スピーチ


2016年6月22日

第117期定時株主総会 事業報告

西川CCO

2015年 度総括
2015年度、当社は着実な業績の向上を実現することができました。中期経営計画「日産パワー88」で目指す、連結売上高と営業利益率の向上、この狙いに向けて、確実に事業運営の効率改善を進めることができたと思っております。モノづくりの効率の改善、原価低減に加え、販売側の運営効率の改善が大きく貢献しました。

通期の連結売上高は、8,143億円増加し12兆1,900億円となりました。連結営業利益は前年から34.6%増加し7,933億円となり、売上高営業利益率は6.5%となりました。当期純利益は5,238億円、そして自動車事業におけるフリーキャッシュフローは、4,812億円のプラスとなり、結果、ネットキャッシュは、1兆5,030億円と前年度末から更に改善しました。

以上の健全な業績を反映し、2015年度通期の配当金は、1株につき42円を予定しています。また、当社は株主の皆様への還元を強化しており、年内に3億株、または4,000億円を上限とした自社株買いを今年2月に発表し、現在計画通り実施しています。

グローバル販売
次にグローバルの販売ですが、一部地域で苦戦したものの、引き続き好調な北米、そして西ヨーロッパの需要増に支えられ、前年度から10万台増加し、542万台と過去最高となりました。

主要地域ごとに見ると、

日本
まず国内の全体需要は減少し、当社の販売台数も減りました。新型車の投入が少なかったことが、台数減の一因ではありますが、人気の「エクストレイル」にハイブリッドを追加しご好評をいただきました。日本市場については、15年度は16年度以降の巻き返しのための準備として、様々な取り組みを進めました。おなじみの「やっちゃえ日産」など、積極的なブランド・キャンペーンを展開、加えて販売店舗の改修や人員の増強を行い、しっかりとした準備を進めることができたと思います。

中国
中国では、競争環境が厳しさを増す中、引き続き日系ブランドで、ナンバー1の座を維持しました。 「エクストレイル」や「シルフィ」の販売は堅調で、加えて新型「ムラーノ」、そして「ラニア」の投入が、販売を、力強く支えています。また、ヴェヌーシア・ブランドに、コンパクトSUV「T70」も加わり、当社のラインアップは更に充実しました。

当社は、パートナーである東風汽車と、大変良好な協力関係を築いており、生産の現地化や販売網の強化など、厳しい競争に対処すべく、適切に取り組んでいます。

北米
北米では、過去最高の販売を記録しました。米国では、「ムラーノ」、「アルティマ」、「ローグ」が好調でした。また8代目となる「マキシマ」と、ピックアップトラック「タイタン」を発売し、結果として市場占有率を8.6%まで伸ばし、ホンダとの差を0.5ポイントまで縮小しました。カナダでも全体需要を上回る販売を達成し、メキシコでも首位の座を維持しました。

欧州
ロシアを除く欧州では、需要が回復した中、当社も販売を伸ばし、EU圏で日本、韓国ブランドを合わせたアジア系ブランドナンバー1となりました。一方ロシアでは、全体需要が前年に対し32%減と大幅に低迷し、販売台数は減少したものの、市場占有率は前年並みを維持しました。

以上の地域ごとの業績に加え、グローバルでの2つの取り組みについて、進捗をご説明したいと思います。

インフィニティ
まずプレミアム・ブランド、インフィニティについてですが、順調に拡大しており、前年から15%増となる20万台を超える販売となりました。「Q50」と「QX60」、そして初めて欧州で生産する新型車「Q30」、これらは、様々な地域でご好評を頂いており、販売も順調です。中でも中国においてインフィニティは、プレミアム・ブランドの中で、最も早い成長を遂げています。

ゼロ・エミッション
次に、ゼロ・エミッションですが、「日産リーフ」に進化した30kWhのバッテリーを搭載し、航続距離を20%以上伸ばしたモデルを追加しました。日本では12月末の発売以降、1月から3月までの販売が前年同期に対し+80%と大きく伸ばしました。当社は今後も、ゼロ・エミッションに対し、変わらぬ姿勢で取り組んで参ります。

以上が販売、財務実績でのハイライトになります。ここから、昨年度実施した主な施策と、トピックスについて、ご説明したいと思います。

好意度向上のために
当社は、会社や商品に対する好感度と信頼、そしてそれを支える品質の向上について、重点的に取り組んでいます。製品の品質では、開発から生産立ち上げ準備までの間に、様々な品質向上プロセスを導入しました。高い品質で発売をした、「エクストレイル」、「ローグ」、そして「キャシュカイ」は、より高い好感と信頼をもって頂ける商品となり、グローバルでの販売も好調です。

当社は、開発、生産段階で不具合を出さない、といったモノづくりとしての基本はもちろん、お客さまの目から見て、より高いレベルで満足していただける商品、サービスをご提供する取り組みについて、今後も更なる改善に取り組んでまいります。

アライアンスとパートナーシップ
次に、パートナーとの協力関係について、触れたいと思います。

まずルノーとのアライアンスについては、昨年、ルノーの一部株主の議決権を2倍にするという通称フロランジュ法の適用の件について、当社、ルノー、そしてフランス政府の3者は、同法適用に伴うフランス政府からルノーへ、そして日産を含むアライアンスへの影響力の増大について話し合いを持ち、最終的に合意に達しました。その結果、フランス政府からルノーへの影響の増大を限定的なものとし、また当社としては、アライアンス契約の改訂を通じて、経営の自主性、独立性の担保を確実なものとしております。この合意により、日産・ルノー両社が、この17年間力を合わせて築き、双方に有利な「Win-Win」の相乗効果を生み出してきたこのアライアンスの基盤を、将来に向け、さらに強固にする事ができたと認識しています。

力強いアライアンスは、両社の強さの源泉であり、今後も大きなシナジーを生み出していきます。2015年には41億ユーロを創出、そして2018年に年間55億ユーロへの拡大を目指しています。

次に、三菱自動車との協業について、触れたいと思います。はじめに、「デイズ」及び「デイズ ルークス」の燃費にかかわる問題について、年度の出だしから販売停止と、当社のお客さま、そして株主の皆様へご心配をおかけしております。大変申し訳なく思っております。三菱自動車の開発過程で行われた数値の改ざん、及び法令に定められた手続きに違反したことは、あってはならないことであります。三菱自動車としては、原因究明の上、再発防止を徹底して実行していただくことが急務であります。

当社といたしましては、お客さま対応を第一として、一刻も早く適切な対応をさせていただくとともに、販売を停止しております「デイズ」「デイズルークス」の販売再開に向け、三菱自動車と協議を進めているところです。また、再発防止についても三菱自動車からの要請があれば、協力していく所存です。

一方で、将来を見据え、当社は三菱自動車と、戦略提携契約 (Strategic Alliance Agreement)を締結いたしました。詳細はこの後CEOのゴーンよりご説明いたします。この契約により、予定通り進めば当社は筆頭株主となり、三菱自動車が直面している現在の課題への対応のサポートとともに、将来へ向けて、「Win-Win」となるシナジー効果を生み出してまいります。

まとめ
以上が2015年度に関するご報告であります。繰り返しになりますが、2015年度、当社はグローバル市場の厳しい環境の中でも、着実に前進し、収益性、事業効率の向上を実現することができました。

このように総括し、業務報告とさせて頂きます。

 

ゴーンCEO

はじめに 2015年度概況
当社は正しい道を進んでいます。2015年度は飛躍的に勢いを増し、効率性を上げ、より革新的で、よりお客さま対応に優れた組織となりました。

過去最高の販売台数を記録したことに加え、複数の戦略的なパートナーシップを深化、拡充し、更なる効率化を進めています。同時に、財務規律の徹底も続け、その結果、確かなバランス・シートを実現しました。各ブランドも向上しています。画期的な技術開発が、日産自動車を電気自動車セグメントにおけるグローバル・リーダーの座に押し上げました。より進化した電気自動車、自動運転車、そしてネットワークに常時接続するコネクテッド・カーをはじめとするインテリジェント・モビリティをご提案する取り組みも加速しています。

今後の見通し 2016年度とそれ以降
以上の成果を足場に、当社は更に発展していきます。中国では日系ブランドナンバーワン、欧州ではアジアメーカーナンバーワン、そして米国では日系メーカー2位の座を守る決意です。また国内市場では2位を目指し、リードする同業他社との差を埋めていきたいと考えております。

世界中に28にのぼる生産工場をもち、167カ国で事業を行う日産自動車は、2016年度とそれ以降、自動車業界における地位を更に高めるのに必要な力と、グローバルな体制を有しています。以上のような経営資源に加え、当社には株主の皆様とお客さまに新たな価値をご提供するのに必要な、将来に向けた展望、固い決意、そして人財が揃っています。

2016年度のグローバルな見通し
2016年度は更なる進歩を遂げる年となるでしょう。今年度も販売台数の記録を更新する構えです。今年度に予定している新型車の発売と、お客さまの経験全体を向上させる取り組みの強化が、業績向上を支えます。日産自動車とアライアンスを結んでいる各社は、三菱自動車とのパートナーシップの深化に向けた取り組みによるメリットも享受します。

各地域の見通し
では、主な市場とビジネスユニット毎の販売・生産に関わる好機と課題についてご説明したいと思います。

日本
国内では、前年に引き続き厳しい環境が予想されます。2016年度には、中核モデルの一部を刷新します。最新のEVパワートレインを搭載した新型コンパクトカーの投入を控えています。

この新型車は、航続距離の拡大と、燃費の向上を求めるお客さまニーズにお応えします。本モデルに搭載する新しい「e-Power」システムは、日産リーフに匹敵する軽快な走り、静粛性、優れた加速性能、そして低燃費を実現しています。

また、今年度は最新の自動運転技術である「プロ パイロット」も商品化します。「プロ パイロット」は、2016年度末までに国内で販売する中核モデルの8割に標準化する予定の既存の自動ブレーキ技術を更に発展させたものです。本システムは、単一車線での自動走行機能を搭載し、より安全で効率的なドライビングをご提供します。まずは国内に投入し、続いて米国、欧州、中国で商品化する計画です。

そして株主の皆様には、一足早くこれらの新型車をお目にかけるべく、特別に発表会と試乗会を今年後半に企画しております。

中国
次に世界最大の自動車市場である中国では、当社は日系ブランドナンバーワンであり、インフィニティは、同国で最も成長著しいプレミアム・ブランドです。ただし、より大きな力を発揮する余地はまだあると信じています。

2016年度は、新型「シルフィ」、新型「マキシマ」、そして新型「ティーダ」の投入で業績向上を図り、競争力溢れるラインアップで、130万台の販売を狙います。

更に、2016年末に向けて、東風と共に手がける自主ブランドで8車種目となる、新型ヴェヌーシア「T90」を投入します。今後はヴェヌーシア・ラインアップの8割に「i-safety」の機能を採用する計画です。「i-safety」には、自動ブレーキ、ブラインド・スポット・ワーニング(死角検出警報)、ドライバー・アテンション・アラートをはじめとする装備が含まれます。

本活動は、中国のお客さまにインテリジェント・モビリティをご提案するという当社のコミットメントの証で、清華大学との協業のもと開発を進めています。

北米 米国
北米では、この2年間で果たしてきた成長を足場に、更なる発展を目指します。

米国では、ニッサン・ブランドが、2015年度に主なブランドの中で唯一市場占有率を伸ばしました。乗用車販売ランキングトップ10には、「アルティマ」と「セントラ」の2車種が名を連ねています。「ローグ」の販売も好調です。

2016年度は、先日発売した新型「マキシマ」とフルサイズ・ピックアップトラック「タイタン」などの新車効果を見込んでいます。プレミアム・セグメントについても、インフィニティ・ブランドに新型車を投入し、拡大を図ります。

欧州
欧州では、ロシアで厳しい環境が続くものの、更なる台数増を見込んでいます。欧州における当社の強みは「キャシュカイ」と「ジューク」をはじめとするクロスオーバー・ラインアップです。また今年は、新型「マイクラ/マーチ」の生産が始まりますが、同モデルは今回初めてフランスのルノーの工場で生産することになります。

インフィニティ・ブランドの拡大も続きます。ご好評いただいている英国製の「Q30」をテコに更に発展させていきます。

インフィニティ
プレミアム・ブランドのインフィニティにとって、2016年は重要な年となります。

現在、インフィニティのモデルは、日本、米国、中国、英国の4カ国、3大陸で生産しています。今年、アライアンスとダイムラーはメキシコで共同生産工場の準備が整い、今後インフィニティとメルセデス・ベンツの車両生産を行っていきます。生産能力の増強で、インフィニティは飛躍的な成長を果たす態勢が整いました。グローバルな商品ラインアップの拡充もそれを後押しします。

インフィニティは今まさに、創業以来、最も心躍る新車攻勢の真っ只中にあります。2016年度の半ばまでに、セダン4車種、クロスオーバーとSUV5車種をラインナップに揃える計画です。またこの2年間でほぼ全ての商品で次期型への切り替え、または大幅なグレードアップを実施しました。

2016年度に投入する新型車の一つは今夏発売予定のアクティブ・クロスオーバー「QX30」です。最先端の「QX30」にはインテリジェント4WDを搭載し、欧州、北米、中国の新たな世代のプレミアム・ユーザーを狙います。

今年の秋にはスポーツクーペ新型「Q60」の発売も控えています。「Q60」は今年開催されたデトロイトの北米国際オートショーで発表したモデルの中で最も話題を呼びました。新開発のツイン・ターボチャージャー付3リッターV6エンジンを搭載し、最大で400馬力を実現しています。

商品力の強化と増産で、インフィニティ・ブランドは今年度更に成長する見込みです。

ダットサン
2016年はダットサン・ブランドにとって成長の年となるでしょう。ダットサン初のアーバン・クロスオーバー「redi-GO」をインドに投入し、商品ラインアップの拡充を図ります。「redi-GO」は最新のアライアンスCMF-Aプラットフォームを採用し、高効率な新型エンジンを搭載しています。同モデルはインド市場で販売するダットサン・モデルの第三弾であり、ダットサン全体としては2年前にこの象徴的なブランドが復活して以来5つ目のモデルとなります。

ダットサン・ブランドを展開するインド、ロシア、南アフリカ、そしてインドネシアの4市場での累計販売台数は15万台を突破しました。

販売金融・アフターセールス
お客さまの経験全体、ブランド価値、そして売上高の更なる向上に向け、販売金融とアフターセールスをはじめとする重要な事業部門も活用しています。お客さまのカーライフ全体を通じて、リース、サービス入庫、金融サービス、保険など様々な魅力あるサービスをご提供することで、大きな価値を生み出しています。

大半の市場で、当社の販売金融事業の利用率は上位2位の水準にあり、45%を確保しています。現在、販売金融事業は、当社の連結営業利益の総額の29%を占めています。販売金融の力を更に活かすべく、販売金融部門と販売マーケティング部門の連携を深めていきます。

同時に、アフターセールスにも力を入れていきます。アフターセールスは今や当社の連結営業利益の40%を占めており、2016年度には更に6ポイント拡大する計画です。そのために、顧客ビッグデータ分析、アクセサリー商品のパーソナライゼーション、そしてコネクテッド・カーのオプションでクルマをアップグレードするなど、様々な取り組みを進めます。

2016年度業績見通し
2016年度は世界市場の伸びを上回る拡販を実現し、引き続き売上高と利益の増大を図ります。当社のグローバル販売台数は前年比3.3%増の560万台を見込んでいます。売上高営業利益率についても、目標の8%に近づく計画です。実力値の面では、8%の達成に向かって順調に推移しています。しかしながら、今年度の利益率は為替変動による減益や複数の市場の変動をはじめとする大きな逆風に左右されることになるでしょう。

以上の見通しを鑑み、東京証券取引所には、次の通り2016年度通期予測を届け出ました。為替レートは慎重を期し、1ドル105円を前提としています。今からご説明します2016年度通期予測は、中国合弁会社に持分法を適用した値です。

2017年3月期の連結売上高は約11兆8,000億円。連結営業利益は7,100億円。売上高営業利益率は6.0%。当期純利益は5,250億円を見込んでいます。

2016年度配当政策・株主還元
損益と堅実なフリーキャッシュフローを反映した結果、今年度も積極的な配当政策を実施します。2016年度の通期配当は、14.3%の増配に相当する一株当たり48円に引き上げる予定です。少なくとも30%の配当性向を実現するというお約束に変更はありません。

2016年度の戦略
2016年度の目標達成を目指し、包括的なグローバル戦略の実行に取り組んでいます。本日は特に次の三つの重点領域についてお話ししたいと思います。

  1. 質の高い革新的な新商品と画期的な技術をお届けすること。
  2. 世界中のお客さまに当社の商品とブランドを知っていただくこと。
  3. アライアンスの強化とシナジー効果の深化を通じ、会社の競争力をあげること。

2016年度の新型車
2016年度はグローバルな商品ラインアップを拡充します。

キックス
先ほどご紹介しましたインフィニティとダットサンの新型車に加え、小型車のラインアップも強化します。小型車は当社の弱みでしたが、対策を進め、より大きな商品群に匹敵する競争力と利益率を実現します。幸い、本活動については、エントリーセグメントのラインアップをうまくマネジメントして利益の確保に成功しているアライアンス・パートナー、ルノーの知恵を借りることができます。

新型「キックス」をご覧いただければ、日産の進歩は明らかです。この使い勝手の良いコンパクトSUVは、本セグメントにおける当社の首位の座を磐石なものにしてくれるでしょう。「キックス」はグローバル商品ですが、まずは今年、中南米で発売し、その後、他の市場に順次展開していきます。ブラジル、日本、そして米国のチームが共同で開発した「キックス」を今夏開催される2016年リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの公式車両として披露します。

マイクラ(マーチ)
さらに、小型車のラインアップには、新型「マイクラ」が加わります。同モデルは国内で「マーチ」として販売しています。新型「マイクラ」はルノーの工場で生産されますが、あくまで純粋な日産車であり、当社のブランド価値を更に押し上げることになるでしょう。新型「マイクラ」は現行車から徹底的且つ飛躍的に改善し、お客さまのご要望にお応えします。

NV300
小型商用車についても、新型車の発売を控えています。投入予定の新型「NV300」バンは、「NV200」と「NV400」の間を埋めるモデルです。「NV300」はルノーと共同で生産を行い、アライアンス生産のシナジー効果を余すところなく活かしています。

NISSAN GT-R
今年の新車攻勢では、パフォーマンスを追及する熱狂的なクルマ好きのお客さまも忘れてはいません。この夏には、「NISSAN GT-R」2017年モデルが登場します。内外装を一新した最新型の「NISSAN GT-R」は、日産自動車のパフォーマンスを極める専門知識を体現した究極のシンボルとなります。

新技術
今後投入していく商品には、より安全且つ効率的な、ネットワークとつながったドライビングをご提供する新技術を搭載していきます。

それが、日産の「インテリジェント・モビリティ」の考え方です。この考え方のもと、電気自動車、自動運転車、そしてコネクテッド・カーをはじめとする最先端のクルマづくりの取り組みを整理します。これにより、当社は自動車業界が近年直面している技術変革の波の先頭に立ち続けることができます。

5年以上前、日産自動車は100%電気自動車の「日産リーフ」を発売してゼロ・エミッション・セグメントを創り出し、これまで世界で累計20万台を超える電気自動車を販売してきました。西川が申しましたように、「日産リーフ」の2016年モデルは大幅にグレードアップしました。

航続距離の改善と急速充電器の普及で、より多くのゼロ・エミッションのドライビングを実現します。日産は引き続き、世界中の行政や民間セクターのパートナーと力を合わせて、成功例となった日本国内のように、充電インフラの整備を推進していきます。

電気自動車の普及に加え、2020年までには、コネクテッド・カーも増やしていきます。ルノー・日産アライアンスは2020年までに、10車種を超える自動運転技術を搭載した商品を投入する予定です。

商品・ブランドの知名度の向上
お客さまには最高のドライビングをお届けするだけでなく、当社の商品とブランドをもっと知っていただきたいと考えています。

現在、ニッサン・ブランドは世界で最も価値のあるブランドの一つであり、インターブランド社による「ベスト・グローバル・ブランド」ランキングでトップ50に名を連ねています。更に順位を上げるべく、販売店で過ごしていただく時間もより魅力あるものにしていきたいと考えています。その一環として、店舗のデザイン、機能性、外装の改善を進めています。

画期的なマーケティング活動も実施しています。特に、クルマのパフォーマンスが重視されるセグメントでは、ニスモのモデルと最新の「NISSAN GT-R」が、世界中で熱狂を巻き起こしています。

さらに、2016年リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック競技大会のスポンサー企業としての取り組みを通じ、当社のブランド知名度は更に上がるでしょう。同大会は、世界で50億人以上が視聴する見込みです。

この他にも、欧州サッカー連盟UEFAチャンピオンズリーグ、アフリカネイションズカップ、国際クリケット評議会、そして地元のサッカーチームである横浜F.マリノスをはじめとする数々のスポンサーシップ活動も進めていきます。

アライアンスの強化、拡大
当社のもう一つの強みは、他メーカーと対等なパートナー関係を結び、アライアンス主導のシナジー効果を生み出す力です。これには原価低減に留まらず、生産能力を向上させ、パワートレインや技術開発を加速させ、そして競合他社に先行し、日産を自動車業界の巨人に押し上げる力があります。

アライアンス戦略を支える礎は、17年間に亘るルノーとのパートナーシップです。既に40億ユーロを超えるシナジー効果を2015年に創出したルノー・日産アライアンスの成果は明白です。今後は、購買、生産SCM、研究開発、人事の機能統合で更に増える見込みです。

アライアンスを通じ、パートナーであるダイムラーともエンジンの組み立てや共用プラットフォームの分野で協業しています。ロシアでは、アフトワズと協力し大きなシェアを獲得しており、市場が好転した暁には、成果を刈り取ることができます。

現在、ルノー・日産アライアンスは、世界で販売されているクルマの10台の内1台を販売し、世界で4番目の規模を誇る自動車グループです。先月、当社は三菱自動車との戦略的なパートナーシップを大きく深化させ、アライアンスを更に強化する決断を下しました。現在提案中の内容が実現すれば、日産自動車は三菱自動車の株式34%を取得し、同社の筆頭株主となります。

規制当局の承認が得られ、すべての手続きが完了した暁には、アライアンスのグローバル販売台数は年間950万台以上にのぼります。

本件は、日産自動車と三菱自動車双方にメリットをもたらし、大きなシナジー効果を約束するものです。購買、車両プラットフォームの共用、新技術の開発分担、生産拠点の共用、および成長市場を含む、複数の面で協力することで、両社は引き続きシナジー効果を生み出していくことができるでしょう。

これにより、主要な、自立した日系メーカー2社が躍動感溢れる協力関係を結ぶことになります。日産自動車と同様に、三菱自動車の財務状況も健全です。当社は、三菱自動車の強みであるピックアップトラック、SUV、プラグインハイブリッドを活用します。そして日産自動車には、三菱自動車が直面している課題解決をお手伝いする余地と、経営とコーポレート・ガバナンスの専門性があります。また当社は、三菱自動車が燃費に関するお客さまの信頼を回復する一助となる透明性と誠意も堅持しています。

消費者の皆様の信頼の獲得、維持は、日産自動車とアライアンスのあらゆる活動の中心です。日産自動車だけでなく、アライアンスの全てのパートナー会社が、アライアンスにおける三菱自動車の役割の増大によるメリットを享受できると信じています。

社会貢献・CSR(企業の社会的責任)
会社の財務健全性を向上させることは、会社を商品や技術開発においてリーダーの座に押し上げるだけではありません。世界で最も持続可能な企業の一つとなり、優れた企業市民の模範となるための取り組みを更に進めることができるようになります。

この活動を整理し、加速するべく、重要なポストを新たに設けました。チーフ・サステナビリティ・オフィサーです。このポストに、専務執行役員の川口 均が就任しました。

当社のCSR(企業の社会的責任)の取り組みは幅広いものの、目的はシンプルです。当社が事業を行うあらゆる地域に貢献すること。これが当社のCSRの目的です。社会貢献活動では、「環境」、「教育」、そして「人道支援」の分野に重点的に取り組んでいます。世界中で様々な取り組みを行っていますが、日本国内でも効果の高い取り組みを行い地域社会に貢献しています。

国内の復興支援
例えば、2011年以降、当社は東日本大震災の被災地の支援を続けています。

この5年間で、最も被害の大きかった地域の一部に援助物資と車両を寄贈しました。従業員ボランティアも被害地域の家屋の修理に携わりました。更に、日産プレジデント基金を通じて、被災地の子供たちを対象に、あそびの場や複数のプログラムの提供を実施しています。この会場のロビーに、取り組みの一部を展示パネルでご紹介しています。

更に、熊本地震と、昨年水害に見舞われた北関東の被災地でも、災害支援を行っております。支援活動は国内に留まりません。

その他地域の支援活動
海外でも、エクアドルとネパールの震災と米国の水害の被災地にも支援を行いました。

持続可能性に向けた幅広い活動については、6月30日に当社のホームページに掲載予定の2016年サステナビリティ・レポートをご参照ください。

まとめ
質疑応答に入る前に、改めて日産自動車の向かう方向に対する自信を表明したいと思います。

当社には明快且つ効果的な経営戦略が揃っています。2016年度に臨むにあたり、日産自動車は好位置につけ、株主の皆様に更なる価値をご提供する態勢にあります。

経営陣と従業員は一丸となって、長期的で持続可能な成長を実現し、お客さまの獲得・維持に努め、競合他社との利益の差を埋めると同時に、より安全且つ効率的で、つながった、自動運転技術を駆使したモビリティ社会の新たな時代への道を拓いていく所存です。

あらためて、日産自動車へのご支援・ご協力に心から感謝申し上げます。2015年度の事業報告と2016年度の見通しのご説明は以上です。

以 上