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ご参考

2016年2月10日

2015年度第3四半期決算報告
日産自動車株式会社
常務執行役員 田川 丈二

2015年度第3四半期までの9ヵ月間はしっかりとした財務実績と成果を実現しました。好調な北米と西ヨーロッパが、これまでほどにはプラス効果が期待できない円ドルレートを含む不安定な為替と、複数の新興市場の低迷によるマイナス要因を補いました。

2015年度第3四半期までの連結売上高は8兆9,400億円となりました。連結営業利益は5,875億円、売上高営業利益率は6.6%となりました。連結当期純利益は4,528億円に増加し、売上高純利益率は5.1%に達しました。グローバル販売台数、連結売上高および連結当期純利益は、9ヵ月間の実績として過去最高となりました。自動車事業のキャッシュ・ポジションは1兆4,000億円となり、前年の同時期に対し2,200億円以上改善しました。

2015年度事業報告

米国におけるニッサン・ブランドの新車攻勢は続き、ピックアップ・トラック 新型「タイタンXD」を発売しました。同モデルはCars.comとPickup Trucks.comによる「2016年ベスト・ピックアップ・トラック」に選ばれました。「タイタン」は、先日デトロイトで行われた北米国際自動車ショーで更に高い存在感を示しました。そこで披露した「タイタン・ウォリアー・コンセプト」は、日産のフルサイズ・ピックアップセグメントに対する全く新しい発想のご提案です。今年は「タイタン」生産モデルに複数のバリエーションを追加する予定です。

新型「タイタン」は、米国の力強い商品ラインアップを更に拡充することになります。米国では「ローグ」の2016年モデルがCars.comによる「ファミリーカー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれています。

プレミアム・ブランドのインフィニティは2015年暦年で、前年を16%上回る過去最高の21万5,250台のグローバル販売を記録しました。米国は引き続き、インフィニティの最大市場であり、2015年暦年の販売台数は前年比14%増の13万3,500台に達しました。

インフィニティでは、アクティブ・コンパクト「Q30」を欧州で発売し、商品ラインアップを拡充しました。同モデルは英国サンダーランド工場で生産するインフィニティ・モデル第一号になりました。

また、更なるラインアップの拡充として、プレミアム・アクティブ・クロスオーバー「QX30」の投入を控えています。これらの新車は欧州で販売を開始しますが、米国・中国など他の市場への輸出も2016年中に実施する予定です。

先月の北米国際自動車ショーでは、スポーツクーペ「Q60」を披露しました。「Q60」はパフォーマンス、エレガンス、そしてドライバーに配慮したデザインを実現しています。

ダットサン・ブランドの新車攻勢も続いています。今年はルノー・日産アライアンスのコモン・モジュール・ファミリーのAセグメントのプラットフォームを採用する新型車が、インドでラインアップに加わります。

前回、発表しましたように、インターブランド社の調査で、ニッサン・ブランドは2015年、世界で最も価値あるブランドの一つに選ばれました。2014年の56位から49位に順位を上げたニッサン・ブランドは、自動車ブランドの中で最も成長著しいブランドです。当社は世界各地の新車攻勢にあわせ、積極的なマーケティング活動とスポーツ・パートナーシップを実現しています。例えば、ブラジル日産による2016年のリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック、欧州サッカー連盟UEFAチャンピオンズリーグ、国際クリケット評議会などが挙げられます。昨年11月には更に活動を強化し、米国全土100大学の公式スポンサーとなる画期的な契約を結び、全米大学体育協会主催の一部の選手権をサポートすることを発表しました。この4年間の契約は、米国の大学スポーツ史上、最も幅広いスポンサー契約です。

以上の取り組みは、数々の市場における当社のイメージとブランドの知名度向上を目指す、固い決意の証です。

日産ブランドの持つ革新的な商品イメージは高まっており、ゼロ・エミッションの「日産リーフ」は引き続きフラッグシップ・モデルとしての役割を果たしています。先月、累計販売20万台を記録した日産リーフは世界で最も売れている電気自動車であり、最も成功したモデルと言えるでしょう。

「日産リーフ」の人気は、2016年モデルの投入で益々高まるものと期待しています。2016年モデルは新たに30キロワットアワーのバッテリーを搭載し、航続距離を従来から20%以上伸ばしています。11月に販売を開始した米国に続き、国内市場でも12月に最新型の「日産リーフ」を投入しました。先月には欧州で販売を開始しています。

12月にはBMWと、全米19州にわたる120ヵ所で、公共の急速充電器を拡充するために協力すると発表しました。これにより、「日産リーフ」とBMW「i3」をお使いになるお客さまの利便性は向上し、全米の電気自動車の普及にも更に弾みがつくでしょう。この協力は、昨年5月に発表した、南アフリカでの電気自動車充電インフラ整備に関するBMWとの関係をさらに強化するものであります。更に、先月は本パートナーシップの範囲を拡大し、メキシコで150ヵ所以上の充電器を設置することを発表しました。ともに業界をリードする電気自動車メーカーの日産とBMWのパートナーシップは、益々増加する公共の急速充電器のニーズにお応えし、お客さまにより長く楽しんでいただけるゼロ・エミッションでのドライブをご提供していきます。

当社の電気自動車領域におけるリーダーシップは、市場に数々の新技術をご提案する決意の表れであり、自動運転システムの導入計画もその一環です。先月、シリコンバレーの研究所で発表しましたように、ルノー・日産アライアンスは2020年までに10車種を超える商品に自動運転技術を採用していく予定です。

複数車線における自動走行と、交差点での自動走行を含む、自動運転機能を搭載した一連の商品群は、米国、欧州、日本と中国に投入されます。

次世代技術に加え、内燃機関にも磨きをかけ、効率の高い新たなエンジンの採用も進めていきます。例えば、いわき工場で2016年に生産を開始するインフィニティ用エンジンは、これまでで最も軽量で、最大のパワーを持つ、最もクリーンで燃費の良いV6エンジンの1つです。

アライアンスは引き続き、グローバル自動車産業をリードする存在です。2015年暦年のアライアンスのグローバル販売台数は850万台に達しました。

先日発表しましたように、ルノー・日産アライアンスは2016年に43億ユーロにのぼる年間シナジー効果を実現する見込みです。研究・開発、生産技術、そして購買の機能統合が寄与しています。5年前のシナジー効果はわずか15億ユーロでした。

この9ヵ月間は数多くの新規取り組みを発表してきました。例えばルノーのトラックは日産の「ナバラ」をベースに開発し、同様にパートナーであるダイムラーの新たなメルセデス・モデルも共同開発します。またメキシコでは、日産のアグアスカリエンテス工場の隣接地に共同組立工場を新たに建設し、そこでインフィニティとメルセデスのモデルを生産する予定です。

2015年度第3四半期の販売実績

2015年度第3四半期までの9ヵ月間のグローバル全体需要は、前年比1.4%増の6,428万台となりました。当社のグローバル販売台数は全体需要並みの1.4%伸び、389万台となりました。北米と西ヨーロッパでは全体需要の拡大を上回る台数増を果たす一方、その他市場では芳しくありませんでした。

主な市場の販売は次の通りです。

日本国内の全体需要は前年比6.7%減の347万台に留まりました。消費税増税と消費者心理が影響したと考えられます。当社の販売台数は8.2%減の38万3,000台となり、市場占有率は11.0%となりました。国内市場の販売減にもかかわらず、ハイブリッドを中心とするエクストレイルは人気を博しました。

2015年1月から9月までの中国の全体需要は前年比1.7%増の1,640万台近くに達しました。当社の販売台数は1.8%増の85万9,000台となりました。2015年暦年の全体需要は前年比6.0%増の2,368万台となりました。当社の販売台数は125万台となり、市場占有率は5.3%でした。2015年10月から12月までの第4四半期3ヵ月間での当社の販売台数は、新車投入の効果もあり17.6%伸びました。その結果、当社は11月に発表した2015年暦年の中国における販売見通しを達成いたしました。

米国の全体需要は前年比5.8%増の1,352万台となりました。当社の販売台数は引き続き市場の伸びを上回り、前年比8.3%増の112万台を記録しました。「ローグ」と「アルティマ」がけん引役を果たしています。市場占有率は0.2ポイント増の8.3%に達しました。一方、カナダでは前年比13.0%増の10万4,000台を販売しました。メキシコでは、販売台数は前年比16.9%増の26万7,000台となり、市場占有率25.6%のNo.1ブランドとなりました。当社は79ヵ月連続で首位の座を維持しています。

欧州の販売台数は1.1%の微増で、54万台となりました。市場占有率は微減の4.0%となりました。市場占有率の低下はカントリー・ミックスに起因しております。ロシアを除く欧州とロシア、各々の市場占有率はいずれも上昇しておりますが、欧州全体に占めるロシア市場の割合が減ったことにより、当社の欧州全体における市場占有率が微減となりました。ロシアを除く欧州の全体需要は着実に伸びており、1,229万台に達しました。当社の販売台数は45万台となり、市場占有率は3.7%と僅かに改善しました。2015年暦年では、当社はEUで最大のアジア・ブランドです。また、「日産リーフ」は欧州にて今までで最も売れている電気自動車となっております。

ロシアでは、ルーブル安と先行き不透明な景気が全体需要を押し下げました。当社の販売台数は前年比32.7%減の9万台に留まり、市場占有率は7.4%でした。

アセアン、アフリカ、中南米を含むその他市場の景気は不安定な状態が続いています。当社の販売台数は61万9,000台に減少しました。その内、アジア・オセアニアでは前年比1.5%減の26万3,000台を販売しました。中南米では前年比7.9%減の13万台、中東では10.5%減の15万1,000台、アフリカは1.3%増の7万5,000台となりました。

2015年度第3四半期財務実績

中国の合弁会社に持分法を適用する会計基準に基づきますと、連結売上高は前年から8,545億円増加し、8兆9,400億円となりました。主な増収要因は米国と西ヨーロッパにおける販売増と、為替換算による影響です。連結営業利益は5,875億円となり、売上高営業利益率は6.6%となりました。当期純利益は4,528億円となり、前年同期から33.7%増加しました。

営業利益の増減要因は次の通りです。

  • 為替変動による198億円の増益は、米ドルに対する円高是正による増益が、新興国通貨の変動に伴う減益を補ったことによるものです。
  • コスト項目は、購買コスト削減と原材料費の減少が、商品性向上によるコスト増の影響を打ち消し、1,423億円の増益要因となりました。
  • 台数・車種構成は合計で1,310億円の増益要因となりました。
  • 販売・マーケティング費用の増加は881億円の減益要因となりました。
  • 研究開発費は27億円増加しました。
  • 生産コストは102億円増加しました。
  • その他項目は225億円の減益要因となりました。

2015年12月末時点の自動車事業実質有利子負債は、1兆4,000億円のキャッシュ・ポジションとなり、前年同期の1兆2,000億円から増加しました。

中国合弁会社比例連結ベースの連結売上高は前年比10.5%増の9兆7,200億円に達しました。連結営業利益は32.1%増の6,826億円となり、売上高営業利益率は7.0%となりました。当期純利益は33.7%増の4,528億円でした。

2015年度通期見通し

第3四半期までの9ヵ月間の実績と、年度末までの市況の見通しを鑑み、2015年度通期の業績見通しは変更しておりません。

当社は販売好調な新型車、北米と西ヨーロッパの勢い、そしてコストの効率化を継続することにより、主に新興国での販売不振と不安定な為替動向を打ち消すことができると考えています。

新車攻勢、財務規律、そしてアライアンス・シナジーをもってすれば、年度計画を実現し、日産パワー88のゴールに向かって前進を続けることができるでしょう。

まとめ

今年度も大きくプラスのフリーキャッシュフローを確保する見込みであり、一株当たり42円の年間配当の計画も維持します。以前申し上げましたように、日産パワー88の期間中は少なくとも30%の配当性向をお約束します。

当社は引き続き日産パワー88の完遂に取り組み、業績向上を目指す固い決意に揺るぎはありません。厳しい市場環境、円ドルレートによるメリットの減少、材料費の変動、新興国通貨によるマイナス要因等、課題はあるものの、当社は2015年度もしっかりとした利益ある成長に向かって順調に歩を進めています。

以 上

* 2015年度より、従来の「当期純利益」の正式名称は「親会社株主に帰属する当期純利益」となりましたが、本文中では引き続き当期純利益の名称を使用しております。