2018年5月14日
2017年度決算報告
日産自動車株式会社
社長兼CEO 西川 廣人
まず2017年度の販売の状況、実績についてお話をします。
2017年度のグローバル全体需要は、前年比1.9%増の9,352万台、当社のグローバル販売台数は、前年比2.6%増の577万台に達しております。マーケットシェアは0.1ポイント増え、6.2%でした。次に地域別について少しお話したいと思います。
まず日本ですが、全体需要は前年比2.4%増の520万台、当社の販売台数は、完成検査問題によるリコール、出荷停止の影響がありましたが、結果的には、4.8%増の58万4,000台となり、マーケットシェアも11.2%、0.2ポイント拡大いたしました。好評いただいています「ノートe-POWER」、そして、「セレナe-POWER」、新型リーフに加え、「デイズ」と「デイズ・ルークス」が、販売増に貢献しています。
次に中国です。中国の会計年度はご承知の通り1月から12月ですが、全需が前年比1.8%増2,735万台というなか、当社の販売台数は大きく伸び、前年比12.2%増の152万台、市場占有率は、5.6%でした。「エクストレイル」それから「シルフィ」が販売をけん引しています。また、2018年度、1月から3月までが第一四半期になりますが、全体需要を上回り、33万6,000台の販売となり、引き続き好調を維持しています。
次に北米です。米国の全体需要は、1,731万台で、これまで需要が順調に伸びてきたなか、17年度は1%減と、減少へ転じました。当社の販売台数は微増で、159万3,000台となり、結果として、マーケットシェアは9.2%となっています。「ローグ」と「ローグスポーツ」が販売を支えています。カナダは、前年比6.6%増、シェアは7.2%へと拡大し、順調です。メキシコは、全体需要が8.9%減という中で、当社の販売台数も、前年比で14.3%減で、35万1,000台に留まりました。引き続き23.5%の高いマーケットシェアを維持し、首位のポジションを維持しています。
欧州は、全需が1,831万台で1.5%伸びる中、当社は残念ながら販売台数65万2,000台、4.6%減ということになりました。ロシアでは、全需は増加しており、当社も販売台数を伸ばしましたが、やや全需の伸びについていけず、シェアを若干落としているのが現状です。
その他の市場は4つ、アジア・オセアニア、中南米、中東、アフリカその他があります。この中で、中南米は順調に成長しています。アフリカその他も順調に成長しています。中東は、全需が落ちる中で、当社の落ちはそれを下回るということで、健闘しています。アジア・オセアニアだけ、まだまだ販売が伸びていないということです。18年度以降は攻勢に転じられると見ております。以上が販売の実績です。
次に財務実績のフラッシュです。
売上高は微増の11兆9,512億円です。この中で、営業利益が残念ながら減益。そして当期利益は、米国の税制改正の影響があり増益という事になっています。フリーキャッシュフローは4,070億円で、順調に推移しています。結果として、キャッシュも1兆7,000億を超えるレベルになりました。
次は、財務実績の詳細です。繰り返しになりますが、売上高は11兆9,512億円、営業利益が5,748億円、営業利益率は4.8%、当期純利益は7,469億円です。
次に増減分析です。
残念ながら、前年、当初見通しに対して下方修正をいたしましたが、下方修正をした数字、5,650億円に対して、第4四半期に挽回して5,748億円となり、結果的にそれを上回ることができました。
次に、前年度に対する増減分析です。まずカルソニックカンセイを外し、補正をしますと、起点が6,997億円となります。ここから為替は若干のマイナスですが、あとはコスト側の改善が1900億円強あります。そして、原材料の上昇があって、結果的に960億円程度プラスになっています。さらに台数・構成とマーケティング費用が、大きくマイナスし、それぞれ1,058億円と409億円のマイナスとなりました。そこに対して、R&Dは毎年少しづつ増やしていますが、今期も322億円増やしております。さらに、アフターセールス、セールスファイナンス等が含まれている、その他のパフォーマンスで挽回しましたが、結果として、パフォーマンスのレベルでみると、6,752億円となっています。
そこから特別項目として、日本の完成検査の問題での約900億円、そして、アメリカのタカタ関係のクラスアクションの100億円、合計1,000億円が結果としてネガティブにきいて、5,748億円、という結果になりました。
次のページは、中期計画ベースでの我々のパフォーマンスを評価しています。 中国事業を、比例連結で入れたベースです。このベースでみると、売上高は13兆3,000億円で、順調に伸びています。営業利益は、7,424億円、売上高営業利益率は、5.6%でした。
次に、事業のハイライトを申し上げます。
去年、次の中期計画の初年度として、この二つのミッションを軸にした中期計画を立ち上げました。着実な成長と進化です。
成長を支えるものとして、新車の投入、新技術の投入を積極的に行っていきます。このスライドが17年度に投入したものです。新型「リーフ」、そして「セレナ」にe-POWERを搭載。「エクストレイル」、「ローグ」にプロパイロットを搭載。そして新車としてダットサン「クロス」。成長の大きい中国市場のローカルブランドで、ヴェヌーシアの2車種を投入しました。それに加え、新車を他の地域に投入し、17年度では、「ローグスポーツ」、「キャシュカイ」を米国、カナダへ投入、「キックス」を中国へ展開、ピックアップの「ナバラ」を中国へ投入しました。
18年度は、同じように新車を投入、そして新技術の展開を進めていきます。新型リーフについて、より航続距離を伸ばし、速くパワフルにということをテーマにしたバージョンを追加します。そして、新型「アルティマ」を投入。それから、中国では、「シルフィ」のEV、「シルフィ ゼロ・エミッション」を投入します。「キャシュカイ」、「ローグスポーツ」には、プロパイロットを投入します。それから、新型のインフィニティ「QX50」にプロパイロットと可変圧縮比エンジンのVCターボを搭載。そして、フレームベースの新たなSUV「テラ」を投入。これが、18年度の主な新規投入、新規展開計画です。それに加え、グローバル車種の「キックス」を、米国へ展開していく予定です。これらの新型車は、販売に大きく貢献することを期待しています。
次に、成長をポイントにした中期計画の柱です、中国での成長はジョイントベンチャーの中期計画として、昨年度、トリプル・ワンとして発表していますが、100万台の増販の取り組みを始めています。17年度も、150万台を超え順調に推移しており、18年度は169万台で、11%の増加を目指して順調に推移しています。
次にもうひとつの中期計画の柱、成長の柱ですが、これは日産が持っているポテンシャルをフルに発揮するということで、競合他社に対してまだ後れを取っている、挽回していくという意味でのピラーでありますが、ピックアップ・フレームSUVの拡大です。昨年度52万9,000台で、着実に成長しています。今年度の計画は60万台で、成長のペースを倍増し、22年度の79万台に向けて順調に推移をしています。
次に、成長に加えて、日産インテリジェントモビリティ、進化の部分です。まず電動化です。2017年、新型「リーフ」を発売して、グローバルに展開しています。「リーフ」の累計で言うと、既に32万台を超える販売をし、新型リーフでは、半年の間に3万2,000台と非常に順調に販売を伸ばしてきたと言えます。日本では、「リーフ」に加えて、「ノートe-POWER」、「セレナe-POWER」で、電動化を加速しています。それから、我々のジョイントベンチャーであるDFLが販売しています中国におけるEVですが、中国固有のEVも含め23,000台を販売し、2017年度は2016年度に比べて約3倍になっています。これに加えて、バージョンアップした新型リーフを発売していく。そして、シルフィのゼロエミッションを中国へ投入していく予定で、中国はさらに販売を拡大していくという計画を持っています。
ニッサンインテリジェントモビリティの自動運転も順調に伸ばしております。新型「リーフ」、さらに「エクストレイル」と「ローグ」にプロパイロットを搭載しました。既に、米国でも導入したということです。米国、欧州で導入して、結果として、今現在12万台以上の車がプロパイロットを導入して、お客様にお使いいただいています。18年度、さらに、新型「アルティマ」、「キャッシュカイ」、「ロ−グスポーツ」、インフィニティ「QX50」 へ展開していきます。
次に、新事業領域の新モビリティ・サービスでは、国内でEasy Rideとして、ロボタクシーの実証実験をDeNAと一緒に実施をしたことが、大きな進展です。また、既存の カーシェアリングのプログラムとして、「NISSAN e-シェアモビ」を拡大しており、さらに、当年度、現在の約30拠点を500拠点まで拡大して行きます。グローバルでは、中国で、電気自動車を使った新しいカーシェアリングプログラムとして、中国の滴滴(ディディ)と協業についてMOUを結んで検討に入っています。18年度、このような仕事、サービスを新しく拡大していくことを検討しています。
次に、最後になりましたが、アライアンスです。昨年度、ご案内したとおり、今年度、4月の頭から、シングルリーダーの下、さらに機能統合の規模と範囲を拡大して、仕事を始めています。三菱自動車も範囲に含んで、仕事を開始しており、更なるシナジーを目指して取り組みが加速しています。以上が、昨年度のビジネスハイライトです。
次に、2018年度についてお話をします。
2018年度の販売ですが、グローバル全体需要は前年比2%増の9,540万台を前提としています。そのなかで、当社のグローバル販売台数は前年比2.7%増の592万5,000台を計画しています。米国、欧州は今年度は販売の減少を想定せざるを得ない状況ですが、それを補って、日本、そして中国、中南米、ASEAN等々で販売の増加を想定しています。
この販売計画に基づき、収益予想を立て、東京証券取引所にお届けいたしました。これは持分ベースで、中国は、売上高や営業利益に入っていません。このベースで、販売台数は592万5,000台、売上高は12兆円、営業利益は5,400億円、営業利益率は4.5%、当期純利益は5,000億円です。この前提となっております為替レートは105円/ドルと、130円/ユーロです。
増減分析ですが、先ほど申し上げた今年の特別な項目である日本における完成検査の問題と、アメリカのクラスアクションのコストは無くなりますので、この分は挽回し、1000億円。次にコスト、販売側のパフォーマンスで、1,400億円強をプラスとみています。この中にはネガティブな要素として、ユーロ6dの導入によるコスト増加、 米国のクラッシュテストに対する補強などのネガティブなコストインパクト6-700億円を含んで1400億円の改善となります。それに対して、研究開発、R&Dは今年も積極的に増やしていくことを想定し、440億円の増加。それと、原材料の800億円、そのほかのマイナスが200億円あり、結果的にパフォーマンスベースでみると、昨年度の5,750億円に対して、6,750億円で、1,000億円の改善を見込んでいます。先ほど申し上げた為替、105円/ドルと、ほかの通貨もネガティブに作用することを見込んでおり、その部分を含めて1,350億円のマイナスで、改善分を完全にウォッシュアウトされ、5,400億円の営業利益を想定することで、お届けしました。
次に株主様への還元ですが、前回申し上げたとおり、2017年度の通期配当は予定通り53円を配当させていただくつもりです。そして18年度の配当ですが、継続して、積極的に配当していくということを想定し、利益の状態から若干ペースは落としますが、ひきつづき増加をさせ、57円の配当をしたいと考えています。
以 上