2019年7月25日
2019年度第1四半期決算発表 スピーチ
CFO スピーチ
本日はお忙しい中、当社の2019年度第1四半期決算発表にご参加いただきましてありがとうございます。本日は2019年度第1四半期の販売実績と決算の状況についてお話した後で社長の西川より5月に発表した事業計画についてもう少し詳細にご説明いたします。まず第1四半期の決算の総括から説明させていただきます。第1四半期の当社のグローバル販売台数は前年比6%減の123万1000台で、6.8%減となった全需を上回ることができました。地域別で見ると中国は全体需要が大きく減少する中で販売台数を2.3%伸ばすことができましたが、米国、欧州、日本といったその他の主要地域では残念ながら全体需要を下回る結果となりました。これにより中国を除くと全体需要が前年比4.8%減であったのに対し当社は、販売台数は8.8%減となりました。さらに、中国を除く卸売台数では前年比13.5%減と、減少幅はさらに大きくこれが第1四半期の収益を圧迫する要因となりました。その結果、中国を除いた販売会社在庫水準は第1四半期の3カ月で6万8000台減少し、さらなる適正化が進んでいます。なお、中国の販売会社在庫も減少傾向にあります。
第1四半期の営業利益は前年の1091億円から今年度は16億円と大きな減少となりました。為替、規制対応コスト、商品性向上、原材料価格といった外部環境の変化が423億円の減益要因となりました。中国を除く卸売台数が大きく減少したことにより、販売活動も605億円という大きな減益要因となりました。台数構成による減益は724億円でしたが、販売費用の改善でそれを一部補いました。ものづくりその他は研究開発費、生産費用の増加及びその他項目による減益を購買コストの削減による増益では補いきれず、47億円の減益要因となりました。今年度の後半から台数収益の回復を見込んでおり、第1四半期の営業利益は厳しい結果になると予想しておりましたが、その予想を少し下回る結果となりました。為替、規制対応コストおよび商品性向上、原材料とものづくりその他はほぼ今年度の通期の見通し通りの進捗となっておりますが販売活動は見通しを下回っております。今後販売の強化を務めると同時にコスト管理を徹底し、2300億円という今年度の営業利益見通しに向けて事業の立て直しに注力してまいります。
当社の第1四半期の主要財務指標は以下の通りです。第1四半期は売上高2兆3700億円、営業利益16億円、当期純利益64億円となりました。自動車事業のフリーキャッシュフローは−3855億円、第1四半期末の自動車事業のネットキャッシュポジションは1兆円でした。これは会計基準変更による影響額−825億円を含んでいます。ご参考までに比例連結ベースのそれぞれの実績も下段に示しております。
それでは第1四半期の販売実績についてご説明いたします。第1四半期のグローバル全体需要は日本を除くすべての市場で減少した結果前年比6.8%減の2250万台となりました。当社のグローバル販売台数は前年比6%減の123万1000台、グローバル市場占有率は0.1ポイント増の5.5%となりました。こちらは主要市場における当社の第1四半期の販売実績になります。日本では当社の販売台数は2.6%減の12万6000万台となりましたが登録車は経年等の影響により減速しましたが、3月に発売した新型日産デイズの好調により軽自動車は大きく販売を伸ばしました。中国においてはシルフィ、キャッシュカイ、エクストレイルといった日産ブランドの既存の車種が台数を伸ばしたことに加え、昨年11月に発売したヴェヌーシア「T60」の純増も寄与し、当社の販売台数は2.3%増の34万4000台となりました。全体需要が減少する中で当社は販売台数を伸ばしたことで、市場占有率は0.7%増の5.7%に達しました。米国では主要車種の経年や販売正常化の取り組みを継続したことの影響で当社の販売台数を3.7%減の35万1000台となりました。しかしながら、5月以降は台あたりの販売奨励金が前年を下回り、それに加えプライシングの改善も貢献して台あたりの平均売価は前年を上回っています。また販売会社在庫も減少してさらなる適正化が進むなど少しずつ結果も出てきております。今後もこの取組みを着実に続けることで下期以降新商品の投入とともに少しずつ収益の回復を実現できて行けると考えております。欧州においても引き続き環境規制対応のためパワートレイン切り替え等の影響があり、当社の販売台数は16.3%減の13万5000台にとどまりました。
次に第1四半期の財務実績をご説明します。連結売上高は2兆3700億円となりました。連結営業利益は16億円で、営業利益率は0.1%でした。経常利益は353億円となりました。ここには中国の合弁会社を含む持ち分法適応会社の投資収益331億円が含まれています。当期純利益は64億円、売上高純利益率は0.3%となりました。こちらは第1四半期の営業利益増減分析の詳細になります。冒頭でご説明した通りですのでここでの説明は割愛させていただきます。また、5月に発表した年間配当予想40円に変更はありません。
続いて社長の西川より事業改革に関する説明をさせていただきます。
CEO スピーチ
第1四半期の結果に加えて、来年度以降の取り組みについてお話をさせて頂きます。
当社は、中期計画の後半の道筋として、将来の成長に向けたCASEなどへの投資を先行する従来の積極投資は維持する一方で、収益の負担になる不採算事業についてはより厳しい選択をし、そして成長に関しては短期的なプッシュ販売を繰り返すのではなく着実に販売を挽回していきます。そして、2年から3年、できれば2年で業績と収益を回復させていく方針を固めたと5月にご説明しました。そして、この事業改革のポイントは、米国事業のリカバリーと、事業及び投資効率の適性化のための選択と集中であり、これは固定費負担の削減になります。そして、新商品や新技術、「ニッサン インテリジェント モビリティ」をベースとして着実に成長をしていく。この3つをご説明しました。
前回申し上げた通り、中期計画のガイドの売上高16.5兆円までの成長を14.5兆円に修正をさせて頂きました。この表のとおり、今現在の売上高13.0兆円ですが、22年度の目標である16.5兆円から14.5兆円に修正した上で、営業利益率は6%を目標にして進めます。元々は700万台を超える販売台数を想定していましたが、ベースとなる売上高が14.5兆円ということなので、600万台程度の生産販売により6%の連結営業利益率が得られると考えています。
これらの目標に向けて、固定費の削減と着実な成長の2つの改善要因がありますが、左側に大きく3,000億とあり、右側に1,800億とあります。これらの改善をかさねますと8,700億、約6%となります。3,000億円については元々は当初から予定していた固定費があり、これは既に過去から持っている固定費もあれば、今投資をしている、あるいはこれから投資していく部分の固定費もございます。これらを約3,000億円削減、あるいは圧縮することが大きな塊の3,000億円の構成となります。それらに加えて、13兆から14兆5,000億への着実な成長に向けて着実に1,800億円程度の収益増を確保していくということです。この2つが大きな柱でございます。そして、結果として、改善していく大きな事業は米国事業でございまして、これらのうちの40%程度を米国の改善から捻出して進めてきております。
3,000億円については、ほぼ9割方はめどがついているということでございます。成長の部分の1,800億円については、これは先ほど申し上げた通り現在の13兆円から14兆5000億円ということで成長させていく中で確実に収益を上げていくことです。今年度の第1四半期は販売台数は、当初の見込みから少し下振れをしておりますが、ここから徐々に売上高を上げていく取り組みを今後3年間あるいは今年度、その後の3年間でしていくのが1,800億円の中身でございます。
3,000億円の部分についての話ですが、次のページを見ていただくと、これは当社の生産能力のグラフです。ここにありますのは2018年度の中国を含めたグローバルの生産能力であり、これは約720万台です。これを2022年度までに660万台まで持ってこようと考えております。これは中国の工場を含めた数字であり、中国の工場は今でもフル生産をして将来もフル生産という前提なので、中国を除くと10%以上の削減になります。そして、稼働率は現在の69%から、予定通り進むと86%になる見込みです。これは年間の稼働時間を5,000時間とした非常にストレッチしたベースで能力を測っており、5,000時間を前提にした86%というのは大変健全なレベルと考えております。
18年度及び19年度の途中ですが、生産ラインの停止あるいは能力の削減等も含めて8カ所で既に実施しています。それからもう一点ですが、今後は20年から22年までの間にさらに6カ所の6つの工場でさらにラインの停止や工場の停止、そして能力の削減を進めていく予定でございます。既に取り組んでいる、または終わった部分が8までであり、主に直接員で既に6400人分の仕事の能力を削減しています。その後、最後まで行きますと、1万2500人とありますが、これに相当する能力の調整あるいは削減ということです。今後6拠点については、具体的に検討を進めていきます。
次はこれから投資をしていく部分の選択と集中となります。収益性の低いものや今後も収益改善を見込めないものについては、今まで続けてきたものを打ち切る検討を進めております。ポートフォリオ、モデルの数で見て10%程度既にカットをすることを決めております。小型車やダットサンのポートフォリオを中心にかなり具体化をして既に決めております。
このように先ほどの表に戻りますが、このグラフのうちの3,000億円の部分は9割方めどをつけつつあるということでございます。
もう一度振り返ります。
中期計画の中ではアメリカのブレーキとヨーロッパの問題が大きく、その他の地域で事業を伸ばしたものを全体として見ると13兆円という売上高のまま停滞している。販売台数で見ても、550万台のレベルで停滞しているのが16年度、17年度、18年度、19年度です。そこから着実な成長として年で最低限3%の成長をしていきながら14.5兆円として、販売台数は600万台で6%のCOPマージンを確保した状態に持って行きます。固定費については、先ほど3,000億円のチャレンジをして今9割方めどがついていると申し上げましたのは結果として、今後3年間あるいはその先を含めて成長するための投資は継続しますのでその部分の固定費は増えていきます。開発費につきましては18年度及び19年度に対して10%増やしていきます。その上で、3,000億円の既に行った投資やこれから投資をするものを含めて固定費の削減をしていくので、今の足元のいわゆる総固定費に対して、開発費は10%伸ばすものの絶対値としてやや減少するというところまで計画化されているということでございます。
一方、14.5兆円まで年間3%相当の確実な成長をしていくにあたって、投資をして確実に新技術や新商品を投入しながら「ニッサン インテリジェント モビリティ」という上流工程から下流工程まで含めた戦略で徐々にブランドのバリューを上げて、販売そして収益性を上げていきます。この期間中に20モデル、20の新型車を投入する予定であり、順調に進めています。「スカイライン」につきまして新しいプロパイロット2.0の技術を搭載して発表しています。この期間中は平均の車の古さについて、5年を超えているところから3.5年まで若返らせていき、確実に成長していく上でのバックグラウンドになります。
技術的なところでは、ゼロエミッションや電動化で業界をリードしていきます。特にニッサン インテリジェント モビリティのベースとなるEVとe-POWERにはそれぞれモーターを2基搭載して四輪駆動にした非常にハイパワーで高性能なモデルを期間中に順次投入するべく今立ち上がりに向けて仕事をしています。今後は、日産リーフあるいはノートやセレナのe-POWERに加えてバリエーションに富んだ商品、例えば電気自動車では軽や大きなCクロスオーバーが、e-POWERについてはハイパワーな大型車や、FRのモデルを、期間中に投入していきます。
また、自動運転の技術についてです。運転支援技術「プロパイロット」としてスタートして以来、35万台以上の販売をしています。今後は、年間100万台まで増やしていくと同時に技術的に進化させます。「プロパイロット2.0」をスカイラインに導入してハンズオフがありますが、高速道路におけるアイズオフやレベル3の技術を皆さんにお届けできる技術開発や商品化により、13兆円から14.5兆円に成長し、そして20の新型モデルを投入する中でこれらの技術が入ってきます。
新しいモビリティサービスの取り組みとしてウェイモとパートナーを組んで、ドライバレスの車のサービスを開発していく仕事もスタートしており、できるだけ早い時期に日本でドライバレスサービスにこぎつけたいと考えています。
我々は非常に厳しい収益状況ですが、2022年度には14兆5000億円の売上、6%のCOPマージンにして、加えてCASEの導入ということで業界の先へ行きます。「ニッサン インテリジェント モビリティ」の戦略の下でEVと自動運転車両の拡充、新しいモビリティサービスの展開で業界をリードしていく姿勢は変わりません。2022年度にはこのような収益の状態まで持って行くことを現経営陣の我々としてやらなければいけません。
それに加えて、我々経営陣の若返りの半分が終わったところです。22年以降を踏まえて若い世代を中心にさらに宿題として残っているブランド戦略または再構築や、技術の日産としての次の方向性を決めていくということ。そして、我々の仕事をB to BのビジネスからB to Cにしてお客さまを見た仕事に進化させていくことを、新しい世代のメンバーを中心にさらに議論をしてこの3年間の行動計画に加えて、次の3年を充実したものにしていくのかを考えています。
以 上