電気自動車(EV)とワイン造り。
一見、何のつながりもないように思えるかもしれませんが、オーストラリアには、EVを使って敷地内の電気を賄っているワイナリーのオーナーがいます。
南オーストラリア州のバロッサ・バレーでワイナリーを営むジョセフ・エヴァンスさん。EVの購入を検討していた彼は、世界的な電気料金の上昇もあり、なかなか購入に踏み切れずにいました。そんなとき、エヴァンスさんはビークル・トゥ・グリッド(Vehicle-to-Grid。以下V2G)に対応する「日産リーフ」に出会ったのです。
クルマとさまざまなモノをつなげる技術やシステムなどを総称して、「V2X(Vehicle to Everything)」といいます。V2Xを使えば、EVのバッテリーを家やビル、電力網などとつなげて双方向に充電や給電を行うことができます。
もともと敷地内に太陽光パネルを設置していたエヴァンスさん。「リーフ」がクルマと電力網をつなぐV2Gに対応しているだけでなく、太陽光パネルと組み合わせれば電気代の節約もできることを知ると、「リーフ」の購入を決心しました。こうしてエヴァンスさんは、V2Gを活用するオーストラリアで最初の「リーフ」オーナーとなります。
「誰よりも早くV2Gを導入したかったのです」(エヴァンスさん)
エヴァンスさんのEVを使ったサステナブルな生活が始まりました。毎朝、フル充電した「リーフ」に乗って、ワインをアデレードのお客さまに配達し、お昼すぎにワイナリーに戻ってきます。
その後、晴れた日は夕方6時まで太陽光発電でクルマを充電します。そして、夜間はクルマに充電した電力を自宅やワイナリーに給電。基本的にクルマの充電代はかからず、24時間、電力を完全に自給自足しています。
電力需要が大きく変動すると、停電などの問題が起こる可能性があります。V2G技術を使うことで「リーフ」は電力の供給源となり、ピーク時とオフピーク時の事業者の安定した電力供給をサポートすることも可能です。
エヴァンスさんはスマートフォンにインストールした専用の充電アプリを使って自分の「リーフ」を充電するだけでなく、「リーフ」に蓄えた電力を給電することで、地域の電力供給の安定化にも一役買っています。
また、過去には高額の電気料金を支払っていましたが、今では余剰電力を事業者に販売する「売電」によって収益を得るまでになりました。
「それまでは年間6,000オーストラリアドル(約55万円)もの電気代を支払っていたのですが、余った電気を売ることで、週に50ドル(約4,700円)の収益を得られるようになりました」 と、エヴァンスさんは言います。
「私にとって、電気はもはや支出するものではなく、収入源となっています。もしEVの購入を考えているなら、『リーフ』のようにV2Gに対応できるクルマをお勧めします。」
今、世界は気候変動への対応を進めています。温室効果ガスの排出を削減するためには、再生可能エネルギーによる発電を増やし、電力マネジメントをより効率的なものへと変えていく必要があります。エヴァンスさんのワイナリーのように、双方向に充電や給電を行えば、利用者の電気コストを抑えるだけでなく、持続可能な社会の実現にも貢献できるのです。
オーストラリアの広大なワイナリーにて、エヴァンスさんのEVと暮らすサステナブルな生活は続きます。