福島県浪江町でのモビリティ・エネルギーによるまちづくり貢献
日産自動車は、2021年2月、福島県の浪江町、双葉町、南相馬市の3自治体を中心に、流通や建設コンサルタントなど多種多様な企業と共に、「新しいモビリティを活用したまちづくり連携協定」を締結しました。
日産は、この協定を通じてのさまざまな取り組みや生活の基盤に“ワクワク”する要素を織り込むことが大切だと考え、住民の方々や、仕事や観光で訪れた方々が、“ここに住んでみたい”と感じるような『まち』にするお手伝いをすべく、モビリティとエネルギーの技術的イノベーションでの貢献を目指しています。


モビリティサービス
暮らす人・訪れる人、全ての方々に移動の自由を提供することを目指し、日産は浪江町でオンライン配車サービス『なみえスマートモビリティ』の実証実験を実施し、AIやコネクテッドの技術を活用したモビリティサービス提供に取り組んでいます。本取り組みは、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2022年度のグッドデザイン賞、及び、「グッドデザイン・ベスト100」と特別賞「グッドフォーカス賞[防災・復興デザイン]」に選出されました。
(1) 持続可能な町内公共交通:簡単に、日常の足として使える



この実証実験は、地域活動を支えるための交通基盤となる、公共交通網の構築を目的に、浪江町に暮らす、関わる、訪れる、全ての人のための持続可能なモビリティサービスの実現を目指し、取り組んでいます。
より多くの方に使っていただくために
浪江町内に約300カ所のバーチャル停留所を設定し、日常の手軽な移動をサポート。スマートフォンのアプリケーションから簡単にクルマを呼べるほか、町を訪れる方たちにもすぐ使っていただけるよう、鉄道駅等には大型モニターによるデジタル停留所、ホテル・飲食店等にはタブレット型のミニデジタル停留所を設置。

どなたでも簡単に使いやすく
地元住民のご意見を取り入れ使いやすく開発したスマートフォンのアプリケーションで、検索機能を利用しながら、最寄りのバーチャル停留所を設定し車両予約。デジタル停留所のサイネージでは、簡単な操作で予約が可能。
<スマートフォンアプリケーション>

<デジタル停留所のサイネージ>

(2) 子ども送迎サービス「スマモビきっず」:子どもたちの活動の場を拡げるために


浪江町では子どもの通学はスクールバスが基本であり、子ども向け施設などに立ち寄るには保護者などによる送迎が不可欠です。本サービスは、保護者の送迎負担を軽減、子どもの自主的かつ活発な校外活動を促進し、多様化するライフスタイルに対応します。
本サービスでは、子どもに二次元コード付きキーホルダーを配布、専用の「きっず停留所」によりコードを読み取ることで、スマートフォンなどを持たない子どもでもモビリティサービスが利用できます。また、保護者がスマートフォンアプリから予め子どもの行先を制限する機能、端末の情報と配車システムが連動し車両の利用を保護者へ通知する仕組みを備えており、子どもだけで安心してスマモビをご利用いただけます。
(3) ホテル・飲食店用予約端末「ミニデジタル停留所」:町内の飲食店利用を後押し
浪江町を訪れる観光客や出張者などの来訪者が、より簡単にサービスを利用していただけるよう、事前登録なしで配車予約ができる停留所として、商業店舗内に「ミニデジタル停留所」を導入し、利用者の利便性向上と拡大を図るとともに、商業店舗への送客を支援しています。
「ミニデジタル停留所」はタブレット端末で、ホテル、飲食店、公共施設に17カ所に設置されています。

エネルギーマネジメント
電気自動車や定置型再生バッテリーを利用したエネルギーマネジメントシステムの構築により、各種施設や域内店舗での再生可能エネルギーの利活用を向上させ、低炭素化への取り組みを加速させます。


浪江町の商業施設が保有する、再生可能エネルギー発電設備および、PCS(パワーコントロールシステム)と浪江町公用車であるEV「日産リーフ」を活用、日産の充放電制御システムをPCSに搭載することで、効率的なエネルギー運用を検証し、クリーンエネルギーの地産地消を促進するエネルギーマネジメントシステムの構築を目指します。
エネルギーマネジメントシステムの特長
-
EVの自律的充放電
太陽光、風力、水素燃料電池からの発電量と、商業施設の電力需要の情報を基に、PCSに搭載された日産の充放電制御システムが、EVの充放電を自律的に行います。 -
EVの充放電優先度・タイミング調整
本充放電制御システムが、5台の「日産リーフ」のバッテリー残量や使用パターン(走行距離、出発時刻など)を考慮し、また商業施設の電力使用状況に応じて、充放電を行う優先車両を決め、必要なタイミングで充放電を実施します。 -
再生エネルギー有効活用と電力系統安定化
本システムで商業施設の使用電力のピークを下げることにより、電力コストの削減が期待できます。また、EVの充電電力の再生可能エネルギー100%を目指すことで、エネルギーの有効活用と、電力系統の安定化に貢献します。 -
利便性を考慮した利用者専用アプリ開発
利用者はアプリからクルマの使用時間と必要充電量を設定することで、使用時間外には充放電を行い、使用開始時間には必要な充電が完了。
この浪江町で培ってきたエネルギーマネジメントの取り組みは、2024年2月から商用化を開始しました。
