1969年に初代モデルが発売されて以降、世界中のスポーツカーファンを魅了し続ける「フェアレディZ」。どの世代の「Z」も、日本を代表するスポーツカーとして、これぞ「Z」というアイデンティティを保ち続けています。なぜ、「Z」は人々に愛され続けるのか。なぜ、「Z」は特別なのか。
その答えを探すために、日産のチーフ・プロダクト・スペシャリストである田村宏志が、Zの魅力や「Zらしさ」について語ります。
Q:「Zらしさ」とは何でしょうか?
田村:私にとっての 「Zらしさ」とは日産のスピリットそのものです。一目で人を魅了し、ずっと付き合っていきたいと思わせるデザイン。ドライバーとクルマがまさにシンクロしたかのような、一体感や絆を感じることができ、そして結果として強いドライビングプレジャーを生み出す。それが「Zらしさ」だと思います。
Q:ドライバーの心と身体、そして魂と「Z」がどのようにつながるのか、詳しく教えてください。
田村:世の中に高い動力性能を誇るクルマはたくさんありますが、「Z」は、その高性能を誰もが楽しむことができ、ドライバーとクルマの一体感を感じることができるのです。それは、とても息の合ったダンスパートナーのように、ドライバーの思いに、心地よく応えてくれるので、より深いつながりを感じることができます。また、「Zらしさ」とは、自分なりの方法で人生を楽しめるということでもあります。1人で走りを楽しむことが好きな人もいれば、世界中の「Z」ファンたちと喜びを分かち合うことが好きな人もいます。それぞれの好みにあわせて、「Z」との関係を楽しむことができるのです。
Q:「Z」は日産のラインナップの中で、どのような役割を果たしているのでしょうか?
田村:先ほど申し上げたように、「Z」は日産のスピリットそのものです。「Z」はラインナップのすべての商品にワクワク感をもたらすだけでなく、「Z」ファンをはじめとしたお客さまはもとより、日産や販売会社の社員も含めた、日産に関わるすべての人をワクワクさせてくれます。
「Z」は世代を超えて、革新や挑戦を続ける私たちの情熱を生み出してきました。日産のDNAである革新と情熱、そして挑戦という3つの言葉を「Z」は体現しています。だからこそ、「Z」は日産の文化や個性に強い影響を与えているのです。そして、現在進めている「Nissan Next」を象徴する極めて重要な存在だと思っています。
Q:「Z」はなぜ50年以上もの間、これほど多くのファンを魅了し続けてきたのでしょうか?
田村:いつの時代も「Z」は一目で「Z」と分かりますし、手に届く夢のクルマということも変わりません。ですから、世代を超えて非常に多くのお客さまがこのクルマとの特別なつながりを持っています。ご友人やご家族に「Z」について尋ねてみてください。きっと笑顔で楽しい思い出を話してくれるでしょう。「Z」のスピリットは人々の心に生き続け、さらに強いものになっていくのです。
Q:「フェアレディZ プロトタイプ」の開発において、どのような点を重要視したのでしょうか?
田村:お客さまの声を代弁することが求められるチーフ・プロダクト・スペシャリストという立場の私にとって、今回の「Z」もチャレンジングでした。「Z」のファンは、見た目や性能、歴代の「Z」との思い出など、それぞれの思い入れがあり、それらの期待に当然応える必要があったからです。ここで、私自身も1人の「Z」ファンとして、長年「Z」を所有してきた経験が役立ちました。「Z」に求められるものは、スタイリング、パワー、テクノロジーのバランスで、それはお客さまが乗ってすぐに感じてもらえるものでければなりません。そして「Z」に乗ったすべてのお客さまが笑顔になってくれたら、という思いで検討を重ねてきました。
Q:「Z」との思い出や特別な経験はありますか?
田村:私は子供の頃から日産車が大好きでした。若い頃から「GT-R」と「Z」に憧れ、やがて日産とそのスポーツカーの未来を担う存在になりたいと思うようになりました。「GT-R」のパワーとレースでの活躍、「フェアレディZ」の未来を感じさせるカッコいい姿、この2台が私の人生を変えたのです。「GT-R」や「Z」を所有し、運転した楽しい思い出はたくさんあります。そして今、自分がこの2台の責任者をしているのだと思うと言葉が出ないほど感慨深いです。いつか本を書かなければなりませんね。
Q:「Z」を所有されていたとのことですが、どのモデルを所有されていたのですか?
田村:1台目はGノーズ付きの「240ZG」でした。中古で買ったのですが、「究極の性能」を追求してすぐにチューニングを始めました。「240ZG」の外観は、私には新幹線のように見えて大好きでした。空気を切り裂くようなフォルムで空力性能に優れたボディ、低くて幅広いスタンス、ロングノーズショートデッキのシルエット、大胆なボルト留めのオーバーフェンダーなど、日本の自動車メーカーがこのようなデザインのクルマが出せるのかと驚きました。
もう一台はZ31型でした。当時、チューニング業界は大きく成長していて、多くのアフターパーツが手頃な価格で手に入りました。私は、試行錯誤を繰り返しながら自分の車をチューニングする方法を学びました。冷却システムやブレーキシステム、その他にも多くの細部に気を配り、最終的には自分好みのクルマに仕上げることができました。
Q:新型「Z」に一番期待していることは何でしょうか?
田村:多くの人に新型「Z」に乗っていただき、新しいダンスパートナーを見つけたと感じて欲しいですね。「Z」に抱いた夢を拡げながら、何よりもお客さまに笑顔で運転を楽しんでもらいたいです。新型「Z」は、日産のスポーツカーのスピリットを受け継ぐクルマです。日産を応援してくださる皆さまや「Z」を愛してくださっているファンの皆さまが、新型「Z」とともにたくさんの楽しい思い出を作られることを願っています。