独立社外取締役と機関投資家の対話について
当社は、会社情報の適時・適切な開示と継続的なコミュニケーションを通じて、株主・投資家との建設的な対話を行い、相互信頼の関係を構築することをコーポレートガバナンスガイドラインで定めており、その一環として、独立社外取締役と機関投資家の皆様とのラウンドテーブルを実施しました。
2026年6月開催
参加投資家:25社35名
参加独立社外取締役:
取締役会議長 木村 康
筆頭独立社外取締役 ベルナール デルマス
指名委員会委員長 アンドリュー ハウス
報酬委員会委員長 井原 慶子
監査委員会委員長 永井 素夫
ブレンダ ハーヴィー
朝田 照男
得能 摩利子
開催方法/場所:オンライン
質疑応答要旨
エスピノーサ社長就任後の取締役会における議論の量的・質的変化を教えてください。
木村:昨年4月の社長交代以降、取締役会の議論は量・質ともに向上し、より中身の濃い議論が行われるようになりました。その背景として、主に2点の変化があります。
1点目は、取締役会に参加する執行側メンバーが増えたことで、取締役と執行側のコミュニケーションがより密になった点です。従来はCEO・CFOが中心でしたが、現在は各機能の責任者4~5名も参加し、より実務に踏み込んだ議論が行われるとともに、取締役会による執行への牽制機能や監督機能の強化にもつながっています。
2点目は、ルノーとの関係の変化です。ルノーからの取締役は引き続き2名ですが、従来より独立性の高い方が選任されるなど、構成が変化しました。
当社は2019年に不祥事対応の一環として指名委員会等設置会社に移行し、公平性や透明性を重視したガバナンス体制を構築してきました。当初は執行側と一定の距離を置く運営でしたが、現在は方向性を見直し、執行側とのコミュニケーションを重視した体制へと変化しています。その結果、監督と執行の役割の明確な分離を保ちつつ、取締役会では前向きで建設的な議論が行われています。
社外取締役のRe:Nissanへの関与状況についてモニタリングや助言の内容と頻度など含めてお聞かせください。
永井:Re:Nissanは、2年間で業績回復を図る取り組みであり、固定費・変動費の削減およびトップラインの改善を通じて、自動車事業における営業利益とフリーキャッシュフローの黒字化(関税影響前)を目指しています。
そのモニタリング状況として、固定費削減は工場閉鎖などを含め概ね順調に進捗していると認識しています。一方で、変動費削減については、サプライヤーとの契約見直しなど一定の時間を要するため、その進捗状況を含め執行体制を注視しています。執行側では各機能が連携して削減策を検討しており、その積み上げと実行状況について、CEOから毎月報告を受けています。
また、トップラインについては、単なる販売数量ではなく収益性の改善を重視しており、地域ごとの需要に応じた販売戦略の進捗を確認しています。加えて、過度な販売奨励金の活用が収益性やブランド価値に悪影響を与えないよう、その運用状況についても毎月モニタリングしています。
さらに、営業利益の改善に加え、当期利益の黒字化も重要な課題であり、リストラに伴う減損の影響なども含めて注視しています。
体制面では、取締役会の前日に監査委員会を開催し、CEO、CFO、CPOをはじめとする経営陣から進捗報告を受け、そこでの議論を踏まえて翌日の取締役会でさらに議論を深める運用としており、きめ細かなモニタリングと監督を行っています。
独立社外取締役の立場から現経営陣が抱えている課題とは一体どのようなことだと捉えていますか?
デルマス:取締役会の議論レベルは、この1年で大きく向上しており、執行側の参加者が増えたことで、より多様かつ実務に踏み込んだ議論が可能になっています。
Re:Nissanのもと、固定費・変動費の削減を着実に進めるとともに、トップラインの成長も重要な課題としていますが、特に利益と販売台数のバランスが重要であると認識しています。この観点から、取締役会では在庫状況や販売奨励金の活用状況について、特に北米を中心にモニタリングしています。
足元の課題としては販売台数の回復が挙げられ、特に米国、中国、日本市場での回復を重視しています。中国市場については厳しい競争環境にあるものの、早期に構造改革を進め、現地開発・生産モデルの投入などにより一定進展も見られると認識しています。米国市場では関税の影響を受けつつも、各種施策により採算性の維持に努めています。一方、日本市場については販売回復に向けた対応が課題であり、新型車投入などの取り組みを進めています。
また、当社全体の課題として、これまで意思決定のスピードが十分でなかった点があり、エスピノーサCEO就任以降、その改善が進められています。加えて、外部環境の変化に対しては、取締役会としても適時に執行側へ対応状況の報告を求めるなど、監督を強化しています。
今後もRe:Nissanを着実に推進し、商品競争力の回復と販売力の強化を図ることが最も重要であると思っています。
新体制になる以前とモニタリング体制がどう変わったのか教えてください。
永井:従来からモニタリング自体は実施していましたが、内容と体制の両面で質の向上が見られています。
従来は、例えば北米市場において在庫調整のため販売奨励金を活用した結果、他社比で水準が高くなった場合には、在庫状況や管理方法の報告を受け、その背景や要因を確認するとともに、生産計画と販売計画の整合性について、執行側の対応状況及び検討内容について、確認・モニタリングを行ってきました。
現在は、在庫処分のための販売奨励金の活用に依存するのではなく、競争力の高いSUVモデルなどの販売強化に戦略的に活用されており、収益性も確保も含めた観点でモニタリングしています。
また、体制面での変化として、従来はCFO中心の報告であったのに対し、現在はCEO、CFO、CPO、経営企画担当役員が取締役会および監査委員会に出席し、より詳細かつ直接的な議論が可能となっています。この点が、モニタリングの質の向上につながっていると考えています。
執行役の報酬については制度に基づき決定されている点は理解していますが、当期純利益が2期連続で赤字の中で業績連動報酬が支払われている点については違和感があります。今後の報酬制度のあり方について、見直しの必要性や取締役会での議論の状況について教えてください。
井原:報酬については、報酬委員会において報酬方針に基づき、透明性を確保しながら決定しています。報酬水準は、グローバル企業をベンチマークとして見直しを行っています。
一方で、当期純利益が2期連続で赤字である状況を踏まえ、業績回復に資する報酬体系のあり方については、報酬委員会および取締役会において継続的に議論しています。
25年度の年次賞与については、Re:Nissan初年度として、固定費・変動費の削減や関税影響の低減といった指標を基に設定され、全体として約84%の達成状況となっています。各指標に基づき算定された結果、制度に則って支給されています。一方で、CEOについては、取締役会および報酬委員会での議論を踏まえ、自主的に変動報酬の一部(50%)を返上しており、報酬委員会としてこれを受け入れています。
また、26年度の報酬制度については、Re:Nissan2年目として、営業利益やフリーキャッシュフローを重視したKPIへと見直しを進めており、利益重視の指標へとシフトしています。今後も、事業環境や業績の状況を踏まえ、報酬制度の改善を継続的に検討していきます。
第127回株主総会の第1号議案の取締役候補者をみますと、比較的任期の短い方が候補者から外れています。候補者をどのように選ばれているか教えてください。
ハウス:第127回の株主総会をもって、3名の取締役の退任を予定しています。井原委員長は任期8年で任期満了のため、退任することとなります。朝田独立取締役と木村議長については、どちらもまだ任期満了ではないものの、お二方とも個人的な理由により退任を決められました。指名委員会が退任を決めたわけではありません。
Re:Nissan後の事業成長に向けた主な課題認識、そのモニタリング・監督状況、今後の改善策について教えてください。
木村:Re:Nissan後の課題としては、台数や収益面に加え、マネジメントによるリーダーシップのさらなる発揮が重要であると認識しています。足元ではリーダーシップの発揮は改善してきていると認識しており、過去の反省も踏まえながら、組織や人を着実に動かせるマネジメントの実現を期待しています。
永井:まず、エスピノーサCEOのリーダーシップについては、意思決定のスピード感が向上していると評価しています。一方で、当社の課題として、組織のサイロ化が依然として挙げられます。各部門が個別最適で動く傾向があり、全体を統合・推進する機能が十分に発揮されていない点が課題であると認識しています。このため、経営トップの意思が組織全体に迅速に浸透する体制の構築が必要であり、監査委員会から会議体の簡素化や決裁プロセスの見直しなど、具体的な改善に向けた取り組み状況を継続的に確認しています。
また、コスト削減や構造改革は引き続き重要である一方で、同時に成長戦略の具体化も重要な課題です。公表済みのビジョンにおいて一定の方向性は示されているものの、具体性はなお改善の余地があると認識しています。今後策定予定の中期経営計画に向けては、執行役が策定する計画について社外取締役としても議論し、深く関与していく考えです。
なお、過去の構造改革において開発投資を抑制したことが競争力低下につながった反省を踏まえ、同様の事態を繰り返さないよう、投資のバランスについても継続的にモニタリングしています。
Re:Nissanにおいて人員削減が求められる局面である一方、長期的な成長に向けては人材育成が重要な課題であると認識しています。人的資本について、執行側がどのような問題意識を持ち、どのような議論がなされているか教えてください。
ハーヴィー:執行側は、人員削減を進める中で、組織階層の簡素化やマネジメントスパンの改善を図ってきました。また、縦割り組織の是正を進め、よりシンプルでスピードを重視した組織への転換を目指しています。その一環として、執行側は権限委譲の見直しをはじめ、内部統制の枠組みの中で意思決定プロセスの効率化を進めています。単に権限を拡大したり会議体を削減するだけでなく、AIの活用により定型業務の効率化を図り、人材が開発や生産といった重要な業務に集中できる環境の整備に取り組んでいます。また、人員削減と並行して人材の強化も進めています。足元では150名以上の新卒社員が入社しており、ソフトウェアやAI関連のスキルを有する人材を中心に、新たなモビリティやインテリジェンス領域の強化を図っていると報告をうけています。このように、構造改革と人材投資を両立しながら、スピード感ある意思決定と競争力の強化につなげていくことが重要であると考えています。
朝田:当社の課題の一つとして、販売力の弱さが業績の足かせとなっている点を認識しています。また、業績が悪化する局面では、本社中心の会議が増え、現場への関与が薄れる傾向も課題であると考えています。今後は、経営陣自らが現場に足を運び、お客さまのニーズや市場の実態を直接把握することが重要であり、それを踏まえた意思決定が求められます。また、実際にCEOをはじめ、経営陣が国内外の現場への関与を強めている点は前向きに評価しています。引き続き、現場起点での経営を徹底し、販売力の強化につなげていくことが重要であると考えています。
取締役会や監査委員会での議論の進展は評価していますが、取締役の選定基準やスキルマトリックス、期待される役割・経験、多様性について、より具体的にご説明ください。
ハウス:今回の3名の新任取締役については、取締役会の機能強化を意図し、当社に不足しているスキルを補完する観点で選任しています。例えば、グリーンウェイ氏は自動車メーカーおよびサプライヤーの両面での経験に加え、米国でのビジネス経験を有しています。新保氏はリスク管理やポートフォリオ管理、財務・金融分野の専門性を持っています。小路氏は事業再生やM&Aの経験を通じて、業績改善に貢献することが期待されています。このように、補完的なスキルを重視した取締役の構成強化を進めています。
日産の経営状態の向上を目指すにあたって、日産のカルチャーやステークホルダーの方との関係性をどのように改善していくべきだとお考えでしょうか?
得能:当社の課題は、一言で言うと意思決定プロセスの迅速化にあると考えています。その背景には、意思決定のレイヤーの多さがあると認識しており、構造改革の中で、階層の削減や権限委譲に取り組んでいます。また、AIの活用も含め、業務効率化を進めています。
人材育成については、大部屋活動などを通じて組織の垣根を越えた連携が進んでおり、こうした変革の過程そのものが人材育成にもつながっていると見ています。
カルチャー面では、現在の危機的な状況の中で変化が進んでおり、特に現場志向が強まっていると感じています。CEOをはじめとする経営陣が現場に足を運び、販売の重要性を改めて認識し、直接対話を行う動きが出てきている点は、これまでに見られなかった変化です。
こうした社内の改善に加え、サプライヤーやディーラーなどのステークホルダーとの関係を強化することが、販売力の向上につながり、当社の改善に寄与していくと考えています。
現状でのルノーの影響力やルノーとの協力関係について教えてください。
井原:当社はルノーや三菱自動車と長年にわたりアライアンスを構築しており、例えばルノーとは20年以上の関係があります。現在の事業環境を踏まえると、アライアンスなしで競争していくことは非常に厳しく、これまでアライアンスが収益性の向上や各地域での競争力の確保に寄与してきたと認識しています。こうした中、足元では、エスピノーサ社長も公表しているとおり、ルノーおよび三菱自動車との連携をさらに強化し、生産能力の適正化にも取り組んでいます。
取締役会では、これらの取り組みについて、市場環境や商品戦略との整合性、さらには生産能力の適正化への寄与などの観点から執行側の説明を受け、社外取締役を含め活発に議論しています。
今後については、各アライアンスが真に企業価値向上に資するものか、具体的なシナジーの創出や利益貢献の実効性が担保されているかを重視しながら、引き続き監督していきます。
地政学リスクやサプライチェーンリスク、BEV投資に伴うリスクなどについて、取締役会と執行側の間でどのような議論が行われ、どのように関与・監督しているのか教えてください。
ハーヴィー:リスク管理は、当社における重要な内部統制分野の一つです。今年度は、地政学リスク、サプライチェーン、サイバーセキュリティ、法規制、金融、バッテリーおよびBEV関連など、戦略面・オペレーション面の双方のリスクを対象に対応を進めています。
取締役会および監査委員会では、これらのリスクについて定期的に執行側から報告を受け、戦略およびオペレーションの両面から議論を行っています。あわせて、リスクマネジメントのフレームワークの有効性や重要リスクの特定状況を確認し、重点リスク項目として継続的にモニタリングしています。KPIの運用状況や、リスクが事業や財務に与える影響、緩和策の適切性についても確認しています。
具体例として、中東情勢に伴う物流リスクに対しては、ホルムズ海峡を通過するルートに制約が生じた際、執行側が迅速に代替ルートを確保し、物流計画を見直すなど、機動的な対応が取られています。こうした対応を通じて、サプライチェーン全体の対応力の向上も確認しています。
引き続き、透明性と迅速な対応を重視しながら、執行側のリスク対応力および管理体制を監督していきます。
Re:Nissanにおける固定費削減は想定以上のペースで進んでいますが、今後の成長に向けて、固定費の中で何を削減し何を維持していくのか、必要な開発投資を維持しながら、費用削減の効果をどのようにモニタリングしているのか教えてください。
永井:固定費削減については、2,500億円の削減目標に向けた取り組みは順調に進捗しており、工場閉鎖などの重要な構造改革施策について、その進捗や効果に関する報告を執行側から受けています。
一方で、開発投資については毎年約5,000億円規模を維持しており、そのうち将来の競争力確保の観点から、新車開発への投資費用は維持していることを取締役会としても確認しています。過去に開発投資の抑制が商品サイクルの停滞を招いた反省も踏まえ、同様の対応は行わない方針です。また、エスピノーサCEOおよび赤石取締役が開発分野の出身であることもあり、成長につながる開発投資の重要性については、執行側としても強く認識されています。
今後については、これらの施策の進捗を当期利益、営業利益、キャッシュフローといった指標でモニタリングしていきます。
株式市場では御社の中長期的な企業価値への評価が低い状況にあると認識しています。過去に業績が低迷してきた要因をどのように分析し、今後10~20年でそれをどのように変えていこうとしているのか教えてください。
あわせて、販売力の課題を含めた日産特有の競争力の問題をどのように捉え、どのように克服していくのか、また中長期的に御社の強みを生かした成長戦略や差別化の方向性について、取締役会でどのような議論が行われているのか教えてください。
朝田:大変難しいご質問だと思います。私自身の過去の経験からも、経営が厳しい局面にある段階では、10年先の長期ビジョンを具体的に描くことは難しく、まずはRe:Nissanを確実に完遂し、安定性を取り戻すことが最優先であり、株主やステークホルダーの皆さまへの信頼回復に取り組む段階にあると考えています。新たなビジネスモデルの追求や、他業種との連携、成長戦略の具体化については、その次のステップとして議論されるべきものであると考えています。
永井:現時点では、財務内容および財務基盤の回復が優先課題であり、これを十分に回復しないことには、実効性を伴った成長ストーリーを示すことは難しいと考えています。一方で、Re:Nissan後の戦略については、既に公表しているVisionに加え、今後策定予定の中期経営計画において、取締役会としても十分に議論していく考えです。
得能:現在、自動車の定義や存在意義そのものが大きく変化しており、顧客が自動車に求める価値も大きく変わってきています。そのような変化の中で、当社の将来の方向性や成長の可能性も見えてくる部分があるのではないかと考えています。こうした環境はチャレンジである一方で、新たな価値創造の機会でもあり、今後の成長の姿を描いていく上で非常に重要な局面であると認識しています。
2025年6月開催
参加投資家:10社19名
参加独立社外取締役:
取締役会議長 木村 康
筆頭独立社外取締役 ベルナール デルマス
指名委員会委員長 アンドリュー ハウス
報酬委員会委員長 井原 慶子
監査委員会委員長 永井 素夫
ブレンダ ハーヴィー
朝田 照男
得能 摩利子
開催方法/場所:オンライン
質疑応答要旨
執行サイドの経営方針に疑義が生じた際の対応方法を、具体的な事例とともに教えてください。
木村:まず、指名委員会等設置会社においては「執行と監督」の分離が明確に定められております。社外取締役の役割は、執行側における検討のプロセスを見て、適切かどうかを判断しています。取締役会として懸念が生じた場合には、執行側に代替案や改善案の検討を指示します。経営判断の前提としてしっかり検討がなされたのか、検討要素に欠落がないのかを確認しています。さらに、実行するにあたってのリスクを認識しているか、プランBやCも考えているのかをチェックしております。もう一つ大事なのは、スピード感と段取りを、どう取締役が管理監督していくか、平時であれば執行にまかせてよいかもしれませんが、有事の際に取締役がどこまで執行に刺さり込むのかということ。
直近では、2023年度までは順調にきていたが、2024年度は急激な業績の悪化に伴い、逐一確認しながら取締役会を運営してきました。そのうえで、最終的に経営陣の評価を行い、経営陣の交代が必要と判断された場合には選解任を行うこととしています。
デルマス:ターンアラウンドの策定においては、執行側が提示する案に対して、変動費および固定費削減の踏み込みが十分か、リストラおよび減損処理の計上が十分になされているか、今後の資金調達の見込みおよび取引銀行との対話状況はどうかなどをモニタリングしてきました。難しい経営環境にある中で、将来の売り上げ向上のためのトップライン施策はどうなっているのかなども重要な要素だと考えています。このようにして、執行側に対してそれぞれの専門性や知見を活かした深掘りや助言を行い、計画の質を向上させる働きかけを行ってきました。
新経営陣の選任はどのようなプロセスで行われたのですか?
ハウス:指名委員会は、過半数が社外取締役であり、定期的に議論を行っています。重要な責務の一つはCEOの後継者計画です。後継者の育成状況をモニタリングしてきましたが、昨年12月の業績低迷を受け、経営陣の適性に関して厳格に議論を行いました。当時はホンダと日産の交渉の重要なステップにあることを認識していたため、経営体制を維持する必要があると考えていました。その後、 交渉が進展していないことが明らかになり、指名委員会としては速やかに後任候補を選び、CEOを交代させることに至りました。スピード感をもってこれを実行できたのは、しっかりとした後継者計画があったからだと考えています。そして社内の人材として、エスピノーサ氏が最も適任であると判断しました。
新CEOの選任プロセスの過程で社外からの登用は検討しなかったのか? また、社内・社外それぞれに登用の判断基準があれば教えてください。
ハウス:後継者プランについて、社外の人を登用する案もありましたが、早急に日産を立て直す必要があったため、スピーディーに対応できる日産をよく知る社内人物を登用することにしました。評価基準は申し上げた通り、スピード感と緊急性が最も重要な要素です。さらに社外の方については、日産の風土や課題、構造、日本のヘリテージへの理解を有する事などを基準にしています。
4年連続販売台数目標を下方修正するなど経営不振が長期化する中、社外取締役は執行役やルノーが指名する役員を除けば25年度も続投とのことだが、社外取締役の責任についてはどう考えているのか?
執行側の楽観的な計画を承認した社外取締役の責任も大きいと考える。
木村:当社は指名委員会等設置会社であるため、社外取締役の重要な仕事は、経営陣を交代させる事と、経営陣への評価を報酬に反映させる事です。執行状況をモニタリングしてきたが、残念ながら結果としてこのような状況となったためCEOを交代させ、これを見守っていく事としました。
社外取締役の留任においては、過去も数名変わっており、今後も定期的に入れ替えを行いながら安定性・継続性を確保し、責任を果たして行きたいと思っています。
デルマス:2年前から筆頭独立社外取締役として執行側との関係強化を図り、社外取締役が適切なタイミングで適切な判断ができるよう最大限執行側の意図を理解するように努めてきました。新型コロナウィルスの蔓延や半導体の供給不足があったもののNissan Nextはある程度の成果を出したと思っています。その後業績が悪くなった際は、状況を分析・精査し、経営陣に対してはどう業績を改善していくのか常に投げかけてきました。新しい経営陣に対しては改めて構造改革を適切に実行するよう依頼しています。
朝田:昨年の株主総会で取締役に任命されて一年、過去の経験に基づきできる限り執行側にインプット・アドバイスをしてまいりました。しかしながら、指名委員会等設置会社の特性として、現在の様な状況に陥った際には、取締役会において如何に執行側を監督するかというのは難しい問題であると認識しております。ただ言えるのは、個々のメンバーは様々な経験を有する人が集まり、各々の知見から、聖域なく意見を申し上げ、経営陣に対してもリーダーシップをもって取り組むように助言してまいりました。想像を超えた環境の変化により日産は6700億円以上の赤字の計上をする事態になり、ホンダとの経営統合の話も白紙となりました。それを受け、トップを変え新しい経営体制を整えたことは、取締役会が十分な機能を果した結果だと思っています。
井原:当社は指名委員会等設置会社に移行して以降、2023年度までは着実に業績は回復してきたと思っています。台数減少に関しては、執行側における販売の質の向上による利益確保を優先した方針によるものであり、取締役会でもモニタリングしてきました。報酬について申し上げると、2022年度や2023年度はNissan NEXTの財務目標を評価指標としており、過去のブランド毀損に対して当社の事業回復の基調を確かにしていく事を最優先に、利益の確保を重視してきました。2023年度までは、設定した報酬指標は着実に達成してきていました。
ハウス:指名委員会としても、報酬委員会と同様の指標を扱っており、毎年厳格に評価してきました。これまでは目標に対し達成率が高かったためCEOを留任する判断をしてきましたが、2024年度は違ったためCEOを交代する判断をしました。
楽観的な計画を承認したことで抜本的な対策が遅れて、2024年度に問題が噴出したと考えています。25年度の計画は、これまでの経緯を踏まえてどう精査したのか?
永井: 25年度の予算・計画については、当然取締役会に諮り相当に議論してきています。ただし経営環境が不透明であるため、四半期ごとに精査していこうというのが基本的な考え方です。その上で、レファレンス・プランとして台数を横ばいにしていますが、従前の右肩上がり路線とは逆のアプローチをとっています。TIVが伸びている市場もあるので、そこでシェアの回復拡大を図りながら、全体の台数計画は横ばいとして、四半期毎に様子を見ながら議論して行こうとしています。目標が楽観的だったとのご指摘に対しては、Nissan Nextで相当の挽回を達成した際に、さらに上を目指そうという考え方は甘かったと感じています。というのも、23年度までは需要に対して供給が不足していたので、良い結果が出ていました。今期においてはかなり保守的に考えていますが、関税等の影響が出てくるので、四半期ごとに見ていくこととしています。
ハーヴィー:永井さんと共に監査委員を務めています。強調したいのは、リージョンのコミットメントについてです。北米への監査においては、監査委員会の執行側に対するあらゆる懸念に対して、非常に透明性を持った議論を計画的に行ってきました。その中で、意思決定とスピードの重要性、グローバルのトップダウンのみならずリージョンからのボトムアップの必要性についても話してきました。リージョンとしては、よりローカリゼーションを進めることと並行して如何に関税に対応するのかという課題があります。監査委員会としては、このようにリージョンにおいて非常に前向きな変革が見られ、事業計画についても現実的な内容であると評価しております。監査委員会は、引き続き北米を監督し、日本、中国についてもフォローアップを行っていきます。最後に、今後もしいリーダーエスピノーサCEOのもとでのスピード、意思決定、透明性に重きを置いてモニタリングしていきます。
日産の株価は2018年の1000円代から300円代まで下がっています。特に2018年や2019年に社外取締役に就任された方は、それだけ株価が下がってしまうような執行を選んだという点において、社外取締役自身の自己評価基準はどうなっているのか教えてください。
木村:社外取締役の評価については課題であると感じています。現状では、自己評価に留まっており、その是非も含めて今後どのような基準で個別に評価を行っていくかということについて、他社事例を参考にしながら、仕組みづくりを考えようとしています。
Nissan Nextにおいて販売の質の向上を目標していたとのことだが、とはいえ業績連動報酬の評価指標に売上高・小売販売台数も指標に組み込まれていたが、本当に量より質を追求していたのか?また、25年度の業績連動報酬等の評価指標はどう設定しているのか教えてください。
井原: 販売の質の向上を目標にはしておりましたが、業績回復の道半ばであったため、ある程度の販売台数も必要であるという判断のもと、台数も目標に入れておりました。またそれらの目標のウェイトについても議論してきました。25年度については、従来の指標に加えRe:Nissanで掲げている固定費や変動費の削減目標も含めることとしています。
取締役会として2023年度の実績をどう評価したのか。執行側と認識の乖離があったということなるが、社外取締役のアドバイスを聞かない執行役を選んだことについてはどう思っているのか教えてください。
永井:2023年度の達成は、(需給ギャップ解消による)追い風が作用したという認識はありましたので、毎月の監査委員会や取締役会で実績をモニタリングし、本当の実力値はどこにあるのか、コロナ終息後も業績を伸ばせるのか問いかけてきました。執行側からは確りと取り組んでいくとの回答であり、23年度の業績改善、復配を達成したところで、日産は技術力もあるしという勢いの中でThe Arcという計画が出されて来たという経緯になります。The Arcの実現が可能なのかという予測については、もう少しリスクを考慮できたのではというのは反省点ですが、社外取締役は、警鐘を鳴らすだけではなく、業績が回復する中で、さらなる企業価値の向上に向けて執行側を後押しするというのも役割であると考えています。執行側がアドバイスを聞いてなかったとは思っていませんが、これだけの急激な業績悪化の中では、厳格かつ批判的な視点で、モニタリングの深度の向上および監督機能の強化に努めています。
報酬について、目標に対して全然達成できなかった経営陣に対して合計約6億円の退任に伴う報酬を払う背景は?株主目線でいると違和感があると思うが、これが妥当である根拠は何か?
井原:報酬委員会ができた際に、退任報酬の不正の問題があったため、そこを見直すところから始まったのが背景です。これは、経営体制の速やかな移行や競業避止、守秘義務の遵守等を目的として設計されています。
業績連動報酬が目標未達で低くなっている中で、なぜ退任時報酬を支払うのかというと、特別慰労金制度とセベランスに基づくものです。特別慰労金制度は2018年度以降就任した執行役員に対して通達済みのものであり、一度通達したものを報酬員会の判断で変更しないのがポリシーであるため、今回発表した額となっています。一方、セベランス枠は報酬委員会の判断で、この枠内の最低限の金額となっています。
株価が低迷し、配当も無配というなかで、金額も少なくなく、株主としては納得感が得られない。社外取締役の報酬も一般的な金額よりは高額であるため、より納得感のある説明・施策を求める。
井原:退任時報酬は常に通達したものは取り上げられないというのはありますが、今の報酬体系で良いのかという議論はあり、新たな執行役については特別慰労金の通達は廃止しています。よって、今後は報酬委員会で決定される部分のみとなります。また、社外取の報酬については、同業他社をベンチマークしており決して高すぎるということはないとう認識です。社外取締役は役割が異なるため業績には連動しませんが、毎年報酬のあり方についてはレビューをし直しています。
得能:ルールは理解できるが、市場の感覚とは違うとのご意見について。恣意的に報酬を決められないように報酬委員会の基準を守ってきました。業績悪化を理由にルールを変えてしまうと、恣意的な運用を許すことになりますので、恣意的な決定の余地をなくすためのものだとご理解いただきたいと思います。
今後の経営再建計画を実施するにあたり、社外取締役の役割、対応方法は?
朝田:経営はスピード感とリーダーシップが重要です。関係者全員とコンセンサスを取っていたら遅れに繋がるので、トップが自ら実行に移していく事も重要です。あと一番重要なのは現場であり、トップが現場の状況を把握して、速やかに挽回策を講じていくことが重要だと考えています。その中で、流動性確保につながる資金調達、格付け、人事制度を速やかに行っていく事ですが、これらについては新経営陣になってから改善されて来たと思います。実行する上で一番大事なのは、最も重要な資本政策のKPIを握り、達成できなければ退場して行くという事だと考えています。今後も、ターンアラウンドの諸施策が速やかに実行されるべく、自身の経験に基づいて、新経営陣に色々な情報や意見をアドバイスしていきたいと思います。
トヨタグループではサプライヤー機能の再編、集約が行われているが、日産もこれに参画する事も考えられるのではないか。
デルマス:当社はストラテジックレビューの中でどのようなパートナーシップが適切か検討しています。Re:Nissanではプラットフォームの統合と最適化や、部品種類や開発コストの削減を目指しており、そのためにサプライチェーンの再考を進めることを公表しています。
BODメンバーと経営陣との今後の意思疎通の対応方法は?
得能:新任取締役として一言。指名委員会等設置会社において一番大事なことは、執行側と取締役との信頼関係の醸成だと思います。それなくしては、情報が迅速かつ透明性をもったものではなくなるので、取締役会の判断は完全なものではなくなります。このことについては、取締役のみならず、新経営陣も問題意識をもっており、今後最大限改善に努力していくという事だと思います。
木村:この4月から取締役会の運営については、執行サイドのメンバーも常時参加し、取締役、ECメンバー間の意思疎通の促進が図れる体制にしました。まだこれからですが、このような事を考えているという事を皆さんにご報告いたしました。
日産は2019年に指名委員会等設置会社に移行しているが、取締役会に情報が正しく届いていないということか。
得能:日産が指名委員会等設置会社に移行した経緯から、取締役会は執行側が不正を行わないように強く監督しようとする事で、執行側との信頼に基づいたコミュニケーションの妨げとなる側面もあったと感じています。独立社外取締役の仕事は監督ですが、それ以上に企業価値をどう向上させるかについて執行役と共に考えていくかという事が重要だと思っています。議長の説明にもあったように、各回の取締役会には全チーフ・オフィサーが参加するなど、新しい取り組みを行っています。このような新しい取り組みを通して、まさにスピード感をもって体質を変えていきたいと思っています。
日産における取締役会の課題がよく理解できた。現在の取締役会を維持することがベストであるという結論に至った背景は?
木村:現状維持するよりも、今年度は、新経営陣を皆でサポートすることが大事だと考えています。来年度以降は、取締役会のメンバーを入れ替えていくことになりますが、当社は今年にかけて急激な変化を経験したので、現在のメンバーで見守っていこうという判断をしました。
2024年6月開催
参加投資家:13社20名
参加独立社外取締役:
木村康取締役会議長
ベルナール デルマス筆頭独立社外取締役
井原慶子報酬委員会 委員長
永井素夫監査委員会 委員長
アンドリュー ハウス指名委員会 委員長
ブレンダ ハーヴィー
開催方法/場所:オンライン
質疑応答要旨
今年3月に日産は公正取引委員会から下請法違反で勧告を受けたが、独立社外取締役としてどう考えているか。
今回の事案は重大と認識しており、重く受け止めている。事案の経過についてはタイムリーに報告を受けており、対外コミュニケーションについても透明性を持って行うよう指導した。下請業者に過度に請求していた金額に関しては、既に全額返金済である。監査委員会としては違法性のある行為についての責任追及を行い、関係した経営陣への処分も取締役会に諮って決定した。また、公正取引委員会からの勧告後も、下請け業者に対して過度な請求を継続していたとの一部報道を受け、事実究明のために外部弁護士に調査を行ってもらったが、違法性のある事案は認められなかった。今後に向けたサプライヤーと日産の関係性の改善のため、取引先向け専用のスピークアップできる仕組みを構築した。サプライヤーとの健全な関係を維持する事は非常に重要であり、今後も下請法に関連する事案は監査委員会の重点監査項目に入れ、再発防止を含め引き続きモニタリングしていく。あわせて倫理観の醸成も重要であり、従業員へのコンプライアンス教育についても確認を行っていきたい。
今年3月に発表した経営計画The Arcの策定過程に、独立社外取締役としてどの程度関わったのか。
自動車産業は大きな変革期にきており、外部環境の変化に適応できるかが問われるなか、経営計画The Arcの策定において、計画発表までに執行側と8回ほど議論を行った。日産が、自身の強み・弱みを明確に把握し、事業の選択と集中を行っているのか、アライアンスの活用方法などを中心に、実現性のある計画かつ、2030年に向けた長期ビジョンNissan Ambition 2030への架け橋となる経営計画になるよう要望した。また、取締役会では毎回、非常に闊達な議論を行っており、引き続き、The Arcの進捗状況をモニタリングしながら、達成に向けて一丸となって協力していく。
近年低PBRの状態が続いているが、独立社外取締役として、長期的な視点で企業価値を向上させていくために優先的に取り組むべき課題をどのように認識しているか。
ご指摘の通り、企業価値を上げることは極めて重要だと思っている。今後の取締役会では、パフォーマンスが新経営計画通りに進捗しているのか、株価の動き、財務健全性、信託に残っているルノー保有分の日産の株式買い戻しの方向性など、企業価値を高めるための議論を執行側と共にしっかり行う予定である。
直近5年を振り返れば、会社が生き残るために財務体質の改善、販売の質の向上が重要であり、新型コロナウイルス感染拡大による混乱や半導体不足などの逆風はあったが、業績の改善を着実に進めてきた。今の自動車業界は100年に一度の変革期の中にあり、今後も、競争力の高い商品と、その価値をお客様に訴求する事でブランド、企業価値の強化に貢献していくことが必要だと思っている。
役員報酬の業績連動報酬で設定しているKPIは、短期的な指標が多く、中長期的な視点が欠けているのではないか?独立社外独立取締役として、業績連動報酬のKPI設定をどう考えているか。
自動車産業の変化が激しい中で、長期的な視点での事業の持続性や株価・企業価値向上を重要だと認識しており、販売の質の向上やカーボンニュートラル・人権尊重に向けた取り組みなど、長期的に達成が必要な評価指標も組み込まれている。株価や企業価値向上について株主様と同じ視点を持ち、また、中長期的な事業の成長にコミットすることも考慮し、執行側をモチベートできる報酬形態とするために、金銭報酬だけでなく長期インセンティブにつながる譲渡制限付株式ユニット(RSU)を導入している。
サプライヤーとの共存共栄の思想がないと新たな技術分野での発展はないと思うが、サプライヤー向けの取り組みについて、独立社外取締役としての考えは?
サプライヤーとの共存共栄が何よりも優先度が高い。今後もサプライヤー全体に対して日産としてどう付き合っていくか、包括的にしっかり確認しながら、問題は早期に察知して管理監督していくことも重要なので注視していきたい。
国土交通省が調査を行った自動車メーカーの型式指定申請における不正行為の問題について、日産は該当なしとのことだったが、不正防止についてどのような対策・取り組みが必要と思うか?
今回の車両認証不正問題を受け、独自にモデルチェンジ、マイナーチェンジ含む全358イベント分の約27,000件の検査項目に対して調査を実施した結果、当社では不正行為は認められなかった。当社では、2018年度の完成車検査問題以降、生産開発部門でのコンプライアンスへの意識は高まっており、この取り組みが今回の結果につながったと考えている。引き続き、風化防止に向けて定期的に執行側と連携し注視していく。
2021年3月開催
参加投資家:17社25名
参加社外取締役:
木村康取締役会議長
豊田正和指名委員会 委員長
井原慶子報酬委員会 委員長
永井素夫監査委員会 委員長
ベルナール デルマス
アンドリュー ハウス
ジェニファー ロジャース
開催方法/場所:オンライン
質疑応答要旨
ガバナンス体制の改善状況と今後の課題及び取締役会の実効性についてどのように評価されているか。
2019年度は指名委員会等設置会社に移行し3委員会が発足して方針や原則を定め、2020年度は各委員会がより戦略的に機能している。
取締役会や委員会は多様性のあるメンバーで活発な議論が行われているほか、執行サイドとのコミュニケーションもしっかりとっており、実効性は確保されている。
現在の最大の課題はNissan NEXTの成果を上げることであり、業績向上や中長期的な戦略についても深く議論している。
指名委員会の今後の課題・次の時代を担うリーダー人材の育成について教えてほしい。
指名委員会の3大重要案件の一つが次世代のCEO、後継者育成の計画作成であり、1年ぐらい前から、どういう要件を兼ね備えた人材を次世代のCEOとして育てていくか議論してきた。ベストプラクティスと言われるような会社の話も聞きながらプログラムを作る佳境に入っており、今後さらにスピードを上げて実行していく。
日産には、潜在力の高い次世代のリーダー候補者がそろっている。
気候変動対応の取り組みに対する評価。また、取締役会でどの様な議論があり、社外取締役としてどのようにモニターしているか。
今後は気候変動が最重要課題の一つになる。日産は2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みを発表したが、電動化や生産技術のイノベーション等、2030年代までにやるべきことがある。電動化における強み、コアコンピテンシーを活用し気候変動に対応するための戦略を決めていくことになる。
持続的成長軌道に乗せ、長期的な視点で企業価値を向上させていくための課題を社外取締役として、どのように認識しているか。
業績は回復しつつあるが、長期的な会社の持続性のためにはまだ不十分であり、台数を伸ばして利益ある成長を果たすということが重要。それを達成するには、会社としてどのような価値を提供できるのかを考え、新しい中期計画に織り込んでいく必要がある。
3社アライアンスについて、独立社外取締役として意識している点や議論された点は。
少数株主の利益保護は独立社外取締役の役割。日産は利益相反の解消のための指針を策定しており、監査委員長がグループ長を務める利益相反解消グループでその運営を行っている。アライアンスは重要なアセットであり、執行サイドがこのアセットを十分に活用して企業価値向上に活かしているかが重要。コンフリクトが発生していないか、少数株主にとってもメリットがある話なのかということをモニタリングしながら中立的な立場で監督している。
取締役会だけでなく執行役員レベルのダイバーシティも重要だが、取締役としてどう考えているか。
CEO、COOはダイバーシティ&インクルージョンの活動にも積極的だが、現場はまだ女性が少ない。日本企業の中ではダイバーシティー&インクルージョンのリーダーでもあると思うが、日本国内においても更にダイバーシティを進めていけるよう、取締役レベルだけでなく、執行レベルでも人事も含め話し合っていくべき。
2020年9月開催
参加投資家:12社12名(6名ずつのセッションを2回実施)
参加社外取締役:
木村康取締役会議長
豊田正和指名委員会 委員長
井原慶子報酬委員会 委員長
永井素夫監査委員会 委員長
開催方法/場所:当社グローバル本社
質疑応答要旨
指名委員会等設置会社に移行して変わった点。
取締役会が以前は30分程度だったのが、今は3-4時間、さらに事前ミーティングも含めると7-8時間かかっている。また、多様性をもった取締役会になったことにより議論が活性化した。
資本コストを上回るリターンを上げて市場を満足させ続けるための体制作りについて。
事業構造改革により、「量から質」の転換と「選択と集中」を行うとともに、アライアンスを活用して利益率を追求していく。
事業構造改革計画「Nissan NEXT」の策定における社外取締役の役割。
月1の取締役会だけでなく、独立社外取締役委員会や臨時取締役会などで議論を重ねた。執行側が作った案へのフィードバックや利益相反の有無の確認などを行った。
長期のビジョンや成長戦略の作成の予定は
長期のビジョンを作って次の中期計画につなげるということを早急に進めたいが、重要なのは中身。自動車会社の企業価値を決めるのは技術であり、そのシーズを日産はかなり持っている。
役員報酬にESGといった長期の目線は入っているのか。
ESGという項目にはなっていないが、Nissan Wayを実行できているかというのが報酬の一部になっている。業績やNissan Wayなど様々な要素がバランスよく入るよう設計されている。