日産自動車株式会社は、12月10日、新しい遮音材「音響メタマテリアル」が、ポピュラー・サイエンス誌における 2020年「Best of What’s New Award in the auto category」を受賞したと発表しました。
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受賞した音響メタマテリアルを担当したのは、日産総合研究所の三浦 進のチーム。2020年1月、CESで同技術をプレゼンした三浦は、デモンストレーションによってピタリと遮音される技術を、まるでマジックのように感じて頂けたようだったといいます。あれから約1年後の今回の受賞で、その時の光景が再び蘇ることになりました。
私たち総合研究所は、実験・研究するための施設を持っています。中でも、ひときわ興味を引く空間があります。それは無響音室です。三浦のチームは、音の響きを吸収する静寂なこの空間で、地道に実験を繰り返してきました。「苦悩の日々や努力が報われ、評価頂きましたことは、喜びとともにまさに驚きでもあります。」 こう語る三浦は、これからもお客様が感動するような技術を研究開発していきたい、という思いを一層強めました。
本サイトでは、ニュースリリースにプラスして、三浦 進がどんな研究者なのかを感じ取って頂くために、本人と周りからのひとことを添えたいと思います。
三浦 進から
自動車会社の研究は、「クルマがこうあってほしい」を妄想することがスタートだと考えます。今回でいえば、「クルマが圧倒的に静かな世界であってほしい」がそれです。 当然まだ世の中に無いのですから、「クルマがこうあってほしい」を実現するために、論文をはじめとしたあらゆる情報を探ります。そして、世界中から実現に繋がる種を見つけ出し、種を持つ人物に会い、クルマに搭載する課題を抽出、世界で最初に解決する。この一連のしごとが、私の考える自動車会社の研究です。
どうすればお客様に届けられるか、粘り強くひとつひとつ解決していくこと、これは辛くもあるのですが、面白いことの方が勝っています。だから、研究をしたくてたまらないんです。
私は、クルマを通して人や社会を幸せにしたい、そう思って自動車会社を選びました。自分の人生を振り返ると、様々な移動のシーンでそばにクルマがあったように思います。人は移動することに喜びを感じる、だから ”クルマは幸せの代名詞” だと思うのです。 今、お客様に幸せをお届けするというゴールに向かって突き進んでいます。私にとって、研究は幸せそのものでもあります。
周りから
でんじろう先生のようなパフォーマンスは、社内のイベントでも人を惹きつけています。 研究が好きでたまらないタイプで、目の前の研究に没頭するような情熱的な面がある一方、先をよみ戦略的に道筋を立てていく冷静さも持っています。
ずば抜けたスピード感でものごとを進めるので、無理難題も多いですが、熱意と信念によっていつの間にか協力者が増えていきます。何とか付いていこう、というポジティブな雰囲気を作ってしまう研究者です。
この記事により、日産総合研究所所員の奮闘と喜びが伝われば幸いです。