3次元HCCIシミュレーション

低燃費、低エミッションを実現する究極のHCCIを実現するために、エンジンの詳細形状までを3次元データで再現して可視化するシミュレーション技術を世界に先駆けて開発しました。この技術によって燃焼過程の化学反応を高精度に把握できるため、エンジンの効率的な開発が可能となりました。

HCCIと通常のガソリンエンジンの燃焼の違い

HCCI燃焼は、通常のガソリンエンジンの燃焼に比べて低温でゆっくりと燃焼するため、通常燃焼では瞬時に完了する化学反応が、HCCIではゆっくりと反応します。そのため燃焼中の複雑な化学反応を再現するシミュレーションの開発が必要となります。

3次元HCCIシミュレーションの概要

HCCI燃焼は、数千もの化学反応式で表される複雑な化学反応過程となっています。これを忠実にシミュレーションで再現させると、現在の計算機の演算能力では、一回の燃焼計算に約2ヶ月間が必要であり、実際のエンジン開発に適用することは現実的ではありません。今回開発したシミュレーション技術は、これまで日産が蓄積してきた燃焼に関する基礎データや、ノウハウに基づいた高度な燃焼モデリング技術により、従来のHCCIシミュレーションの約20倍以上の高速化*を実現。計算時間を約3日間に短縮することで、エンジン開発への適用を可能にしました。
  • チャルマーズ工科大学の簡略化学反応モデルとの比較

関連技術

HCCI (Homogeneous-Charge Compression Ignition:予混合圧縮着火)

HCCIはガソリンをディーゼルエンジンのように自己着火させて、CO2削減とクリーンな排気を両立させる究極の燃焼方式です。日産はこの技術の実用化に向けた開発を進めています