医師に国境はない

患者と向き合い、あらゆる疾患に対峙する医師。問診、触診、検査などを経て治療を行い、必要に応じて処方箋を出し、ときには手術も…。そんな医師のような仕事を黙々とこなすスタッフが、日産には存在する。彼らは世界中のお客様へ最高レベルの品質を保った日産車をお届けするために、必要に応じて部品を供給する1次請けサプライヤー、ときに2次請けサプライヤーまで往診し、改善活動という名の治療を行っているのだ。

クルマは数万点にも及ぶパーツの集合体である。そのすべてに確固たる品質が保証されていなければ、お客様に安心してお乗りいただけるクルマなど生産できない。たった1本のネジが、クルマ全体の品質を大きく左右することすらあるのだ。

日産の生産拠点は日本、アメリカ、欧州、メキシコ、タイ、インド、中国、南アフリカなど、世界各地に及ぶ。さらにパーツを供給するサプライヤーも世界各地に点在し、その数は約5,000社にものぼる。どこで造っても、どのサプライヤーからパーツを調達しても、最良の製品品質レベルを確保する。そのために活躍するのが、「購買もの造りサポート部」の面々である。

新規サプライヤーの部品を入念にチェック。最良の日産品質を確保するため、妥協は許されない。

彼らの仕事は、まるで医師のようだ。まずグローバル共通の評価基準を用いて健康診断を行い、基準をクリアしたサプライヤーを選定。新規サプライヤーとの取引が実際にスタートしたら、国境を越えて現地まで往診に出向き、問診、触診を行う。大半のサプライヤーは事前のチェックで健康優良児と判定されているが、万が一、精密検査でミクロレベルの病原や、外科的治療が必要な怪我が見つかった場合は、サプライヤーとWin-Winの関係を築くため、根本治癒に取り組むのだ。

また、一次請けサプライヤーのみならず、必要に応じてその下に連なる2次請け、3次請けといったサプライヤーの診断まで行う。こういった地道な診療過程を経てクオリティを見極め、日産の求める最高品質を追求しているのだ。

ちなみに、サプライヤーを診断する医師は、超難関の社内認定制度に合格した、グローバルで約60人のスタッフが担当。医師免許は「車体」「エンジン」「電子部品」といったように細分化されており、資格保持者はまさにその道のエキスパートだ。

サプライヤーに対する評価と支援。それは自社の製品に責任を負う、日産の使命である。確かな品質のクルマを、全世界のお客様に提供する。そのために購買もの造りサポート部の医師たちは、今日も世界中を駆け巡っている。

購買もの造りサポート部の面々。彼らがいる限り、品質の高い日産車を世界中で生産することが可能なのだ。