CEOメッセージ

CEO

「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける」というコーポレートパーパスのもと、日産はサステナビリティを中核に据えた事業活動を行っています。

2021年には、よりクリーンで安全、インクルーシブな社会の実現を目指す長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表しました。その志を表すスローガン「共に切り拓く、モビリティとその先へ」のもと、お客さまと社会のための価値を生み出す礎となるのがサステナビリティです。

日産はワクワクするクルマや技術を通じて、お客さまの移動の可能性を広げながら、さまざまなパートナーシップを通じて、社会の可能性を広げるスマートなエコシステムの構築を進めています。

世界中で直面している喫緊の課題のひとつは気候変動です。日産は2050年までに、事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現することを目指しており、電動化はその実現に欠かせない戦略のひとつです。

「Nissan Ambition 2030」では、2021年に、電動車両のモデル数や市場ごとの電動化比率の目標を示すとともに、2023年2月には、拡大するお客さまからのニーズに対応するため、新たな電動車の投入計画、および販売目標を設定し、取り組みを加速していくことを発表しました。また、電動化に加え、日産車のかかわる死亡事故を減らすべく、運転支援技術、知能化技術の開発にも力を入れており、幅広いモビリティソリューションを提供することで、社会の可能性を広げていくことも目指しています。

Nissan Ambition 2030

日産は、持続可能性および社会的責任にかかわるイニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」に参加しており、「持続可能な開発目標(SDGs)」と足並みを揃えた戦略を掲げています。このような取り組みに参加することで、企業として目指すべき方向性や役割を再認識し、社会的責任を果たすことができると考えています。

日産内およびグローバルでのサプライチェーンにおけるリスクを低減させることも重要です。人権尊重は経営の基本であり、日産では人権侵害を一切容認しない方針を徹底しています。この考えは国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り設定した「日産の人権尊重に関する基本方針」にも表れています。また、「グローバル行動規範」にはグローバル企業として求められる行動基準を定めています。

組織の健全性を保つうえで、厳格なガバナンス体制を構築することは不可欠です。日産の取締役会では、指名委員会、報酬委員会、監査委員会の3つの委員会を設置して意思決定プロセスの監督と透明性を高めています。ただし、重要なことは、枠組みをつくるだけではなく、その仕組みに血を通わせ、効果的に機能させることです。過去に発生した反省すべき事案に真摯に向き合い、ガバナンスの改善に努め、実効性を担保していきます。

日産にとって従業員は最大の財産であり、すべての従業員が必要なサポートを受け、力を発揮し、一人ひとりが自分らしく働ける環境を整えることを最優先に考えています。そのため、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)を企業文化の中でも重要な要素として推進しており、現在100を超える国籍の従業員が世界中で働いています。そしてそのような多様性豊かな組織で、共通の目的を胸に、一丸となって取り組んでいます。

「Nissan Ambition 2030」を成し遂げることは決して容易なことではありません。また、私たち日産だけで挑めるものでもありません。市場を熟知し、それぞれの分野の専門家であるパートナーの皆さまと共に取り組むことで、お客さまに価値を提供し、世界を変えていくことができるのです。

日産は90年にわたり、他がやらぬことに挑戦してきました。その間、当社は数々の変化や進化を遂げてきました。お客さまと社会に真に必要とされる持続可能な企業になっていくためには、あらゆる活動の中心にコーポレートパーパスを据えて取り組んでいくことが、今まで以上に求められています。日産はこれからも、目標に向かってイノベーションをドライブし続け、移動の可能性を広げ、次世代のために素晴らしい未来を実現すべく取り組みを進めていきます。

日産自動車株式会社
取締役、代表執行役社長兼最高経営責任者

内田 誠