スピーチ


2017年2月9日

2016年度第3四半期決算報告
日産自動車株式会社
常務執行役員 田川 丈二

当社の業績は堅調に推移しており、自動車事業のフリーキャッシュフローは潤沢で、年度の台数見通しおよび財務実績見通しに対して順調に進んでおります。

2016年度第3四半期までの9ヵ月間は、前年に対し為替変動が逆風になったものの、しっかりとした業績を確保することができました。

2016年度第3四半期までの連結売上高は8兆2,600億円となりました。連結営業利益は5,032億円、売上高営業利益率は6.1%となりました。

当期純利益は4,142億円となり、売上高純利益率は5.0%でした。自動車事業のフリーキャッシュフローは1,661億円でした。これは、三菱自動車の発行株式34%を取得したあとの数字になります。この出資を除くと、自動車事業は4,035億円の潤沢なフリーキャッシュフローを生み出したことになります。2016年12月末現在の自動車事業のキャッシュポジションは1兆700億円となり、非常に強固な財務体質となっています。

財務実績は減収・減益となっています。その要因は大幅な為替の変動影響によるもので、コスト削減を中心とするビジネスの改善をもってしても、この影響を完全に相殺することはできませんでした。

前年同様の為替水準で計算すると、売上高は9兆4,300億円、営業利益は前年比30.1%増の7,646億円、売上高営業利益率は8.1%となります。

2016年度第3四半期の販売実績
2016年度第3四半期までの9ヵ月間のグローバル全体需要は6,716万台となり、前年から4.5%増加しました。

当社のグローバル販売台数は399万台となり、前年から2.6%伸びました。第3四半期の3ヵ月では、138万台の販売で、前年同期から8.3%の伸びとなり、全体需要の伸びを上回っています。

主な市場の販売状況は次の通りです。

日本国内の全体需要は前年比0.9%と微増の350万台となりました。当社の販売台数は前年比10.0%減の34万4,000台に留まり、市場占有率は9.8%でした。減少の主な要因は今年度前半の軽自動車デイズとデイズ ルークス販売停止の影響です。

既にデイズとデイズ ルークスの販売は再開し、新型セレナとノートe-Powerも計画通り発売しました。その結果、第3四半期の3ヵ月では全体需要が4.9%の伸びであったのに対し、当社の販売は13.1%増加しました。

2016年1月から9月までの中国の全体需要は前年比13.0%増の1,859万台に達しました。

当社の販売台数は8.2%増の92万9,000台となり、市場占有率は5.0%でした。ニッサンとインフィニティ両ブランドの商品の好調な販売が寄与しています。

2016年1月から12月までの中国における当社の販売台数は136万台となり、前年から8.4%伸びましたが、全体需要の拡大には追い付いていません。

主な要因は小型商用車市場の縮小です。当社の小型商用車の販売台数は4.3%減少し、市場占有率は5.7%となりました。一方、当社の乗用車販売は10.9%増加しました。

北米の全体需要は前年比1.0%増の1,626万台となり、当社は市場の伸びを上回る、過去最高の158万台を記録しました。第3四半期3ヵ月では、全体需要の伸びが1.7%であったのに対し、当社の伸びは7.9%となりました。

米国の全体需要は前年比0.4%減の1,346万台に留まったものの、当社の販売台数は前年比4.2%増の116万台に達し、市場占有率は8.7%となりました。好調な「ローグ」と「アルティマ」がけん引役を果たしています。

カナダでは前年比0.4%増の10万4,000台を販売し、市場占有率は6.7%でした。

メキシコでは首位の座を維持し、当社の販売台数は前年比17.0%増の31万3,000台、市場占有率は24.9%となりました。

ロシアを含む欧州における当社の販売台数は54万2,000台となりました。第3四半期3ヵ月では全体需要が2.9%伸びた中、当社の販売は4.0%増加しました。

ロシアを除くと、欧州の販売台数は前年比5.5%増の47万4,000台となり、市場占有率は3.6%です。

ロシア市場は引き続きルーブル安と景気の不透明感に影響され、低迷しています。当社の販売台数は前年比25.0%減の6万8,000台に留まり、市場占有率は6.1%と当社の見込みに沿った水準です。

その他市場の販売台数は前年比3.9%減の59万6,000台に留まり、全体需要の低迷が販売を押し下げています。しかし、第3四半期3ヵ月だけを見ると、当社の販売台数の減少は、市場の下落より小幅にとどまりました。

アジア・オセアニアの販売台数は前年比3.6%減の25万3,000台となりました。アフリカでは前年比14.3%減の6万4,000台となりましたが、これは当社が事業を行っている各市場での需要動向に沿っています。

中南米では前年を上回る13万2,000台、中東では14万7,000台に減少しました。

2016年度第3四半期財務実績
2016年度第3四半期の財務実績を、中国の合弁会社に持分法を適用する会計基準に基づき、ご報告いたします。

  • 連結売上高は8兆2,600億円となりました。
  • 連結営業利益は5,032億円となり、売上高営業利益率は6.1%です。
  • 当期純利益は4,142億円となり、売上高純利益率は5.0%となりました。

連結営業利益の増減要因は次の通りです。

  • 台数及び車種構成は1,266億円の増益要因となりました。
  • 販売費用は増加し、1,638億円の減益要因となりました。
  • 購買コストの削減を含むコスト項目は2,143億円の増益要因となりました。
  • 研究開発費は228億円減少しました。
  • 生産コストは97億円増加しました。
  • その他項目は131億円の減益要因となりました。
  • 為替変動の影響を除くと、営業利益は、前年に対し30.1%増に相当する1,771億円の増加となり、売上高営業利益率は8.1%に達しました。
  • しかしながら、為替変動が2,614億円の減益要因となり、営業利益の実績は5,032億円(売上高営業利益率6.1%)となりました。

中国合弁会社比例連結ベースの財務実績は次の通りです。

  • 連結売上高は9兆100億円。
  • 連結営業利益は6,019億円。
  • 当期純利益は4,142億円。
  • 自動車事業のフリーキャッシュフローは2,534億円。
  • 自動車事業実質有利子負債は1兆2,600億円のキャッシュポジションです。

中国合弁会社比例連結ベースの売上高営業利益率は6.7%です。為替変動の大きな逆風を除くと、売上高営業利益率は8.5%となります。

2016年度通期の業績見通しについては、前回の発表内容から変更はありません。

今後の利益と堅実なフリーキャッシュフローの見通しを鑑み、日産は引き続き積極的な配当政策を維持し、30%以上の配当性向を実現していきます。また、昨年11月には3億株にのぼる自社株買いを完了しました。通期の配当についても、以前申し上げた通り、14.3%増の一株当たり48円に引き上げる予定です。

まとめ
為替変動の逆風に直面する中、当社は着実な業績を重ね、事業の効率化を進めてきました。

当社は多額のフリーキャッシュフローを生み出し、健全なバランスシートを確保しています。1月末にムーディーズが当社の長期・短期の格付を1ノッチ上げたことがこれを表しています。日産の経営は順調です。

今後も持続的に事業を拡大し、収益と自動車事業のキャッシュフローの確保、そして魅力ある株主還元を実施してまいります。

以 上