スピーチ


2016年11月7日

2016年度上期決算報告
日産自動車株式会社
共同最高経営責任者 西川廣人

2016年度上期の連結売上高は前年比10.3%減の5兆3,200億円となり、為替変動が減収要因となりました。

連結営業利益は3,397億円となり、売上高営業利益率は6.4%です。

当期純利益は2,824億円となり、売上高純利益率は5.3%となりました。自動車事業のフリーキャッシュフローは3,641億円となり、2016年9月末時点のネットキャッシュは、1兆3,000億円となりました。

大幅な為替の変動により、前年に比べ財務実績の数値は悪化しましたが、当社の事業運営の効率は前年に対し大幅に改善しています。

仮に前年度と同様の為替レートで換算すると、2016年度上期の連結売上高は3.2%増の6兆1,200億円となり、連結営業利益は31.5%増の5,195億円、売上高営業利益率は8.5%となります。

残念ながら為替の逆風による、連結売上高、連結営業利益、当期純利益の悪化を、コスト管理などによる事業の効率化で完全に相殺することはできませんでしたが、事業運営効率は前年に対し大幅に改善しています。

2016年度上期販売状況
2016年度上期のグローバル全体需要は4,470万台となり、前年から3.5%増加しました。

当社のグローバル販売台数は261万台となり、前年から3,000台減少しました。しかし、下期はより大きな台数増を見込んでいることから、560万台の通期予測に変更はありません。下期はすでに計画されている、商品のラインアップ強化で販売を増加し、目標を達成する自信があります。

国内の全体需要は前年比1.0%減の231万台にとどまりました。当社の販売台数は前年比20.2%減の21万1,000台となり、市場占有率は9.2%でした。第1四半期の軽自動車「デイズ」と「デイズ ルークス」の販売停止が大きく影響しました。

しかし7月初めには「デイズ」と「デイズ ルークス」の販売を再開し、8月終わりには新型「セレナ」も発売しました。新型「セレナ」は、これまで3万台近くのご注文をいただき、月販計画の8,000台を大きく超えるペースで推移しています。

さらに、新型「セレナ」をお買い求めになったお客さまの6割以上にプロパイロットをお選びいただいています。自動運転技術の将来性を、大いに予感させる結果です。

会計年度が暦年ベースの中国の全体需要は前年比7.9%増の1,231万台となりました。

当社の販売台数は前年比3.8%増の61万台となり、市場占有率は5.0%でした。

2016年1月から9月までの中国の販売台数は92万9,000台となり、前年から8.2%増加し、販売のペースは上がっているものの、全体需要の伸びには追い付いていません。これには二つの要因があります。

一つは小型商用車市場の低迷です。当社はこのセグメントで、5.3%の市場占有率を持っていますが、このマーケットの全体需要は前年から11.2%減少し、乗用車に対する相対的な比率が落ちています。

二つ目の要因は、乗用車におけるローカル・ブランドの急成長です。当社の持つヴェヌーシア・ブランドは、この急速な成長に、まだ追い付いていません。

米国の全体需要は前年比0.8%減の903万台となりました。日産の販売台数は前年比3.7%増の78万3,000台に達し、市場占有率は8.7%となりました。「ローグ」、「アルティマ」、「マキシマ」が販売をけん引しています。

カナダでは、当社の販売台数は前年比1.4%増の7万4,000台となり、市場占有率は6.7%でした。

メキシコでの販売台数は前年比14.8%増の19万1,000台を達成、市場占有率は24.7%となり、引き続き首位の座を維持しました。

ロシアを含む欧州における当社の販売台数は36万2,000台、市場占有率は3.8%となりました。ロシアを除くと、前年比4.4%増の31万9,000台となり、市場占有率は3.6%です。

ロシア市場は、ルーブル安と先行き不透明な景気を受け、引き続き低迷しています。当社の販売台数は前年比30.1%減の4万3,000台に留まり、市場占有率は1.5ポイント減の6.1%でした。

ロシアを除く欧州での市場占有率は、前年に対し低下しましたが、主にBセグメント車の販売不振が要因となりました。しかしながら今年度後半は、先日のパリモーターショーで発表した新型「マイクラ」の販売増を見込んでいます。

その他市場の当社の販売台数は前年比4.9%減の38万2,000台にとどまりました。

アジアとオセアニアの販売台数は前年比0.1%減の16万8,000台となりました。アフリカの販売台数は前年比18.4%減の4万1,000台となりました。

中南米と中東の販売台数はそれぞれ8万3,000台、9万台と落ち込んだものの、全体需要の落ち込みに比べると、減少は小幅にとどまりました。

2016年度上期連結財務実績
次に2016年度上期の財務実績を、中国の合弁会社に持分法を適用する会計基準に基づき、ご報告いたします。

  • 連結売上高は5兆3,200億円となりました。
  • 連結営業利益は3,397億円となり、売上高営業利益率は6.4%です。
  • 当期純利益は2,824億円となり、売上高純利益率は5.3%となりました。

営業利益の増減要因は次の通りです。
台数、販売マーケティング費用、およびモノづくりコスト、これら事業運営の増減を合わせた全体では1,245億円の増益となりました。

しかしながら、為替変動が1,798億円にのぼる減益要因となった結果、連結営業利益は3,397億円となりました。

つまり、為替変動による減益を除くと、売上高営業利益率は、1.8ポイント増の8.5%を達し、事業の効率としては着実に改善しています。

中国合弁会社比例連結ベースでは、次の通りです。

  • 2016年度上期の連結売上高は5兆8,400億円となります。
  • 連結営業利益は4,120億円です。
  • 当期純利益は2,824億円です。
  • 自動車事業のフリーキャッシュフローは4,081億円です。
  • ネットキャッシュは1兆4,600億円となりました。

中国合弁会社比例連結ベースの売上高営業利益率は7.1%ですが、為替変動の影響を除くと、売上高営業利益率は9.0%に達します。

ビジネスハイライト
2016年度上期は、日産パワー88の計画通り、魅力ある新車投入を続けてきました。インドにはダットサンの「redi-GO」、国内市場には新型「セレナ」、ブラジルには新型「キックス」、そして北米には2017年モデルの「パスファインダー」、新型「アルマーダ」、0.5トンピックアップの新型「タイタン」を投入しました。

いずれのモデルも初期の反響は上々で、下期に向けて勢いをつけています。

2016年度下期は、上期に投入した新型車が大きく販売に寄与することに加え、下期に新たに投入する新型車が販売増加、そして成長を支えます。

北米では、「ローグ」が今年度の販売予測の達成に貢献する見込みです。

先日のパリモーターショーでは、新型「マイクラ」を発表しました。新型「マイクラ」は、フランスのルノーのフラン工場で12月より生産を開始します。

また、国内では新型「セレナ」に加え、先週「ノートe-POWER」の販売を開始しました。この新しいe-POWER技術は、当社がニッサン インテリジェント モビリティのもとで進めている、電動化戦略の大きな節目となります。

11月2日に発売しました「ノートe-POWER」の持つ可能性に、大いに期待しています。

当社のプレミアム・ブランドであるインフィニティも勢いを維持しています。インフィニティの上期の販売台数は前年比5.8%増の10万6,000台となりました。主に、欧州で好調な「Q30」と北米の「QX30」、「QX60」が販売をけん引しています。

当社は、ブランド力の向上にも引き続き取り組んでいます。
2016年度上期はリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック、欧州サッカー連盟UEFAチャンピオンズリーグ、そして全米大学体育協会をはじめとする、複数の世界的な大会のスポンサーをつとめました。

これらの活動によって、ニッサン・ブランドの知名度はますます向上しました。インターブランド社によるベストグローバルブランド調査で、ニッサン・ブランドは6ランク順位を上げ、43位を獲得しました。

また、新技術の早期採用がブランド力に寄与していることもわかっており、本活動は今後も取り組みを続けていきます。

当社はゼロ・エミッションと、日産車のかかわる交通事故の死亡・重傷者数を実質ゼロにするゼロ・フェイタリティー、この2つのゼロの実現を目指し取り組んでいます。そのビジョンが、ニッサン インテリジェント モビリティであり、最重点領域の一つとして推進しています。

ニッサン インテリジェント モビリティの新技術の商品化は着実に進んでおり、最新の「セレナ」には、自動運転技術であるプロパイロット機能を搭載しています。プロパイロットは、ハンドル操作、加速、減速を自動化し、渋滞時と長距離運転時のドライバーの負担軽減に貢献しています。

また、ニッサン インテリジェント モビリティのさらなる発展に向け、従来の自動車業界の枠を超えたパートナーシップも積極的に進めています。ルノー・日産アライアンスとして、先日、マイクロソフトと複数年に亘る契約を結び、先進的なクラウドプラットフォームである「Microsoft Azure」を活用した次世代技術を共同で開発することを発表しました。

さらに、アライアンスとして、フランスのソフトウェア開発会社シルフェオを買収しました。これによりコネクテッドカーとモビリティ・サービスの取り組みを加速しています。

先月、当社は三菱自動車の発行済株式の34%を2,370億円で取得し、アライアンスを拡大しました。

ルノーを含むアライアンスとして、共同購買、現地化の徹底、工場の共用、車両プラットフォームの共通化、技術の共有、および先進国、新興国におけるプレゼンス拡大を進め、シナジー効果を生み出していきます。

ダイムラーとの6年間にわたる戦略的協力関係も進展しています。メキシコ アグアスカリエンテスには生産合弁会社を設立。アルゼンチンでは1トンピックアップトラックの生産を予定しており、北米ではエンジンの共同生産を行っています。

2016年度通期の見通し
2016年度通期予測については、前回発表した内容から変更はありません。

配当政策については、今後の利益と堅実なフリーキャッシュフローの見通しを鑑み、日産は引き続き積極的な政策を維持します。お約束しました30%以上の配当性向にも変更はありません。通期の配当についても、以前申し上げた通り、一株当たり48円に引き上げる予定です。本日の取締役会で、一株当たり24円の中間配当を決定いたしました。今年の11月25日にお支払いする予定です。

まとめ
2016年度上期は、為替変動をはじめとする複数の逆風に直面しましたが、事業の効率化を進め、着実な業績と財務実績を達成しました。今後も持続的に事業を拡大し、収益とフリーキャッシュフローの確保、そして積極的な配当政策を進めていきます。

以 上