第38回 日産 童話と絵本のグランプリ大賞受賞者インタビュー

大賞受賞者インタビュー<童話の部>  藪口 莉那(やぶぐち まりな) さん


35才 会社員 静岡県

【受賞のことば】
この度は素晴らしい賞に選んでいただき感謝いたします。2年前の優秀賞は方角も分からずに夜の海を漂う中で見付けた灯台の明かりのようでした。その明かりを頼りに進み、今やっと陸を見つけた心境です。書きたい物語はまだ沢山あります。この受賞を糧に新しい物語を創り続けます。

Q:影響を受けた作品は?
A:宮沢賢治の「よだかの星」「オツベルと象」「やまなし」などです。幼い頃は宮沢賢治の童話の朗読カセットを聞きながら眠っていました。
Q:好きな作家はだれですか?
A:小川洋子です。美しい言葉の連なりや透き通るような描写が好きです。どの作品からも博物館を歩く時のような静謐な空気を感じます。
Q:童話をつくるようになったきっかけを教えてください
A:物心がつく頃から本が好きで、自分でも書きたいという気持ちは、思い出せないほど昔から持っていました。実行に移したのは3年前のお正月です。
Q:童話を創作するうえで気をつけていることはなんですか?
A:物語の世界の像を具体的に掴むことです。そのために、登場する人や場所について調べたり、頭の中に描く場面や人々をイラストにしたりします。
Q:応募のきっかけを教えてください
A:過去に受賞し出版された作品の世界観に魅力を感じ、それらの作品送り出したこちらのグランプリに挑戦したいと思ったからです。
Q:何度目の応募ですか?
A:3度目の応募です。
Q:今回の作品は、どういったところから着想されましたか?
A:ウスイロヒョウモンモドキの映像を見た時に、数が少なくなってしまった小さな蝶の、儚さと寂しさを掬い上げるような物語を創りたいと思いました。
Q:今回の作品は、いつごろから制作を始められたのですか?
A:2020年の冬です。2週間ほどでひと通り作成した後、時間を置いて読み直しては書き直すことを繰り返し、納得できるまで調整しました。
Q:今回の作品を通して子どもたちに伝えたいことは何ですか?
A:しなやかな強さ、望みにまっすぐ挑む強さが叶える夢があること。また、題材にした蝶は実際に絶滅が危惧されている蝶なので、その存在を知ってほしいです。
Q:特にお気に入りの場面はどこですか?
A:最後の一文です。イチ子から蝶への挨拶でもあり、読み手へ物語の終わりを告げる語りかけでもあると感じています。
Q:普段の生活のなかで創作のために心掛けていることはありますか?
A:ふとした聞き間違いや目にした風景から想像が膨らむことが多いので、些細なひっかかりもメモや写真に残すようにしています。
Q:今後、どういった作品を作っていきたいですか?
A:心にそっと寄り添い暖かさを分けてくれる物語を作りたいです。私自身が寂しい時や辛い時、沢山の本に支えられてきたためです。

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