整備士を養成する「日産自動車大学校」は全国に5校あり、高度な自動車エンジニアを目指す学生が最新で実践的な技術と知識を学ぶ場です。今回は卒業生や講師、在校生に焦点を当ててみましょう。

(本動画は当初社内広報用途に制作されたもので、一部所属名称や敬称が社内向けの表現になっている場合があります。ご了承ください)

卒業生が学んだ整備士として大切なこと

「学んだことは何一つ無駄になっていない」
京都日産自動車株式会社第二営業部 三浦直也

現在、京都日産自動車の第二営業部長として、8店舗の業績向上を任されています。また、採用と教育も担当しています。私が日産京都自動車大学校に1期生として入学したのは29年前のこと。最新の設備が整備され、最新の日産車で学べるというのは、ほかにはない環境でしたが、挨拶をはじめ指導は厳しかったですし、授業のレベルも高かったのを覚えています。クルマ好きでしたが、普通科出身の私は機械に関する知識もほとんどなく、工業高校出身の生徒とはかなり差がありました。授業についていくのがやっとで、正直もうやめようかなと思ったこともありました。それでも「最後までやり抜こう」と思えたのは、先生が諦めずに必死になって指導してくれたから。チームでやる作業も多く、仲間にも助けられました。

京都日産に入社して、3年間テクニカルスタッフ(TS:日産販売会社でのメカニック呼称)を続けたあと、テクニカルアドバイザー(TA:同、サービスフロント呼称)になりました。TAは、カーライフアドバイザー(CA:同、販売スタッフ呼称)とTSをつなぐ役割も担っています。お客さまや仲間の気持ちを常に察しながら、人間として成長できたかなと思います。その後、工場長、店長、ゾーンスーパーバイザーを経験し、人に動いてもらうことの難しさを学びました。会社の方針を部下に伝えるにしても、自分の中でしっかりと噛み砕き、自分の言葉にして話さないと、人に理解してもらえないし、動いてもらえません。社会人として大切なのは、自分が業績を上げることではなく、部下を成長させ、昇格させること。それが会社全体の業績向上につながります。

日産自動車大学校で学んだことはひとつとして無駄になっていません。クルマの知識はTAにもCAにも必要ですし、すぐにお客さまの疑問に答えられるというのは大きな武器になります。社会というものを教えてくれた京都日産自動車大学校の1期生として先頭を走り続けたいというのが私のモチベーションになっています。

「日産グループで一番の整備士になろうと決意」
日産自動車グローバルアフターセールスエンジニアリング部 石川剛史

実は大学生のときに結婚して子供ができたんです。それで退学して就職しようと思いましたが、母親から「クルマが好きなら日産自動車大学校はどう」と勧められました。当時は就職氷河期。将来のことを考えても、就職に直結している日産自動車大学校は安心できる。どうせなら1級整備士の資格を取得し、日産グループで一番の整備士になろうと決意しました。

日産自動車大学校では工具の使い方といった基礎からステップを踏んで教えてくれるので、とても勉強になりました。大学校から日産に入社するのは当時はあまりないケースでしたが、希望が叶い、日産ではまず整備性技術開発グループに配属になりました。TSが整備しにくい部分を改善し整備性を向上させるのがミッションですが、実際のTSの作業がイメージできないと何も改善できないので、大学校で学んだことはとても役に立ちました。その後、EVグループではアフターセールスにおけるほとんどのエンジニアリングを凝縮して体験することができ、F1(日産での「一発修理」の呼称)/グローバルテックライン(同、販社とメーカー間の技術ホットライン)ではお客さまのために1回の入庫で完全に修理する大切さを学びました。現在は診断機グループで次期型の診断機開発に携わっています。

整備する上では常にお客さまの視点で考えなければなりません。どうすればお客さまに安心して乗ってもらえるのか。メンテナンスがしっかりしていれば、お客さまの日産に対する信頼も向上します。後輩たちには大学校で学んだことを生かして活躍してほしいと思います。

卒業してもメカニックとしてGT300に参戦

「短い時間で確実に丁寧に作業するのは整備士も同じ」
神奈川日産自動車株式会社 折笠利幸

日産自動車大学校では、近藤真彦監督が率いるKONDO RACINGでスーパー耐久レースに参戦したことが貴重な体験になりました。私は広報を担当しましたが、学生ならではの視点でレースの魅力を伝えるように言われて、どうすれば良いのか必死に考えたのを覚えています。日産自動車大学校時代に学んだクルマの基礎は今でも私にとって大切な財産になっています。

今シーズンからKONDO RACINGのプロジェクトはスーパー耐久からSUPER GTレースのGT300クラスにステップアップしていますが、富士戦では日産TSの選抜からメカニックとして参加する貴重な機会をいただきましました。どういった流れで動けば良いのかわからず、1テンポも2テンポも遅れてしまっていますが、少しでも力になりたいと思っています。時間に追われながらも、確実に丁寧に作業するというのは、販売会社のTSも同じ。今年からKONDO RACINGのGTレース参戦プロジェクトには日産自動車大学校の生徒とTSがともに参加していますが、学ぶことはとても多いですし、こうした経験はTSになってからも必ず役に立ちます。

「新しい刺激をもらい、整備士として新鮮な気持ちが蘇る」
青森日産自動車株式会社 竹内幸司

レースが好きで、日産の学校で学びたいと入学しましたが、授業はとても厳しかったのを覚えています。ただ、先生には「自分に合わないとか、苦手だと思っても続けてみろ。続けないと本質は見えてこない」と励まされました。

青森日産で仕事をするようになって学んだのはコミュニケーションの大切さです。お客さまはもちろん同僚に対しても、常に相手の気持ちを考えて行動することを意識しています。たとえ難しい不具合でも、粘り強く原因を探し、諦めずに挑戦し続けることができているのも日産自動車大学校で学んだおかげだと感謝しています。

今回のGT300では、自分の一つひとつの作業がすぐにレース結果として現れるプレッシャーを感じました。新しい刺激をもらい、整備士として新鮮な気持ちが蘇りました。とてもスピード感のある現場で学んだことを同僚にも伝えたいと思います。

日産自動車大学校で教えていること

「夢を持ち続けて頑張れば必ず叶う」
日産横浜自動車大学校 上澤健

今、整備科1年生の担任として二級自動車整備士を取得するための基礎を教えています。まだ高校を卒業したばかりの学生たちが多く、社会人として最低限のしつけを教えるのに苦労しますが、若い学生たちと話すのが楽しくて仕方ありません。私自身の夢は整備士になることと先生になることでした。整備士の見習いからスタートし、働きながら整備士の資格を取得。追浜の総合研究所で働いていたときの上司が日産大学校に勤務することになったことで、講師として誘われ、6年前からここで教えています。

授業で必ず伝えているのが、実習用のクルマだとしても「お客さまのクルマだと思って扱いなさい」ということ。実は卒業生が「お客さまのクルマを触るのが怖いと感じた」と話すのをよく耳にします。そう思うのは実習の時にそこまでの気持ちがなく、どこか雑に扱ってきたからです。私も「500万の新車だろうが、年季の入った軽自動車だろうが、お客さまのクルマであることに変わりはない。すべてのクルマを丁寧に扱え」と怒られたことがあり、今でもその言葉を胸に刻んでいます。

在籍中はあんなに手がかかった学生たちも卒業してしばらくすると顔つきが変わってきます。社会に出るというのはすごい体験なのだとあらためて思います。学生には夢を持ち続けてほしいと思いますし、夢が叶ったときの喜びを味わってほしい。私自身が夢をここで実現していますから、夢を持ち続けて頑張れば叶うのだということを伝えたいと思います。

在校生の声

日産横浜自動車大学校 田澤賢悟

父がクルマ好きで、東京モータショーによく連れていってくれましたが、そこで見た「GT-R」が好きになり、僕もクルマ好きに。憧れの日産車を実習車として扱えることに魅力を感じて、入学しました。1台に対して2〜3人という少人数での実習なので、クルマに触れる時間は多く、内容も実践的で勉強になります。クラスの仲間もほとんどクルマ好きで、休み時間も「あのメーカーのホイールかっこいいよな」とかクルマの話をたくさんできるので楽しいです。入学前は校則が厳しいことが自分に合うのか不安でしたが、先生には「社会に出ると当たり前だ」と言われ、今では当然やらなければいけないことだと思っています。

先生から「大きな目標を達成するための小さな目標を少しずつ立てろ」と言われているので、毎日、目標を立ててクリアするようにしています。いつか日産を代表するような整備士になりたいと思っています。

日産横浜自動車大学校 永井隼輝

父が日産の横浜工場に勤務していますが、小学校の工場見学で父が働いているのを見たとき、心から「かっこいいな」と思い、いつか父みたいに働きたいと思っていました。聞いたら父も日産大学校の出身だったので、僕もここを選びました。試験は難しく、前日にやったぐらいでは全然できないので、高い点数を取るために学校から帰ると復習するようにしています。先生から「上の立場になると失敗できないから若い頃に失敗しておけ」と言われたのが印象に残っています。これからいろんなことに挑戦して、失敗しても次はしないように学びながら、上からも下からも信頼されるような人間になりたいです。お客さまのクルマを預かったとき、修理するだけではなく、細かい部分もしっかりと清掃してから渡すようにして、「あなたに頼んでよかった」と思われるような整備士になりたいと思います。

日産横浜自動車大学校 岩波侑希

クルマが大好きな親戚の影響を受けていつか整備士になりたいと思うようになりました。日産大学校は就職率も整備資格の取得率も高く、つい怠けてしまう自分にはよいのではと思い、選びました。実際に整備士をしてきた先生たちが集まっていて、現場で経験したことをたくさん話してくれるのでとても参考になります。中学、高校とあまり勉強してなく、数学は本当に苦手で、ついていくのが大変です。でも、絶対に整備士の資格を取りたいですし、自分がやる気を見せれば先生たちも放課後に教えてくれます。資格を取れなくて悲しい思いをするのは自分なので、できるだけ努力したいと思います。先生からは「社会に出たとき、お客さまのクルマを触るのが怖い」と思わないように実習でできるだけ手を出せと教えられているので、率先して参加するようにしています。

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