Research field 研究分野

機能材料
Functional Material

透明ディスプレイの研究
Transparent display

次世代HMI(Human Machine Interface)デバイスの一つとして、透明ディスプレイの研究を行っています。映画の中やモーターショーなどのコンセプトカーでは、フロントガラスいっぱいに映像が映し出された例がありますが、実際には車のガラスへの映像の大面積表示と車のガラスに求められる透明性を両立させることが難しく、透明ディスプレイは未だ実現されていません。
そこで我々は今までにない新しい原理でこれを実現しようとチャレンジしています。具体的には、目に見えない領域の紫外光を照射することで、透明な状態から白いスクリーン状態へと可逆的に変化する液晶フィルムとプロジェクタとを用いた「光駆動型透明液晶ディスプレイ」を研究しています(Fig.1)。電気配線が必要で透明度が落ちる電気駆動ではなく、光駆動で液晶の光学特性をコントロールしているのが新しい原理です。
このディスプレイの原理を実証し(Fig.1)ディスプレイの国際学会[1]で発表したところ、Best Paper Award[2]をいただきました。この原理実証が出来るようになるまで数多くのテストサンプルを試作しました。どうやって液晶のサンプルセルを作るのかといった初歩的なところから始まり、液晶材料に様々な添加剤を混ぜ合わせては特性を評価し試行錯誤を繰り返してきました。材料、光学、ディスプレイ技術など様々な技術領域を習得しながら新しい機能デバイスの研究を進めています。
Fig.1 光駆動型透明液晶のテストサンプル(10cmx10cm)の外観写真。左は透明状態、中央は紫外線を照射した円形のスポット部分が光を散乱するスクリーンになった状態、右は円形のスクリーンと同じ領域にプロジェクタから映像を投映した状態。
[1] Y.Ohta, S.Nabetani, M.Shimada, T.Ohara, R. Maehashi, F.Satou, T. Fukaminato, S.Kurihara, "Optically Switchable Transparent Liquid Crystal Display”. IDW ’21, Vol. 28, pp. 15-18 (2021).
[2] IDW '21 Best Paper Award Winners
[3] S.Nabetani, Y.Ohta, M.Shimada, T.Ohara, R. Maehashi, F.Satou, T. Fukaminato, S.Kurihara, “Contrast Ratio Improvement of Optically Switchable Transparent Liquid Crystal Display”. IDW ’22, (2022).
[4] Y.Ohta, “光駆動式透明液晶ディスプレイ” 液晶, 26(3), 164(2022).