点運転領域に最適化させた吸気ポート、燃焼室、ピストン形状により、シリンダー中央に強力なタンブル流を維持させることで点火プラグ部に安定して伸長した放電チャネル*4を形成します。これにより高EGR*5やリーン燃焼のような高希釈条件下での安定燃焼を可能にし、熱効率向上を実現しています
- 放電チャネル:点火の為に放電する電気の空気中の流れ
- EGR(Exhaust Gas Recirculation): 燃焼後の排気ガスの一部を再循環させて、再度吸気する技術。EGRによって希釈された混合気を燃焼させることで熱効率が向上する一方で、確実に燃焼させることは課題となります。
熱効率50%の達成方策
従来エンジン技術として、ロングストローク化とフリクション低減による基本的な熱効率向上を行いました。更にe-POWERによるエンジン運転領域の縮小により、STARCコンセプトでの高EGR燃焼による理論熱効率向上と専用ターボによる吸排気損失低減を可能とし、正味熱効率43%を実現しました。
また、将来のバッテリー技術の進化による定点運転化により、STARCコンセプトによるリーン燃焼、更なるフリクション低減と効率的な廃熱回収により熱効率50%を実現します。