日産はクルマのデザインを通じて、市場のニーズに応え、お客さまにより良いライフスタイルを提供したいと考えています。そのために、デザイナーはスマートな手法を用いて、画期的な方法で課題を解決していきます。この考え方の中心にあるのは、お客さまの志向にあった商品とテクノロジーを通じて、「人々の生活を豊かに」していくという私たちのパーパスです。
日産はジャパンモビリティショー2023で、未来志向のコンセプトカー5台をお披露目しました。これらの5台の電気自動車においても、中心にあるのはお客さまです。それぞれフィジタル※な美しさとユーザーのニーズを満たす機能が注目を集めましたが、いずれのクルマも環境意識の高いノマドや、ネットでもリアルでも最高のパフォーマンスを求めるゲーマーなど、独自のターゲットユーザーを想定してデザインされています。電動化された未来の可能性を垣間見せてくれる印象的なコンセプトは、こうして誕生したのです。
- physical(物理的な外観)+ digital(デジタル技術)を組み合わせた造語
デジタルクリエイターやアーティストのために開発されたサイバーパンクな小型SUVのコンセプトカー「ハイパーパンク」。そのリードエクステリアデザイナーを務めたハン ウンギュは、その設計思想をこう説明します。
「デザイナーは、異なる人格になりきることが大切です。ターゲットユーザーを理解して、明確にイメージする。乗る人の立場になって考えるのです」
この動画をご覧ください。それぞれのコンセプトカーに対して、デザイナーがどうアプローチし、どうターゲットユーザーへの理解を深めたのか。また、自身が経験の中でつかんだヒントをデザインにどう生かしたのかなどを紹介しています。
ユーザーとの接点を見つける
英語圏には、「相手の靴を履いて1マイル歩いてみる。そうして初めて、その人のことがわかる」(walk a mile in one's shoes)という格言があります。クルマのユーザーに置き換えて考えると、相手を知るには、その人のクルマで1マイル走ってみる。つまり、相手を知るには、その人になりきることが大切なのです。日産のデザイナーも、ユーザーとの接点を見つけるのに時間と労力を費やしました。
「このクルマをデザインしたとき、自分に置き換えて考えたいと思いました。いつもそのクルマの機能を考えています」–「ハイパーアドベンチャー」デザインチーム ゾエ(チェン ズーイン)(日産デザインチャイナ)
「クルマは、場所と場所、人と人をつなぐものだと思います。私自身も、あの人はこのクルマでどこに行くんだろうとよく想像します」 – 「ハイパーアーバン」デザインチーム アン ケヒョン(日産デザインヨーロッパ)
「ユーザーのライフスタイルを知り、実際に足を運び、体験することが大切です」 –「ハイパーツアラー」デザインチーム 佐藤 大(グローバルデザインセンター)
経験がインスピレーションの源に
ユーザーとの接点を求めた結果、乗る人のニーズやライフスタイルに合わせた個性的な機能を持つクルマが誕生しました。「機能」は実現できました。では、「デザイン」はどうでしょうか。 デザイナーは、どこからインスピレーションを得たのでしょうか。クルマの色や形はどのように決まったのでしょうか。
「80年代や90年代の日本車がきっかけでクルマに夢中になりました。日本に来てから、クルマをめぐる当時のカルチャーへの情熱が呼び覚まされました。『ハイパーフォース』は電動スーパーカーの未来を示すモデルですが、日産の過去の高性能車へのオマージュとして、デザインにちょっとしたヒントを散りばめたんです」– 「ハイパーフォース」デザインチーム マーカス クァ(グローバルデザインセンター)
「東京を訪れるたび、エリアによって人のファッションや雰囲気が違って面白いなと思います。今回のターゲットユーザーのユキは、渋谷をイメージしています。『ハイパーパンク』を見れば分かるように、表情豊かで一味違うイカしたクルマです」– 「ハイパーパンク」デザインチーム ハン ウンギュ(グローバルデザインセンター)
デザインを越えて
コンセプトカー「ハイパー」シリーズは、電動化や知能化、コネクテッド技術という未来のモビリティに対する日産のビジョンを表現しています。それに加えて、デザイナーはどんな価値観を表現したいと考えたのでしょうか。
「サステナビリティは、永遠というコンセプトと表裏一体です。優れたデザインは世代を超えて受け継がれます。私たちはカーボンフットプリントの削減を目指しているので、最も持続可能なアプローチはクルマの寿命を伸ばすことです。長く愛されるクルマを作りたいですね」 – 「ハイパーアーバン」デザインチーム アン ケヒョン(日産デザインヨーロッパ)
「元々は建築デザイナー志望でした。大学でデザインを学ぶ中で、使う人のことを考えるようになりました。それからは、見た目だけでなく使いやすさに配慮したデザインを心がけました」 – 「ハイパーアドベンチャー」デザインチーム ゾエ(チェン ズーイン)(日産デザインチャイナ)
「モジュール式の空間は、各パーツが動いて空間の形が変わるので設計が難しいのです。ただ、こうした制約があるからこそ、チャンスが生まれる。課題を魅力に変えられる格好の例だと言えます」 – 「ハイパーアーバン」デザインチーム セバスチャン ジーザス(日産デザインヨーロッパ)