スピーチ


2020年 2月 13日

2019年度 第3四半期決算発表


CEOスピーチ
本日はお忙しい中、当社の2019年度第3四半期決算発表にご参加いただきましてありがとうございます。

まず私から、第3四半期までの実績、及び通期の見通しについてご説明した後、当社の「事業改革」の取り組み状況について、お話させていただきます。 最後に皆様からのご質問にお答えしたいと思います。

まず始めに、2019年度第3四半期までの9か月間の販売実績ですが、 グローバルの全体需要は、中国、ASEAN諸国やインドを含むアジア・オセアニア地域、また南米の一部諸国の減速により、前年比5%減の6,530万台となりました。

当社の販売は、中国で全需が大幅減となる中、前年並みの販売台数を維持した一方、北米と欧州の販売減が響き、369万7,000台、市場占有率は5.7%に留まりました。

次に、主要地域ごとに見てみますと、
まず日本では、消費税増税や台風の影響などにより全体需要が減少したことに加え、他社が新車攻勢をかける中、当社の商品車齢が高くなってきていることも影響し、前年比6.9%減の38万1,000台となりました。
そのような中でも、昨年3月に販売を開始した新型「デイズ」は好調で、今年度12月までの9か月間で、7万台を超える販売を果たしました。
これは18年度一年間に販売した台数を、大きく上回っております。

また、当社が取り組んでいる「ニッサンインテリジェントモビリティ」の戦略に基づき、新たにプロパイロット進化版を搭載した、新型「スカイライン」も、大変なご好評をいただいており、2019年の日本カー・オブ・ザ・イヤーで、「スカイライン」はイノベーション部門賞を受賞しました。

中国では、全体需要が大きく縮小する厳しい市場環境の中、
当社は前年並みの販売を維持し、市場占有率も0.6ポイント増の6.3%に達しました。
シルフィ、エクストレイル、そしてキャシュカイが、堅調な販売を支えています。
先に発生した新型コロナウイルスの影響を含め、市場環境は引き続き大変厳しい状況でありますが、当社は値引き販売による台数拡大を狙わず、着実な成長を果たすという方針のもと、健全な事業運営を続けております。

米国の当社の販売台数は、前年比9.1%減の98万台に留まりました。
販売の質改善に向けた取り組みを一貫して進めており、台あたりのインセンティブの削減や、ディーラーの在庫削減等は改善してきていますが、車齢の高齢化による相対的な商品力の低下が響き、販売台数は減少しました。

欧州では、環境規制が厳しくなる中、需要がより小型車、及び小型のガソリンエンジンや電動車へシフトしておりますが、当社の主力とするキャシュカイやエクストレイルでは、小型エンジンへの転換が遅れ、販売に影響しました。
加えて新型ジューク、及び商用車のNV200から新型NV250へのモデルの切り替えに伴う、一時的な台数減も影響し、当社の販売台数は前年から16.2%減少しました。

2019年度第3四半期9か月間の連結売上高は、販売台数の減少が響き、7兆5,070億円、連結営業利益は543億円、当期純利益は393億円となりました。
自動車事業のネットキャッシュのポジションは、8,475億円となっております。
なお中国事業は、これまで堅調に推移しており、50%を比例連結したベースの営業利益は、1,793億円、自動車事業のネットキャッシュは1兆1,593億円となりました。

2019年度第3四半期までの財務実績は次の通りです。

  • 連結売上高は7兆5,070億円、
  • 連結営業利益は543億円となり、売上高営業利益率は0.7%でした。
  • 経常利益は1,414億円、
  • 当期純利益は393億円でした。

2019年度第3四半期までの営業利益の増減分析は次の通りです。

為替変動、アメリカや欧州の規制対応及び商品性向上、原材料価格の上昇、 これら自動車業界を取り巻く環境は厳しくなっており、1,349億円と、大きな減益要因となりました。
また会社のパフォーマンス面でも、販売台数の減少を、販売インセンティブの削減、及びコスト削減の努力で相殺しきれず、マイナスとなっております。
また将来への投資は継続して行っており、研究開発を始めとするモノづくり関連項目も、減益要因となりました。

続きまして、2019年度の通期見通しについてご説明いたします。

当社は引き続き事業改革と収益性回復に向けての取り組みを実行してまいります。
しかしながら、第3四半期までの販売及び収益の実績、及び先行き不透明な経済情勢と全体需要の鈍化を勘案し、通期の販売台数見込みを3.6%下げ、505万台に修正しました。

修正した販売台数の見通しと、第3四半期までの収益の実績に基づき、2019年度の通期見通しを次の通りとしました。

  • 連結売上高は10兆2,000億円
  • 連結営業利益は850億円
  • 当期純利益は650億円

為替レートは、第4四半期と通期ともに1ドル当たり108円を前提としています。

なお、この見通しには、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う影響は含まれておりません。

前回の見通しに対する、営業利益の増減要因は次の通りです。

為替レートは、足元の状況を勘案し、約200億円の増益要因となる見込みです。
台数の見通しを下方修正したことに伴い、販売による減益は860億円を見込んでおります。
日本やアメリカでの販売減が、主な減益要因となります。

当社は11月に、一株当たり10円の中間配当を実施しました。
今年度通期の配当は、下期の収益及びフリーキャッシュフローの見通しから、期末配当のお支払いは見送らせていただく予定です。
これにより、今年度の通期の配当は、一株当たり10円となる見通しです。

株主の皆さまには大変申し訳ないと思っておりますが、足元の業績が想定以上に悪化している事、その一方で、将来に向けた技術や商品開発への投資は待ったなしであること、
当社が将来にわたり、着実な成長を果たすため、このような配当とさせて頂きたく、ご理解をお願い申し上げたいと思います。

当社は、早期に収益及び魅力的な株主還元を回復するべく、引き続き事業改革を断行してまいります。

最後に、進行中の事業改革の進捗についてご説明させていただきます。

既にご案内のとおり、当社は、米国事業のリカバリー、事業及び投資効率の適正化、新商品・新技術・「ニッサン インテリジェント
モビリティ」を軸にした着実な成長、の3つを、事業改革の柱として、取り組みを進めております。

まず米国事業の販売正常化の取り組みですが、平均売価、販売奨励金の削減、ディーラー在庫の削減は、前年に対し改善傾向にあり、
フリート販売においても、第3四半期は適正なレベルで推移しております。

また、今年度は8月に発売した「新型ヴァーサ」や、当社が得意とするSUVの中でも、「ローグ・スポーツ」や、「キックス」を見ますと、フリートを含まない純粋な小売り販売の台数やシェアが改善を始めております。
インセンティブに頼らない販売活動により、収益も改善しており、販売正常化の取り組みが業績に貢献し始めております。

一方、需要が減速する中型のセダンや、発売から年数が経過しているその他モデルについては、同様の取り組みを行う中でも、残念ながら販売減に見舞われ、収益の減益要因となっております。
取り組みの方向性は正しく、ブレずに進めて行く事が重要と認識していますが、新技術、新商品の投入が始まり、米国全体の業績が回復に転じるには、もう少し時間を要する、
このような状況であります。

次に、22年度に向けた事業と投資効率の適正化ですが、
生産能力の合理化・生産ラインの効率改善に関しましては、当初の予定どおり進捗しており、各生産拠点の戦略的役割を再定義しております。
計画の方向性は既に決まっており、実行に入った段階で、順次案内をしてまいります。

また、商品ラインナップの合理化に関しても、予定通り進捗しております。
インドネシアでは、ダットサンブランドの販売を終了する事を決定した他、 当社が強みを持つ技術、車種群、そして地域に戦略的に集中し、投資の適正化を進めています。
短期的なクリーンアップは終了し、現在、アライアンスの更なる活用を含め、22年度以降に発売するモデルについても、選択と集中を進めているところであります。

このように、22年度、および以降を目指した事業改革の取り組みは、着実に進んでいる一方、足元の販売減、それに伴う業績の悪化は、残念ながら想定を超えており、
計画の前倒し、及びアライアンスやパートナーシップの更なる活用を含め、短期のリカバリーについても、追加の対策を策定しているところであります。

悪化している足元の業績、それに伴う更なる固定費の抑制等、当社の置かれている状況は、大変厳しいと認識しています。
しかし、何より、新商品・新技術・「ニッサン インテリジェント モビリティ」による着実な成長は、当社の将来を左右する事業改革の重要な柱であり、必ず果たす自信があります。

新車の投入を継続して行い、グローバルでの平均車齢は来年度の後半以降、大きく改善する見込みです。

まず来年度、当社のコアモデルである新型SUVを、北米から順次投入する予定です。
その他、小型のセダンやクロスオーバーも、新興国中心に展開してまいります。

また新技術の面では、高速道路車線変更、そして初のハンズ・オフを可能とした、新型スライラインを、日本で投入しました。
電動化では、進化したe-POWERを搭載したクロスオーバー、そしてこれまでにない、魅力的な走りも体感できる新型のEVも、日本から投入してまいります。

ホームマーケットとしての日本はそれにとどまらず、更に市場の40%を占める軽市場に、スーパーハイトワゴン「ルークス」を投入することを今月25日に発表します。このモデルにはデイズと同様、安全運転支援を超えた、高精度な車両コントロールを行う自動運転支援技術、プロパイロットを搭載します。

加えて、新しいビジネスの分野では、自動運転車を使った新しいモビリティー・サービス「Easy ride」の実証実験第二弾も、ここ日本で行っております。

お客様に常に新たな価値をご提案する、そのためにチャレンジし、ブレークスルーを果たす、私たち日産に伝わるクルマづくりのDNA、それを技術と商品で形にし、まずホームマーケットの日本のお客様にお届けしたい、ご期待頂きたいと思います。

最後に、当社は現在、足元の業績を踏まえ2022年までのマイルストーンの見直しを行っており、アライアンスの更なる活用を含め、修正した計画を5月に公表する予定です。

12月にCEOに就任して以来、社内外から様々な声に耳を傾け、取り組むべき課題へ着手しています。
大きく3つ、
1.Core competenceへ集中し財務基盤を強化
  ⇒選択と集中を徹底し、高コスト体質を是正すること
2.実行力、及び実行スピードの強化
  ⇒迅速な意思決定とプロセスの簡素化すること
3.着実な成長に向けた企業の存在意義/価値の定義、及び社内文化の改革を果たすこと

これらを断行する為、既に社内の体制やプロセスを一部変更しました。

私は、現経営陣のトップとして、覚悟を持って経営にあたってまいります。 当社のこれからの変化に、ご期待ください。






 

以 上