スピーチ


2014年6月24日

第115期定時株主総会 事業報告

西川CCO

2013年度は、日産にとって節目となる年でありました。
皆さんご承知の通り、創立80周年を記念する年であり、また、我々の成長の歴史の象徴的なブランドであるダットサンを復活させ、成長市場へ投入いたしました。
さらに、我々の取り組んでおります中期計画、6年計画の日産パワー88、このちょうど折り返し地点にあたります。これまでの戦略的な投資の実施、そして13年度中に実施いたしましたマネージメントの強化、これらにより、後半戦への十分な準備を整えることができました。

それでは、ここから2013年度、世界販売、各マーケットの販売の結果、また様々な活動をご紹介させて頂きます。

グローバル販売状況

2013年度の世界市場の全需、これは8,310万台、前年に対し4.8%の伸びとなりました。
日産の販売は前年比で5.6%増と全需の伸びを上回り、519万台となりました。
グローバルのマーケットシェアは6.2%となります。
既にご案内の通り、この結果は当初計画した台数には至りませんでしたが、当社としては過去最大の販売台数を実現したことになります。

各地域の販売状況

まず、我々にとって重要なホームマーケットである日本について、全体需要は9.2%増の570万台となりました。日産はマーケットの伸びを上回る伸び、11.1%増で、71万9千台を売り上げ、12.6%のマーケットシェアを達成しました。この改善はデイズシリーズ、またセレナ、新型エクストレイルの好調な販売が牽引したものであります。

またもう一つ重要な点として、特に第4四半期の販売の伸びが大きかったことがあります。
これは消費税増税前の駆け込み需要による影響が大きかったわけですが、我々はその点を事前に年間計画に織り込んで進めたことにより、好調な販売を維持できたわけであります。

中国については、販売実績を12か月の暦年で測りますが、日産はマーケットの成長のペースを上回るペースで販売を伸ばしました。全需が14.2%伸び、2,075万台となる中、日産の販売は17.2%増加の127万台となりました。2013年度前半は諸島問題の影響を受けましたが、その後順調に回復をしております。キャッシュカイ、新型シルフィ―、そしてヴェヌーシアの新型車、インフィニティ、これらが改善に貢献致しました。

キーマーケットである北米では、日産は大幅に販売を伸ばしました。

米国では、全需が6.4%増の1,565万台となる中、新型ローグ、アルティマの強い販売などにより、日産の販売は13%増の129万台となりました。

カナダでは全需が4.6%伸び170万台となるなか、日産はそれを大きく上回る20.9%の伸びを達成し、9万6千台の販売となりました。

メキシコでは、26万5千台を販売、シェア24.9%で、No.1のポジションを維持いたしました。メキシコではトップ10車種の内5車種を日産が占め、またお客様満足度では業界一位にランクされています。

ロシアを含むヨーロッパにおいては、マーケットが回復基調になってきており、マーケット全体が1.8%伸びる中、日産は2.4%増の67万6千台を販売、マーケットシェアは3.9%を維持しております。

日本、中国、北米、そしてヨーロッパの伸び、あるいは回復とは対象的に、その他のマーケットは不安定な状況が続いています。

アジア・オセアニアは為替変動による悪化と政策変動の影響を大きく受けました。
これらのマーケットでは、販売は17.8%減少し、36万3千台となりました。

私たちはラテンアメリカにおいても同様の厳しい状況に直面し、またブラジルではさらなる障害に直面しました。自由貿易協定の変更により、我々がメキシコからブラジルに輸入できる台数が激減してしまいました。ラテンアメリカの販売は16.1%減の18万6千台となってしまいましたが我々は大きな改善へ向けたステップを踏み出しております。

これらのマーケットでの販売減は、一部中東での好調な販売によって補てんされました。
これは新型パトロールによるブランドの向上の貢献が大きく、中東での販売は22.5%増加し、22万6千台となりました。

日産はこれら以外にも今後成長期待の大きいマーケットで、将来へ向けた改善を重ねております。とりわけ、インドでは新型ダットサンGOを発売、また新型テラノもご好評をいただいております。我々はインド市場の成長に合わせ、大幅な販売ネットワークの拡充に焦点をおき、進めております。

2013年度の注目すべき取り組み
インフィニティ

その他の大きな活動の進展として、我々のプレミアムブランドであるインフィニティは、昨年度中国での好調な業績が牽引し、12年度に対しグローバルで4%の販売増を達成いたしました。

新商品・新技術

日産は革新的、エキサイティングな商品、技術の提供を続けてまいります。
2013年度には、新型の軽、デイズ、デイズ ルークス、新型エクストレイルの日本への投入、中国へティアナのロングホイールベース、インドへ新型テラノ、そしてダットサンの第一号であるダットサンGO、米国へインフィニティ Q50、ローグ、新型NV200、欧州へ新型キャッシュカイ、と10車種の新型車を投入いたしました。

また、日産パワー88の期間中に予定している90の新技術の導入、商品化のうち、前年度は22の技術を商品化いたしました。これらは“ダイレクト アダプティブ ステアリング、フォワード エマージェンシー ブレーキ”をはじめとする世界発の技術を含んでおります。
また、自動運転技術を始めとする長期にわたる革新技術の開発も継続的にとりくんでおります。

事業の拡大

昨年度は、将来の成長を支えるため、事業拡大の取り組みを進めた年でありました。
2013年度は、事業拡大、成長のためにこれまでで最も大きな投資をした年でありました。確かに、売り上げに対する投資の比率はピークに達しました。これら投資を終えた今、今後の日産パワー88後半の期間の投資額は横ばい、あるいは減少と見ております。そして、この後半戦、これらの投資、生産能力の拡大の効果、リターンを刈り取っていく事になります。

ブラジルとメキシコで新工場を稼働、ロシアとインドでは工場の拡張を行いました。ベトナムで生産を開始、ミャンマーでの生産準備を開始、そして、タイ、インドネシアでも生産能力の拡充をいたしました。

ゼロ・エミッションへの取り組み

また、我々は電気自動車においてNo.1の地位を維持いたしました。一月で日産リーフの累計販売台数が10万台を突破し、また、2013年度の販売目標であった5万台を達成いたしました。

日本が21.4%増、米国が108.6%増。ヨーロッパが96.7%増と各マーケットでそれぞれ販売の増加を達成しております。日産が先駆者として牽引してきたEVの技術が、米国、欧州、日本、さらにはブータンまでグローバルな拡大を見せております。ブータンではゼロ・エミッションはトッププライオリティであり、2013年度はそのゴールへ向け多くの前進があった年であります。当社は、日産リーフの第一号車を届け、また日産の技術、商品による公用車、タクシーのEV化を合意いたしました。

2013年度連結収益

それでは、2013年度の連結収益について簡潔に触れさせていただきます。

以前からご説明を差し上げている通り、当社は収益結果について、2通りの方法で表示させていただいております。最初の表示方法、中国合弁会社比例連結ベース(Management pro forma basis)と呼んでおりますが、これは、オペレーションの中に、我々の中国事業を入れ込んだ方式のものであります。
中国市場は最重要市場の一つであり、この表示方法が我々の事業の実際の姿をもっとも良く現しているものと考えております。

中国合弁会社比例連結ベース(Management pro forma basis)

そのManagement pro forma basisにおきまして、連結売上高は、円高修正からの改善、販売台数の増加により18.7%の増加で11兆4,300億円、連結営業利益は15.7%の増加で6,057億円、営業利益率は5.3%となりました。当期純利益は13.6%増加で3,890億円となりました。
ネット・キャッシュは、前年度の9,159億円に対し2013年度末は1兆1,337億円となりました。

東証届出値-中国合弁会社持分法ベース(Official Basis/Equity Accounting Method)

ここから標記の方法を変えて説明させていただきます。これは東京証券取引所への報告において規定されている方式に沿ったものであり、我々の東証への報告もこの方式でなされており、皆様へお届けした開催通知の中の数値もこのベースでの記載となっております。この方式では、我々は50%保有しております中国の合弁会社の売り上げ、利益を、連結売上高、および連結営業利益から除外したものとなっております。この方式によると、売上高は20%増加の10兆4,800億円、営業利益は13.6%増の4,984億円、純利益は14%増の3,890億円となっております。

まとめ

13年度、結果としてみますと、冒頭申し上げた通り、当初計画の水準には届かなかったものの、利益は修正目標を達成し、またフリーキャッシュフローは2,081億円のプラス、さらにバランスシートを強化することができた年であり、また日産パワー88の後半へ向け様々な活動を進めた年でもありました。

では、これより、CEOのゴーンから、2014年度の見通しと計画について説明致します。

ゴーンCEO

西川さん、ありがとうございます。

日産自動車が正しい方向に向かっていることは明らかです。15年前、私が初めて株主総会に出席してから15年の間に、当社の総販売台数は倍増しました。赤字経営から堅実に利益を上げ続ける企業に成長しました。あらゆる主要市場でプレゼンスを拡大し、将来有望な市場に参入するための道筋を整えてきました。ホームマーケットである国内では、軽自動車からクロスオーバー、電気自動車まで、様々なセグメントでその地位を確立しています。

当社は2013年度に大きく勢いをつけました。当初、想定していたほどの速さではなかったものの、進歩を遂げた一年でした。過去最高のグローバル販売台数を達成し、複数の戦略的なパートナーシップを深めました。日本をはじめ、世界中で、工場、商品、技術に多額の投資を行いました。同時に、財務的にも健全性を維持しています。

その結果、自動車事業のネット・キャッシュは過去最高の水準に達しました。各ブランドも今まで以上に力をつけてきています。持続可能なモビリティでは業界を圧倒的にリードしています。また、これまで以上に市場に対応した新技術を投入しています。

今年度はこれまでの成果を更に発展させ、6か年計画の日産パワー88の目標に向けて取り組みを続けて参ります。

日産パワー88

日産パワー88は折り返し地点を迎えています。前半の3年間で販売台数は100万台伸びました。日産パワー88の後半ではそれを上回る伸びを見込んでいます。包括的且つ積極的な戦略で、2016年度までに売上高営業利益率8%を達成します。グローバル市場占有率8%はターゲットとし、達成を目指していきます。

台数増に加え、利益率の向上に集中していきますが、最も重視しているのは、実力を100%発揮することです。当社は健全な財務基盤を実現しているものの、現在の業績は会社の実力を十分反映しているとは言えません。日産自動車には、業界をリードする商品と技術が揃っています。競合他社に挑むために必要な経営資源、人財、そして経営体制が整っています。日産パワー88は正しい経営計画であり、2014年度の取り組みを支えるベースです。

では、2014年度の見通しについて株主の皆さまにご説明したいと思います。

2014年度グローバルな見通し

まず、2014年度の世界の全体需要は、前年比1.6%増の8,440万台を見込んでいます。当社の小売販売台数は前年から飛躍的に伸ばし、565万台を見込んでおり、グローバル市場占有率は過去最高の6.7%を想定しています。

各地域の見通し

日本国内では、軽自動車市場での勢いを発展させ、ご好評をいただいているデイズ・シリーズのマーケティング活動をさらに強化していきます。また、セレナとノートをはじめとする販売好調な商品にも力を入れていきます。ゼロ・エミッション車の日産リーフの更なる拡販を目指し、全国の充電インフラの整備を進めていきます。

国内では消費税増税の反動による影響が続くと想定していますが、海外ではそれを補ってあまりある増販を達成できるでしょう。

中国では前年比17%を超える販売増を見込んでいます。当社にとって中国で第4の生産拠点となる大連工場の稼働により、生産を大幅に拡大します。また、インフィニティ・ブランド2車種と、日産リーフで培った技術を活用し開発したヴェヌーシア・ブランドの電気自動車の現地生産も始まります。

米国でも飛躍的な改善を見込んでいます。2014年度は現時点で既に販売台数を前年から18%伸ばし、全体需要を上回る増販を果たしています。日産リーフは月販台数の最高記録を更新し、5月単月で3,000台を販売しました。

5年ぶりに回復の兆しが見え始めた欧州市場では、新型Cセグメント ハッチバックの投入を予定しており、新型キャシュカイ、新型エクストレイルの新車効果が1年を通してフルに効いてきます。欧州全土で、日系ブランドナンバーワンを目指す活動を続けていますが、すでにイギリス(オーストリア、そしてスロベニア)では首位を達成しています。

中南米では、ブラジルを中心に、大きな販売増を見込んでいます。台数増を支えるのは、ブラジルのレゼンデとメキシコのアグアスカリエンテスの新工場の開設です。

インド、アセアン、オセアニア、そして中東でも、新型車の投入で、販売を大きく伸ばす計画です。

昨年発表しましたミャンマーとブータンに続いて、新規市場の開拓も進めています。2014年度はナイジェリアで生産活動を開始します。同国はサハラ以南で、最大且つ最も豊かな市場です。当社はナイジェリアで現地生産を行う初めての大手メーカーです。

2014年度の主な事業部の取り組み

2014年度はグローバルで、複数の重要な事業部が当社の成長をけん引します。特に活躍が目覚ましいのは、ダットサン・ブランドと小型商用車です。

ダットサン

2014年度は、新生ダットサン・ブランドが、世界中の有望な市場で販売をけん引する見込みです。2013年度にはインドで、ダットサンGOの現地生産・販売を開始しました。続いて、インドネシアでは、ダットサンGO+の生産・販売が始まっています。

今年4月には、モスクワで新型ダットサンon-DOを発表し、9月にロシア国内での発売を控えています。また今月初めには、南アフリカに投入予定のダットサン・モデルを披露いたしました。かつて、ダットサンは同国でナンバーワンのブランドとして名を馳せていました。2014年度も引き続き、ダットサン・ブランドを拡大する可能性を探っていきます。

小型商用車

当社は小型商用車事業の成果の最大化にも取り組んでおり、グローバルに成長している小型商用車市場で首位の座を目指しています。販売増と利益向上を果たすべく、小型商用車事業部を再編し、ルノーとのシナジー効果増大に取り組んでいます。小型商用車では、現在の二倍に相当する、200万台の販売を目指しています。国際的な小型商用車タクシーの活動も引き続き進めていきます。新型の小型電気商用車 e-NV200と新型グローバル・ピックアップトラック ニッサン・ナバラも積極的に展開していく予定です。

2014年度業績見通し

以上を前提に、2014年度の連結売上高は増加する見込みです。

中国は当社にとって最も重要な市場であるため、まずは中国事業の数字を含めた場合の2014年度の予測をご説明したいと思います。先ほど西川が申しましたように、この中国事業分を含める方式を「中国合弁会社比例連結ベース」と呼びますが、この方式は当社の事業の全容をより的確に反映しています。

中国合弁会社比例連結ベースでは、2014年度の連結売上高は前年比4.5%増の11兆9,500億円となる見込みです。連結営業利益は6,800億円、当期純利益は4,050億円を想定しています。

しかしながら、現行の規定では、中国事業を除いた決算値を東京証券取引所に届け出ることが求められます。中国事業を除いた場合の2014年度の連結売上高は前年比2.9%増の10兆7,900億円となる見込みです。連結営業利益は5,350億円、売上高営業利益率は5%です。当期純利益は比例連結ベースと同じ4,050億円です。

2014年度の配当・株主へのリターン

過去最高のネット・キャッシュと、確実に自動車事業のフリーキャッシュフローを生み出し続けるという前提のもと、2014年度の年間配当金は前年比10%増の一株当たり33円に増配する予定です。更に、中期経営計画の期間中、配当性向の最低ラインを25%から30%に引き上げます。

2014年度の戦略

2014年度には大いに期待しています。では当社の戦略の5つの重点領域についてお話ししたいと思います。

5つの重点領域とは

  • 新型車の発売と新技術の採用
  • ブランド・パワーの向上とコトづくりの取り組み
  • 幅広い品質の取り組みと原価低減活動
  • アライアンス・シナジーの深化
  • 確かな社会貢献活動

です。

新商品・新技術投入計画

2014年度の新車計画

2014年度は、新型車10車種を投入していきます。米国には新型ムラーノ、日本と欧州では新たなゼロ・エミッション車「e-NV200」、新型のグローバル・ピックアップトラック、そして中国では「インフィニティQ50」と「QX50」両車種のロングホイールベース車を発売予定です。

CMF(コモン・モジュール・ファミリー)戦略

数々の新型車を発売する中、当社は効率性の最大化を進めていきます。要となる取り組みの一つがコモン・モジュール・ファミリー(CMF)という戦略で、アライアンス全体で年間約600万台規模の生産台数をカバーします。CMFを採用することで、大幅な原価低減を行い、開発・生産プロセスを簡略化し、クルマの品質や汎用性を高めるメリットを見込んでいます。

2013年度はCMF採用モデルの第一弾 新型エクストレイルを国内に、ローグを米国市場に投入しました。お蔭さまで両車種ともご好評をいただいております。

今日は、CMFの取り組みを進め、CMFを採用したグローバル成長モデル第一弾を、スケジュール通り、最高水準の品質で世に送り出した担当チームを称えたいと思います。彼らの新車攻勢への貢献を評価され、従業員を対象とするグローバル日産社長賞を受賞しました。

技術の採用

複数の新型車に加え、2014年度は、5つの新技術を商品化します。例えば革新的な安全装備のスマート・ルーム・ミラーは、世界初の液晶リアビューモニターで、どのような状況の中でもクリアな視界を提供します。また、ドライバーは液晶モニターと従来のミラーを自由に切り替えることができます。

お客さまに新たな革新をご提案する中、ゼロ・エミッションと死亡事故ゼロを目指す、ブレークスル―活動も続けていきます。自動運転技術はその一例です。

昨年の日産360イベントでは、世界に向けて当社の自動運転技術を披露しました。また、自動運転車を2020年までに実用化すると発表しました。それまでの間、自動運転車に搭載される技術の数々を新型車に順次搭載していきます。

今や世界で最も売れている電気自動車 日産リーフで、電気自動車をお届けしたときと同様に、当社は自動運転でも業界をリードしたいと考えております。国内では、メーカーで初めて、自動運転車の公道運転を可能とするナンバーを取得しました。そして安倍総理に同乗いただき、都内の公道で、自動運転技術を初披露しました。

これまでの進捗をご紹介したいと思います。

(VTR上映)

ご覧いただいているのは、最新の自動運転技術を搭載した日産リーフを、横浜のグローバル本社から25キロ以上離れた追浜の総合研究所まで走らせている様子です。

本車両には、先行車追従システムを採用し、前を走る車との安全な車間距離を自動的に調整しています。今後2年間で同機能の開発を進め、2016年度に商品化する計画です。

ブランド・パワーとコトづくり

革新、商品、ブランドでお客さまをワクワクさせることは重要です。それが価格支配力につながり、ひいては株主の皆さまに、より大きな価値をご提供することになります。

日産自動車のブランドは今まで以上に力をつけています。この3年間、当社はインターブランド社によるブランド・ランキングで最も伸びたブランドで、世界中のブランドの中で65位を獲得しました。しかしながら、まだ道半ばです。今後もブランドの一貫性、ブランドの向上、そしてブランド・エンゲージメント、すなわちブランドに対するお客さまの深い関係性や絆づくりに取り組んで参ります。

2014年度はインターネット上の当社のプレゼンスの強化に重点的に力を入れています。今年、当社は新たなグローバル・デジタル・プラットフォームを導入します。今後は当社のすべてのデジタル活動とソーシャル・メディアの取り組みが、このプラットフォームに基づいて行わるようになります。これにより、グローバルで一貫したブランド・アイデンティティを実現し、より、ネット上のお客さまとの対話を活発化していきます。

このグローバル・デジタル・プラットフォームは、インターネットを通じて、会社の取り組みを皆さまにお伝えしている日産グローバル・メディア・センターの活動を補完することになります。2014年末には、延べ2400万人の視聴者に、70万時間にのぼる、当社が発信するコンテンツをご覧いただくことになります。更に、当社が行ってきたグローバル・ブランド・キャンペーン 「ホワット・イフ?」「もしも、・・・だったら」をはじめとするマーケティング活動の強化にもつながります。「ホワット・イフ?」キャンペーンは今や世界中の国際空港の85%で実施しています。

当社のデジタル活動は、世界中の複数のスポーツ・チームや組織と結んでいる実世界でのスポーツ・パートナーシップにも貢献します。

これらの取り組みの結果、日産自動車は、2016年のリオ五輪、アフリカ・ネイションズ・カップ、そして欧州サッカー連盟が主催するUEFA欧州選手権に協賛し、これらの開催中、もしくは開催前の各イベントで、日産ブランドが使用されることになります。F1では、インフィニティ・ブランドが最強チームであるインフィニティ・レッドブル・レーシングとのパートナーシップを通じて、引き続きサーキットで最も目を引くブランドとして活躍しています。

国内では、これまで通り、横浜F.マリノスを応援します。日本のサッカーの成長を後押しし、日産自動車の存在感を強めるべく、シティ・フットボール・グループと新たなパートナーシップを先月結びました。同グループは横浜F.マリノスの少数株主になります。

以上、日産自動車ブランドを強化し、結果として価格支配力を向上させる取り組みの一部をご紹介しました。

製品品質・原価低減活動

価格支配力は、最高水準の品質で競争力のある商品を、安定的にお届けできるかどうかにも左右されます。品質については、2014年は副社長の中村の指揮のもと、より包括的な取り組みを行っていきます。業界でトップレベルになることを目標としており、さらに、品質の向上によって当社のブランドや商品に対するオーバーオール・オピニオン、すなわちお客様の好意度も向上させていきたいと考えています。

このため、全社的に品質とコスト管理の取り組みの見直しを行っており、関連部署は各生産工程で本活動に参加しています。この活動により生産工程において、より効率化を実現し、品質向上とコスト管理の取り組みの成果を最大限に享受することができます。

例えば、2013年度、モノづくり部門は原価低減目標を達成したものの、その他の分野で経費が増えました。為替変動や規制対応に関わるコスト等、一部は不可抗力です。しかしながら、管理できるコスト項目の増加は回避できます。例えば生産工場の効率性の問題、サービス保証費、不要な装備の向上等、管理できる項目については予防策を講じています。

本取り組みの一環として、原価低減活動の範囲を、モノづくり以外の分野にも広げています。商品企画からマーケティングまで、すべての部門と地域がそれぞれ原価低減目標を設定し、達成していきます。進捗状況は、チーフ・コンペティティブ・オフィサーの西川の指揮のもと、つぶさに見ていきます。

ルノー・日産 アライアンス

効率化の取り組みを受け、発足して15年になるルノー・日産アライアンスは、アライアンスの力の極大化を目指し、新たな一歩を踏み出しました。2013年のアライアンスの総販売台数は830万台となり、世界第4位の自動車グループに成長しました。

従来のペースでは、アライアンスのシナジー効果は、2016年までに33億ユーロにのぼる見通しでした。33億ユーロは大金だと思われるかもしれませんが、業界のタイタン、「巨人」とよばれる巨大メーカーとの差を縮めるには、更なる効率化が必要です。

2014年度の初めに、ルノーと日産は購買、生産・物流、研究開発、そして人事の4つの重要な領域を統合しました。

これにより、既に両社の統合は深化しています。しかしながら、各社の独自性に関わる領域はすべて別れたままです。つまり、日産自動車が扱うブランド、マーケティング戦術、商品デザイン、企業文化等は日産であり続けます。

今回の機能統合で、アライアンスのシナジー効果は2016年までに少なくとも43億ユーロを創出することをコミットメントとし、53億ユーロをターゲットとしています。これにより、多額の節減を生み出し、両社の利益を押し上げます。

社会貢献活動

財務基盤を強化することで、最新のクルマをご提案できるだけでなく、よき企業市民としての取り組みも続けることができます。

当社は、持続可能な社会を実現してゆくことは、株主の皆さまに対する義務だと考え、真摯に取り組んでおります。環境への配慮、教育、人道支援の3つを社会貢献活動として重点的に取り組む分野と定め、より安全できれいな世界、すなわち資源、知識、教育、そして様々なツールを活かして、人々の生活と地域社会がより豊かとなるような世界を目指しています。

会場の入り口で、30周年を迎えた当社で最も歴史の長い社会貢献活動の一つ、「日産童話と絵本のグランプリ」の展示をご覧になったと思います。この30年間で、当社は20万冊を超える本を出版・寄付し、日本全国をはじめ、世界中の子供たちの教育に役立てていただけるよう取り組んで参りました。

また、東日本大震災の被災地域を支援する活動も続けています。日本全国で、社会貢献の取り組みを行っていますが、海外でも同様です。

例えば、インドでは、交通安全、特にシートベルト着用の促進に積極的に取り組んでいます。その一環として、日産セーフティ・ドライビング・フォーラムを開催し、インドの5つの都市に範囲を拡大しました。インドを含め、世界で、死亡事故ゼロを目指す取り組みを続けて参ります。

また、当社はハビタット・フォー・ヒューマニティとの協力も続けています。両社のパートナーシップのもと、日本、オーストラリア、インド、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、そしてアメリカにおいて、地域社会の持続的な発展に貢献していきます。昨年はミャンマーにもパートナーシップを拡大しました。

幅広いCSR活動の詳細については、昨日、当社のホームページに掲載された2014年サステイナビリティ・レポートをご参照ください。

まとめ

質疑応答に移る前に、2014年度を迎えるにあたり、当社が強固な立場を確立していることを強調したいと思います。日産パワー88達成の決意に揺るぎはありません。今後も、お客さまと、株主の皆さまに価値をご提供していきます。

改めて、日産自動車へのご支援・ご協力に心から感謝申し上げます。
2013年度の事業報告と2014年度の見通しのご説明は以上です。

以 上