ICEなしのアイスはいかが?

2019/09/05
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欧米で「アイスクリームトラック」といえば、日本の「石焼きいも屋さん」のように音楽を流しながら街を走る、おなじみの移動販売車です。筆者も米国に住んでいた幼少時に、ダイム(10セント玉)を握りしめて楽しげなオルゴールの音を追いかけたものです。

先日、イギリスで電気自動車(EV)を活用したアイスクリームトラックを発表しました。

「From Sky to Scoop」と名付けられたこのコンセプトカーは、イギリスのアイスメーカー「Mackie's of Scotland」と英国日産が共同で開発したもので、電気自動車「e-NV200」をベースに冷凍設備などを搭載し、補助電源としてルーフには太陽光パネル、蓄電用に「日産リーフ」の使用済バッテリーを備えた車両です。

Mackie's of Scotlandは環境対策に力を入れている企業で、乳牛の牧場も風力や太陽光などの再生可能エネルギーを活用して運営しています。従来のアイスクリームトラックはディーゼルエンジンの商用車をベースに、一般の冷凍車同様に電源もエンジンの動力を使用していました。しかし「From Sky to Scoop」を利用することで、内燃機関(ICE:Internal Combustion Engine)を全く使用しない、環境に優しい「ICEなしのアイス」をお届けすることが可能になったのです。

欧州内で実際の販売も検討されており、排出ガスを出さないため自然公園などでの活躍が期待されています。

この他にも、電気自動車「e-NV200」は多方面で活躍しています。電源供給可能な電気自動車ならではの活用事例をご紹介いたします。

遠隔地からプロのスタイリストがアドバイス

「地方に住んでいても東京のスタイリストにファッションをアドバイスしてほしい!」

そんな願いを叶えようと、楽天技術研究所と会津大学による実証実験が2018年7月にスタートしました。福島県会津若松市内で実施された実験では、遠隔地にいるスタイリストと試着室(車体)にいる利用者をネットでつなぎ、ファッションに関してアドバイス。スタイリストは、音声会話アプリ経由で利用者と会話をしながらタブレットを操作し、サイネージ上の利用客の映像にデジタル化されたファッションアイテムを重ねることでスタイリングを提案します。

「e-NV200」に遠隔スタイリング支援システムを搭載することで、人が集まる場所に移動しての運用も可能。車両本体のバッテリーに蓄えられた電力を取り出すことにより、システムを長時間稼働させることも可能です。また、EVは停車時にもエアコンが使用できるため、お客さまに快適な「バーチャルショッピング」をお楽しみいただけます。

「星と月のレストラン」で味わうディナー

「大自然の中で星空を見ながら美味しいディナーを味わいたい!」

こんな夢のような体験ができるのは、「アルプス山岳郷 EVツーリズム 乗鞍 星と月のレストラン」。中部山岳国立公園の豊かな自然の中で極上の癒しを感じながら、信州の地元食材をふんだんに使った料理と美味しいお酒を楽しめる、期間限定の屋外レストランです。お客さまの送迎はもちろん、レストラン内の照明や調理に必要な電力もすべて「e-NV200」が賄うため、CO2などの排出ガスはゼロ。環境に優しく、とても静かでラグジュアリーな空間を実現することができました。

乗鞍株式会社信州未来づくりカンパニーと地域DMO一般社団法人松本市アルプス山岳郷との共同事業で行われたこと取り組みは、自然豊かな乗鞍高原の新たな魅力を発信することで、観光客の増加や滞在促進だけでなく、雇用創出にも貢献します。

小学校に訪問「移動動物園」

動物たちは、普段感じることのない揺れや振動に敏感なため、クルマに乗るとストレスを感じ、体調を崩すこともあります。そこで電気自動車の出番です。

毎年30万人以上が来場する宮崎県唯一の動物園「宮崎市フェニックス自然動物園」では、県内の小学校へ移動動物園を行う際に「e-NV200」を活用しています。

また、移動先や災害時の電源としても活躍。温度の変化が許されない孵卵器の災害時用バックアップ電源としてスタンバイしているほか、お正月に開催しているカピバラの初湯イベントでは、給湯器の電源として「e-NV200」から取り出した電力を使用しています。

航空機騒音の環境測定に活用

電気自動車は蓄えた電力を持ち運び、運んだ先で給電できるため様々な用途に利用できます。そのひとつが騒音の環境測定です。騒音に関する測定は電源を要する測定機器を使用しますが、測定は屋外で実施することも多く、電源の確保に苦労することが少なくありません。環境音を調査するためにエンジン音を発生させてしまっては、正確な測定ができなくなってしまいます。

大阪府新エネルギー産業課では、環境対策部門の騒音調査に「e-NV200」を活用。関西国際空港近くの二色浜公園に騒音計などを設置し、「e-NV200」からの電力で航空機騒音の環境基準の達成状況を測定しています。

走行時に排出ガスや騒音を出さないだけでなく、エネルギーを貯めて持ち運べる電気自動車。活躍の場は、ますます広がることでしょう。

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