安心して暮らせる地域のために、地元でボランティアをする日産の従業員
デイモン ビエル、ITスペシャリスト(米国)
地元のために役立ちたい、そんな思いは誰にでもあります。しかし、家族と過ごす時間を大切にしながら毎日忙しく仕事もする中で、さらに地元のボランティア活動にも参加するのは簡単なことではありません。地域のために何かしたいという思いはあっても、それを実行に移すにはかなりの努力や強い意志が必要になるでしょう。
そんな中、地域の役に立ちたいと骨惜しみしない日産の従業員がいます。米国ミシガン州デロイトの日産で、ITのスペシャリストを務めるデイモン ビエルのストーリーを紹介します。
デイモンは「コミュニティ緊急対応チーム(CERT)」に所属し、洪水、土砂崩れ、ハリケーン、森林火災といった災害や、大規模交通事故などの際に、被災者支援のボランティアをしています。また、パレード、マラソン、花火大会、コンサート、サッカーのトーナメントといったイベントの際には、交通整理や参加者の誘導なども任されています。さらに、地元で新しいボランティアの育成にも携わっており、軽度の救急初動対応の資格も有しています。こういったボランティア活動にデイモンが使っている時間は、毎年約50時間にもおよびます。
どのような思いからこういったボランティアに携わっているのでしょうか。
「(交通整理や誘導などでは)1日中立ったままでとても疲れることが多いのも事実です。でも、皆さんから感謝されると、それだけで1日やってよかったと思えるんです」
イベント時には、CERTのボランティアは救急セットやトランシーバーを携行して、参加者の状況を注意深く見守ります。何か起きた時にすぐに対応できるように万全の体制をとっているのです。
「ボランティアがいなければ、地元のイベントや伝統行事はうまくいきません。こういったイベントを通して地域に一体感が生まれます。参加者が楽しんでいる様子を見ると、私にも何よりの励みになります。CERTのボランティアは運営サポートとして行政や警察を支えており、なくてはならない存在です。私たちボランティアがいるからこそ、行政や警察の方々は本来の仕事に集中できるのです」
住民の命と安全を守り、イベントを滞りなく運営していくために、組織的かつ積極的に動いていくことがボランティアには求められます。デイモンが日産での業務から身に着けてきた経験やスキルは、こういったボランティア活動の現場でも役立っています。彼の日産での業務は、高性能コンピューティングエンジニアリング向けの専門ITサポートです。あらゆる業種に共通することですが、自動車業界でもデータの重要性が非常に高まっており、高性能コンピューティングエンジニアリングは非常に重要な部門です。その中で、デイモンはデータベース、ソフトウェアライセンシング、ストレージなどの管理を手掛ける日産テクニカルセンターで勤務しています。
彼は、なぜボランティアを始めるようになったのでしょうか。
「私はずっとアマチュア無線にはまっていて、以前から、悪天候予報などのミシガン州の緊急時通信を傍聴していました。アマチュア無線の知識は地元コミュニティの役に立つと考えていたため、CERTの訓練があることを知って、飛びつきました。緊急対応の訓練には、基本的な外傷や手当て、消火、捜索・救助、雑踏警備などが含まれており、ボランティアをしてもしなくても、誰にでも役立つものだと思います」
ボランティアを通して、デイモンは意外なスキルも身に着けることができました。「ダンスがうまくなったんです!交通整理をしながら踊っていると、緊張が解けます。また、渋滞でノロノロ動く自動車を見ていても退屈しなくなります。ボランティアをしていると、地域の役に立っていることを実感できるだけではなく、魅力的なさまざまな人との出会いも生まれます。それもやりがいのひとつになっています」