アンチエイジング

「もうひとつの品質物語」アンチエイジング3:19

アンチエイジング。時間の経過とともに、あらゆるものは劣化していきます。私たちは高齢化を抑制しようと、ダイエットやエクササイズ、健康食品などを使います。同じように、日産のあるチームは、外観的にクルマが早く歳を取らないように、また機能的にもドライビングプレジャーを長い時間楽しめるように努力をしています。彼らの仕事は、昼も夜も一日中続きます。しかし、彼らがターゲットにしているのはシワやシミ、白髪ではありません。クルマの錆なのです。

実験部 梅澤氏

クルマの一生分を錆びさせる、あるいはその環境を与えることで、 逆に錆びさせないクルマをつくるということが我々の実験の目的になります。

ひとつは走行パターンということでありまして、ひとつはチッピング実験、 砂利路ですね。それから、塩泥路、それから塩水路、市場であるような環境を このテストコースで再現して、腐食を促進させる。

それからもうひとつはですね、試験室パターンということで、塩水を部屋のなかで噴霧して、錆びさせる。それから高温多湿のなかに放置して錆びさせる。 そういうことをやって、錆びの促進をさせます。

温度もかなり高い温度にして腐食を促進させます。

もっとも厳しい地域を模試したパターンで、ふつう我々は経験しないような状態まで錆びさせて、問題ないということを確認しております。

さらに悪路を走ったり、縁石、段のあるところですね、クルマを走らせて、入力を与えたり、いろんな、厳しい入力を加えて、クルマの機能に問題ないという確認を最終的に行っています。

すべてが終わったあとに、さらにクルマを再度バラバラにします。これはもう、パネル1枚までバラバラにします。錆びがあれば当然、我々はフィードバックして直します。そして最終的には、まったく問題がない、錆びないというクルマを保証して出すと。

彼らはクルマに対し、地球上でもっとも過酷な場所と同じ環境を再現し、実験を繰り返しています。彼らはたった数時間で、何年間も時間が経ったかのような実験をクルマに施すことができます。

実験部 梅澤氏

防錆はですね、あたりまえ品質のひとつです。お客さまが買うときは、ほとんど気にされない性能だと思います。

しかし、5年10年と経ったときにもし問題が起きれば、ボディブローで効いてきます。

我々、絶対錆びさせないクルマをつくるということは、大事だと考えております。

時間がかかる実験、また現象でありますので、地道に繰り返して継続してやっていくことが、大事だと思っております。