スピーチ


2017年7月27日

2017年度第1四半期決算発表
日産自動車株式会社
常務執行役員 田川丈二

はじめに
2017年度第1四半期は、原材料価格の上昇、米国市場の鈍化に加え、中国と中東が当初の想定に反し伸び悩んだ他、欧州においては、モデルチェンジのタイミングの影響を受けました。
一方、好調な国内販売と、継続的なコストの効率化が、それらのマイナス要因を相殺し、想定通りの満足のいく結果を残すことができました。
2017年度第1四半期の連結売上高は2兆7,600億円、連結営業利益は1,533億円、売上高営業利益率は5.6%となりました。当期純利益は1,349億円、売上高純利益率は4.9%でした。自動車事業のフリーキャッシュフローは1,126億円、ネットキャッシュポジションは1兆6,460億円となりました。

販売実績
2017年度第1四半期のグローバル全体需要は前年比1.8%増の2,321万台となりました。
当社のグローバル販売台数は、前年比5%増の135万1,000台となり、国内を中心に販売が拡大しています。グローバル市場占有率は前年比0.2ポイント増の5.8%でした。

主な市場の販売状況は次の通りです。

日本国内の全体需要は前年比11.8%増の120万台となりました。当社の販売台数は前年比45.6%増の13万1,000台を記録し、市場占有率は前年比2.6ポイント増の10.9%に達しました。
販売を再開した軽自動車に加え、発売して間もない「ノートe-Power」と自動運転技術プロパイロットを搭載した「セレナ」を中心とする、登録車の好調な販売が、引き続き台数増を支えています。2017年度は、6月に発売しましたプロパイロットを搭載した新型「エクストレイル」と9月に発表予定の新型「日産リーフ」により、更に業績向上を図っていきます。

会計年度が暦年ベースの中国では、第1四半期の全体需要は前年比5.2%増の664万台となりました。当社の販売台数は前年比5.3%増の31万4,000台となり、市場占有率は4.7%でした。「キャシュカイ」と「シルフィ」を中心とする商品が台数増に寄与しています。
中国の会計年度は3か月のずれがあるため、第2四半期の販売台数も揃っています。4月から6月までの中国の全体需要は前年比1.2%減の596万台に留まる一方、当社の販売台数は前年比8%増の33万6,000台に達し、市場占有率は5.6%でした。1月から6月までの中国の全体需要は前年から2.1%増加し、当社の販売台数は前年比6.7%増の65万台となりました。

北米の全体需要は前年比2.1%減の540万台に留まりましたが、当社は市場をアウトパフォームし、前年比0.6%増の53万2,000台を販売しました。
米国の全体需要は前年比3%減の442万台となる一方、当社の販売台数は前年比1.2%増の40万3,000台となり、市場占有率は9.1%となりました。好調な「ローグ」と発売から間もない「ローグ スポーツ」を中心とするSUVが、けん引役を果たしました。
カナダでは前年比4.6%増の41,000台を販売し、市場占有率は前年並みの6.7%でした。
メキシコの当社の販売台数は前年比3.7%減の88,000台に留まったものの、首位の座を維持し、市場占有率は24.1%でした。

ロシアを含む欧州における当社の販売台数は18万5,000台となり、前年から1.1%増加しました。ロシアを除くと、欧州の販売台数は前年比0.2%減の16万2,000台で、市場占有率は前年並みの3.4%でした。これは、「キャシュカイ」「エクストレイル」のモデルチェンジを控えたタイミングであったことから、想定された結果でした。新型「キャシュカイ」は第1四半期末、新型「エクストレイル」は7月にそれぞれ発売され、今後の販売台数の改善に寄与することを見込んでいます。
ロシアにおける当社の販売台数は前年比10.8%増の23,000台となり、市場占有率は5.9%でした。

その他市場における当社の販売台数は、一部の不安定な市場がある中、前年比1.2%増の18万8,000台となりました。アジアとオセアニアを除き、すべての市場で、日産は市場をアウトパフォームする結果となりました。
アジアとオセアニアでは、前年比1.2%減の83,000台を販売しました。中南米の販売台数は前年比14%増の43,000台、中東の販売台数は前年比5.8%減の42,000台となりました。アフリカとその他市場における販売台数は前年比1.9%増の20,000台となりました。

財務実績
次に2017年度第1四半期の財務実績をご説明しますが、これまでの発表と同様に、中国の合弁会社に持分法を適用する会計基準に基づき、ご報告いたします。

  • 連結売上高は2兆7,600億円となりました。
  • 連結営業利益は1,533億円、売上高営業利益率は5.6%となりました。
  • 当期純利益は1,349億円、売上高純利益率は4.9%となりました。

連結営業利益の増減要因は次の通りです。

  • 昨年度実施したカルソニックカンセイ社の株式売却による影響61億円を調整しました。
  • 為替変動は21億円の減益要因となりました。
  • 原材料価格の上昇は190億円の減益要因となりました。
  • 台数及び車種構成は181億円の増益要因です。
  • 販売マーケティング費用は増加し、508億円の減益要因となりました。
  • 購買コストの削減と商品性向上コストを含むコスト項目は、482億円の増益要因となりました。
  • 研究開発費及び生産コストは71億円増加しました。
  • その他項目は37億円の減益要因となりました。

中国合弁会社比例連結ベースの財務実績は次の通りです。

  • 連結売上高は3兆300億円でした。
  • 連結営業利益は1,857億円、売上高営業利益率は6.1%となりました。
  • 当期純利益は1,349億円でした。
  • 自動車事業のフリーキャッシュフローは1,283億円でした。
  • 自動車事業のネットキャッシュポジションは1兆8,250億円となりました。

まとめ
2017年度第1四半期は、原材料価格の上昇、米国市場の鈍化、中国と中東の想定に反する伸び悩み、そして欧州のモデルチェンジのタイミングの影響がマイナス要因となる中、満足のいく実績を残すことができました。
国内販売の回復と、最近投入した新型車の好調な販売は、心強い限りです。

今後は、米国の「ローグ スポーツ」、そして中国の「キックス」、「ナバラ」、「エクストレイル」、ヴェヌーシア「M50V」等の、発売して間もない新型車に支えられ、複数の重要な市場で販売台数は伸びる見通しです。西ヨーロッパには、新型「キャシュカイ」と「エクストレイル」を投入しましたが、両車種ともに旧型車はベストセラーでした。日本国内では、先日新型「エクストレイル プロパイロット」を発売し、9月には新型「日産リーフ」のお披露目も控えています。

ルノーや三菱自動車とのアライアンス活動による効果も引き続き増大していきます。2016年度、アライアンスは前年比16%増の50億ユーロにのぼるシナジー効果を創出したと発表しました。更に、アセアン地域を中心に、三菱自動車とのアライアンス活動も心強いシナジー効果を生み出しつつあります。

今後も年度を通して、ぶれない活動とコスト管理を徹底し、事業の更なる効率化を図っていきます。市場の先行き不透明感と原材料価格の上昇は想定されるものの、2017年度も確かな収益とフリーキャッシュフローを確保することができると見込んでおります。また、日産の主要市場でのブランド力・商品競争力の向上やコスト削減の効果による収益性の改善を評価し、格付け機関のS&Pが6月に当社の長期格付けをシングルA、短期の格付けをA-1に、それぞれ1ノッチ格上げしました。以上のことから、2017年度の通期予測に変更はなく、当初の計画どおり、前年に対し10.4%の増配となる一株当たり53円の通期配当を実施する予定です。

以 上