2019年11月12日
2019年度 上期決算発表
CFO スピーチ
皆さんこんにちは。経理を担当している常務執行役員のスティーブン マーです。来月よりCFOに就任の予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日はお忙しい中、当社の2019年度上期決算発表にご参加くださいましてありがとうございます。
本日は、まずは2019年度上期の販売及び決算の状況についてご説明し、その後で通期の見通しに関してご説明させていただきます。
2019年度第2四半期の3か月は、当社の販売台数は前年比7.5%減の127万台となりました。
地域別に見ると、中国の販売は全体需要を上回り健闘しましたが、米国、欧州、日本といったその他の主要な地域では全体需要を下回り、マーケットシェアも減少する結果となりました。
中国を除いた販売台数は前年比9.5%の減少となりましたが、第1四半期に在庫調整を行い、ほぼ適正な販売会社在庫水準で第2四半期のスタートを切ることができたため、卸売台数ベースでは、前年比の減少率を6.3%にとどめることができました。
また、第1四半期との比較では、中国を除いた販売台数は8千台の増加にとどまったのに対し、卸売台数ベースでは約9万台の増加となり、これが第1四半期からの利益改善につながりました。
第2四半期3か月の営業利益は300億円となりました。
為替、規制対応及び商品性向上、原材料価格の上昇といった外部要因が、446億円と第1四半期に続き大きな減益要因となりました。
販売活動は、第1四半期は605億円という大きな減益要因になったのに対し、第2四半期は販売台数の減少による減益を販売費用の改善で相殺し、10億円の増益となりました。次のページでより詳細にご説明いたしますが、特に米国において販売の質の向上に向けた取り組みの結果が現れ始め、販売活動で増益を確保できたことはポジティブであると考えています。
モノづくり・その他は276億円の減益要因となりました。品質関連費用が対前年で約400億円の増加となりましたが、これは平均的な四半期に比べ300−400億円程度多い水準となっており、利益を圧迫する要因となりました。品質関連費用が例年並みの水準であれば、モノづくり・その他も増益となり、第2四半期の営業利益は600−700億円程度に達していたと考えています。
当社は、5月・7月に発表した事業改革を着実に進めつつあります。本日は、事業改革の柱の一つである「米国事業のリカバリー」の進捗状況についてご説明いたします。
第2四半期3か月の北米の所在地別営業利益の増減分析としては、
為替、規制対応及び商品性向上、原材料価格の上昇といった外的要因が減益要因となりましたが、販売活動による増益でそれをカバーし、ほぼ前年並みの営業利益を確保しました。
販売活動は、台数・構成では減益となったものの、販売奨励金を中心とする販売費用の改善がそれを大きく上回りました。
続きまして、米国における販売正常化の取り組みの進捗を示す指標について説明させて頂きます。
台当たりの平均売価は、5月以降一貫して前年度を上回っています。その要因として、台当たりの平均販売奨励金が前年を下回る水準で推移していることが挙げられます。今年度は8月に「ヴァーサ」のモデルチェンジを行い、冬には「セントラ」のモデルチェンジを予定しています。また、来年度以降もクロスオーバーなどの複数の車種のモデルチェンジや新車種の投入を計画しており、平均車齢の若返りが進むことによって、これらの指標の一層の改善を見込んでいます。
9月末の米国における販売会社在庫は、6月末から2万2千台の減少となり、引き続き健全な水準を維持しています。
フリート比率は前年を上回っておりますが、下期は改善に向かうと見込んでいます。
また、販売金融事業の改善・安定化も順調に進んでいます。
以上のように、当社の米国事業はリカバリーに向けて第一歩を踏み出したところであり、今後も継続して販売正常化に取り組んでまいります。
米国事業のリカバリーと並ぶ事業改革の柱である新商品、新技術、「ニッサン インテリジェント モビリティ」を軸にした着実な成長に関しましては、先日開催された東京モーターショーにおいて、「ニッサン インテリジェント モビリティ」を体現する電気自動車のコンセプトカー「ニッサン アリア コンセプト」と「ニッサン IMk」を初披露しました。
この2台のコンセプトカーは、近い将来、実際に皆様に運転してもらえるクルマとして、当社の今後の製品ラインナップの方向性や、新開発EVプラットフォームがもたらすデザインと技術の新たな可能性を提示しています。
また、もう一つの事業改革の柱である「事業及び投資効率の適正化」に関しても検討を進めており、適切な時期に改めて進捗状況をご説明したいと考えております。
続きまして、当社の第2四半期の主要財務指標をご説明いたします。
第2四半期の3か月は、売上高2兆6,300億円、営業利益300億円、当期純利益590億円となりました。
自動車事業のフリーキャッシュフローはマイナス295億円、第2四半期末の自動車事業のネットキャッシュポジションは1兆1,400億円でした。
それでは、2019年度上期の販売実績についてご説明いたします。
上期のグローバル全体需要は、日本を除く全ての地域で減少した結果、前年比5.9%減の4,385万台となりました。
当社のグローバル販売台数は前年比6.8%減の250万1千台、グローバル市場占有率は0.1ポイント減の5.7%となりました。
主要市場における上期の販売実績は、
日本では、当社の販売台数は1.3%減の28万1千台となりました。
登録車の販売は減少したものの、3月に発売した新型「デイズ」の販売は引き続き好調で、軽自動車は前年比20.9%の増加となりました。
また、9月に発売した新型「スカイライン」は、世界初の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」を搭載したハイブリッドモデル、大幅なパフォーマンス向上を実現したターボエンジンモデル共に多くのお客様から好評を得て、非常に好調な立ち上がりとなっています。
中国は引き続き厳しい市場環境が続いていますが、全体需要が12.8%減少する中で、当社の販売台数はほぼ前年並みの71万8千台となりました。市場占有率は0.8ポイント増の6.2%となりました。「キャシュカイ」、「エクストレイル」、「シルフィ」といった主要車種が引き続き販売を牽引しました。 7月から9月の第3四半期も市場を上回るパフォーマンスが続いています。7月に発売した新型「シルフィ」も順調な立ち上がりとなっております。
米国では経年化や販売の正常化の取り組みの影響で引き続き販売台数は減少し、前年比4.3%減の67万9千台となりました。
欧州においても環境規制や経年化の影響で厳しい状況が続いており、販売台数は前年比19.7%減の26万5千台となりました。
2019年度上期の財務実績に関し、
- 連結売上高は5兆円となりました。
- 連結営業利益は316億円、営業利益率は0.6%でした。
- 経常利益は1,156億円となりました。ここには、中国の合弁会社を含む、持分法適用会社の投資収益843億円が含まれています。
- 当期純利益は654億円でした。
続きまして2019年度上期の営業利益の増減分析になります。
外部要因である為替、規制対応及び商品性向上、原材料価格の上昇が、871億円の減益要因となりました。
販売活動は、第2四半期の3か月ではほぼ前年並みとなったものの、第1四半期のマイナスが響き、595億円の減益要因となりました。
購買コストの削減は528億円の増益要因となりましたが、研究開発・生産費用と、品質関連費用をはじめとするその他項目が減益要因となりました。
続きまして、2019年度の見通しについてご説明させていただきます。
当社は事業改革と収益力のリカバリーを着実に進めつつありますが、今年度の営業利益見通し2,300億円に対して上期実績が316億円と進捗が十分ではないこと、為替が期初想定レートの110円に比べ円高傾向で推移していること、経済環境が不透明で全体需要の低迷傾向が今後も継続すると想定されること等を鑑み、見通しを修正することにいたしました。
全体需要は、主に中国及びその他市場の見通しを引き下げ、グローバルで当初の見通しから4.7%減の8,850万台としました。
当社の販売台数は、当初の見通しから5.4%減の524万台としました。
販売台数の見通し修正及び上期の収益の進捗を勘案し、2019年度の業績見通しを
- 連結売上高は10兆6千億円
- 営業利益は1,500億円、営業利益率は1.4%
- 当期純利益は1,100億円、当期純利益率は1.0%
に修正いたしました。
ドル円の為替レートの前提は、下期は1ドル105円、通期では107円としています。
続きまして、5月に発表した当初の今年度の見通しと比較した営業利益の増減分析をご説明いたします。
当初の見通しではドル円の前提レートを110円としていましたが、足元の為替水準を勘案し、下期は105円、通期では107円に見直しました。ドル円以外も、新興国通貨を中心に当初の見通しと比べ弱くなっているため、為替で約800億円の利益の減少を見込んでいます。
また、販売台数の見通しを下方修正したことに伴い、販売活動も当初の見通しから700億円の減益になる見通しです。
一方で、モノづくり・その他は、一部の原材料の市況が足元で改善していることやコスト管理の徹底等で、当初の見通しから700億円の増益を見込んでおり、これで販売活動による減益を相殺します。
当社は、5月に行った2018年度決算発表で、今年度の年間配当を40円とすることを発表いたしました。
本日行われた取締役会において、上期の進捗が当初想定していたレベルに届いていないこと、また年間の収益見通しも引き下げざるを得なかったこと等を勘案し、中間配当に関しては10円とすることを決議しました。
今年度の年間配当に関しては、次期CEOを含めた新たな経営陣とともに中期計画と合わせて再度議論を行い、改めてご説明したいと考えています。
以 上