e-4ORCE

e-4ORCEは、前後2つの高出力モーターとブレーキの統合制御により、駆動力を自在にコントロールする電動駆動4輪制御システムです。

e-4ORCEは、これまで日産が培ってきた4WD制御技術、シャシー制御技術に、電動化技術で革新した新しい駆動システムです。
日常走行からワインディング、すべりやすい路面まで、あらゆる走行をレベルアップさせるこれまでになかったシステムで、力強くも上質で意のままの走りを提供します。

e-4ORCE

技術の働き

状況に合わせて4輪の駆動力を自在に制御し、上質で意のままの走りを提供します。

[コーナリング時]

時々刻々変化する走行状況や路面状況に応じ、ドライバーの操作に対応した旋回、加減速を実現するための駆動力を算出し、前後のモーターと左右のブレーキで4輪の駆動力ををコントロールします。これにより、日常の走行からすべりやすい路面での走行まで、意のままの走りを実現します。

[減速時]

アクセルをもどせば前後2つのモーターでバランスよく回生し減速させます。これにより、前輪のみで回生の場合に発生する車体のピッチング挙動を抑え、フラットでなめらかな減速を実現、同乗者にも快適な乗り心地を提供します。また各輪のすべり度合を常にモニタリングし、すべりやすい路面では回生量を自動的にコントロールします。

[発進時]

ドライバーのアクセル操作に対して高精度にトルクを制御できるモーターならではの特性を生かし、アクセルを踏み込むとなめらかにタイヤを駆動、すべりやすい雪の坂道でもスムーズで力強い発進を実現します。各輪のわずかなすべりを検出し、スリップが発生した場合には、すばやく駆動力を分散させます。

技術の仕組み

タイヤのグリップ限界は、走行状況や路面状況により、時々刻々変化し、また各輪でも異なります。
e-4ORCEはタイヤのわずかなすべりを検出し、グリップ限界を見極めながら走行します。ドライバー操作に応じた旋回、加減速を実現する駆動力を算出し、前後のモーターと左右のブレーキを統合して制御することで、4輪のグリップ力を最大限に生かすよう駆動力をコントロールします。
従来の機械式四駆が、構造上50:50までしか駆動力配分を変えられないのに対し、前後輪それぞれにモーターを持つ四駆システムは100:0~0:100まで自在に駆動力を変えられるポテンシャルがあります。これにブレーキ制御を組み合わせることで左右の駆動力を変え、4輪の駆動力を高速・高精度にコントロールします。

  • e-4ORCEは、日産アリアやエクストレイル e-POWERなど電動化車両に搭載されています。

関連技術

e-4ORCEを応用した月面ローバの駆動力制御技術研究

JAXAと共同研究を行い、過酷な環境の月面におけるローバの走破性向上を目指しています