クルマ作りは「対話」作り

マイカーを初めて購入する「First time buyer」が多いインド。お客様との対話から品質改善や品質向上のヒントを拾い上げるなど、お客様満足度の向上にひと際力を入れている拠点が、インド日産のトータルカスタマーサティスファクション部(TCS)です。

日産は、車両を販売しお客様に届けた後も、お客様との対話を続け、データや数字には表れにくい目に見えない不満の種や満足のポイントを把握中。日々、情熱的にお客様の声に耳を傾け、それぞれの地域でニーズに沿った改善を模索している。その拠点のひとつがインド日産のトータルカスタマーサティスファクション部(TCS)。彼らはさらなる品質改善や品質向上を実現し、お客様満足度向上を実践している。

インドチームの品質向上への取り組み

インド日産のTCSは、開発部、商品企画部、生産などあらゆる職種のメンバーたちと一丸となり、クルマの品質改善活動に取り組んでいる。注目すべきは、そのリサーチの方法。TCSのメンバーたちのやり方は、電話調査やオンライン調査といった一般的なユーザー調査に留まらない。「お客様の声(Voice of Customer)」を一生懸命集めるため、TCSのメンバーたちは、実際クルマを購入したお客様の住む街へ繰り出して、お客様をディーラーにお招きして対話を行っているのだ。その活動はインドの都市部から郊外、南はコチンから北はアムリットサルまでおよぶ。さらに新車販売したすべての商品の販売後1ヶ月、販売後3ヵ月など、繰り返しお客様との対話を実施している。対話から得た内容は、現地からチェンナイにあるオフィスに、即座に報告され、オフィスにいる他のメンバーにも新鮮な情報を共有している。
対話はオーナーをディーラーにお招きしてヒアリングをするだけでない。オーナーが実際に乗ってきたクルマを観察したり、お客様のマイカーに同乗してインタビューしたりなど、これ以上ない親密な対話を実行するのがTCSならではのやり方だ。

インド市場は、マイカーを初めて所有するお客様「First time buyer」が多いエリアだ。クルマに対する予備知識が少ないお客様と直に接することで、通常のアンケート調査では分からないような意見や、日常のありのままの使い方に触れられるのが、この調査方法のメリット。日夜、品質改善ならびにお客様満足度向上を目指すメンバーたちは問合せに即座に対応し、お客様が共通して感じている不満や不安の解消に取り組む。すぐにトップを含めて検討し、対策をとるといった努力が、お客様満足度を着実に向上させている。

ディーラーでお客様にインタビューを行うインド日産のトータルカスタマーサティスファクション部(TCS)のメンバーたち。彼らは、車両販売後の対話に並々ならぬ情熱を注いでいます。

Atul Aggarwalさん、がんばる

TCSのメンバーのひとり、Atul Aggarwalさんはお客様との対話から、ホーンの品質改善を実現した。インド市街地の路上は、慢性的に渋滞しがち。常にクルマがひしめき合っているため、ドライバー同士のコミュニケーションツールのようにホーンが使われている。ホーンはここインドではお客様満足度を左右する重要な要因。そこでインド向けの車両には、音が大きく鳴るようにホーンの数を増やし、内部のスプリングを強化して耐久性の向上など改良を実施した。さらに、運転中に押しやすいように、ホーンの形状そのものにも手を加えた。

このホーン改善のきっかけは、助手席からのインタビュー調査。ホーンに対する「もっと大きい音で鳴ってほしい」「もっと頑丈だといい」といった要望をAtul AggarwalさんらTCSメンバーが拾い上げ、品質改善へと努力を重ねることで、さらにお客様に満足いただける品質となった。

こうした調査は、生の声に直接触れられる貴重な機会とあって、エンジニアにとってもやりがいある仕事だ。実際に顔を突き合わせるからこそ、先ほどのホーンに対する要望に加え「足下が広いともっと嬉しい」といった意見も把握できる。TCSメンバーたちは、お客様の生の声を聞くことで「お客様に満足していただくため、何が必要か」という課題をそれぞれが持ち帰って考え解決を図る。

時には、お客様のマイカーに同乗してインタビューを実施。通常のアンケート調査では分からないさまざまな意見や、日常のありのままの使い方に触れられるのが、この調査方法のメリット。

あらゆる地域でニーズをつかむ

日産は、インドに限らず、世界各国の地域ごとに、TCSのメンバーたちがお客様の満足と品質の向上のためにさまざまな調査を実施している。人々の生活と密接に関わっているクルマは、地域ごとのライフスタイルや文化に根ざしたものであるべき。市場投入後も生の声に耳を傾けるからこそ、あらゆる地域で暮らすお客様に満足いただける品質やサービスの提供が可能となるのだ。