世界中でさまざまな仕事に携わる日産の従業員たち。働く国や担当する業務が違っても、「人々の生活を豊かにしたい」という気持ちは皆同じ。本シリーズでは、外からは見えない従業員の日々の仕事風景をご紹介します。
光を読むプロフェッショナル
暗い夜道のドライブ中、ヘッドライトの先に野生動物を見つけてヒヤッとした経験はありませんか?安全に運転するためには、遠くまで明るく照らすクルマのライトが欠かせません。そのライトの性能評価に、昼夜を問わず尽力するエンジニアがいます。
アメリカ ミシガン州にある北米日産テクニカルセンターには、ライト、ワイパー、ドアといったクルマの部品の性能評価をするチームがあります。このチームは、多様なニーズやさまざまな使い方にお応えするクルマを世に送り出すため、お客さまの視点に立って日々、性能評価実験に取り組んでいます。そこでライトを担当しているのが、カイル・マータスです。
ライトの特性上、マータスの仕事スタイルは、他の一般的なエンジニアとは少し異なります。
「ヘッドライトの実験がある日は、少し遅めの午後に出社します。そして、辺りが薄暗くなるころ、時に設計担当者を助手席に乗せて夜のドライブへと出発します。ミシガン州は日が長いので、夏だとだいたい夜10時頃ですね」とマータスは言います。「必要な明るさで必要な範囲を照らしているかどうか、神経を研ぎ澄ませて評価します。例えば、カーブの先を照らした時に、視線の先がきちんと明るく見えているか。不自然な影ができていないかどうか。こうした点もチェックポイントの一つです。違和感なく安心して運転できるクルマをお届けする。そのために、さまざまな視点に立って何がどう見えるのかを評価をするのが私の仕事です。」
性能評価実験に使うためのクルマは、特別なナンバープレートをつけて公道を走ります。また、まだ世の中にお披露目されていないクルマの場合、そのデザインを見せないよう車体全体に独特な模様のカバーをかけてカモフラージュをします。そんなとき、走行実験中のマータスには思いがけない出会いがあるようです。
「他のクルマがあまり走っていない夜間ということもあってか、これまで、鹿などの野生動物に数多く遭遇しましたよ。昼間運転しているときにはなかなか遭遇しない場面ですよね。動物たちは、発表前のクルマに興味があって近づいてきているわけではないと思いますけど(笑)。」
数時間におよぶ夜間実験の後、マータスは設計部門にフィードバックを行い、必要に応じて照明性能やソフトウェアのプログラミングの調整を依頼します。時には、自分が伝えたフィードバックがきちんと反映されているかどうかを確かめるために、テネシー州にある車両組立工場にも足を運びます。すべては、お客さまが安全に運転できる楽しいクルマをつくるため、と信じながら。
日々ハンドルを握るお客さまのことを思いながら仕事をしているマータス。光を読むプロフェッショナルとしての研ぎ澄まされた感覚と、とある日常の様子をアニメーションで描きました。可愛い野生動物も登場します。ぜひお楽しみください。