スピーチ


2014年7月28日

2014年度第1四半期決算報告
日産自動車株式会社
常務執行役員 田川 丈二

第1四半期の北米の全体需要は引き続き伸長し、西ヨーロッパは回復の兆しが見えてきています。これらが、消費税増税前の駆け込み需要の反動により、若干軟化している国内市場を補いました。新興市場は不安定な状態が続いていますが、日産自動車は中期経営計画日産パワー88に向けて着実に歩みを進め、収益向上を伴った成長を実行しています。

昨年度も申し上げましたように、財務実績は、中国の合弁事業に持ち分法を適用する会計基準に基づいてご報告致します。
この会計基準に基づいた2014年度第1四半期の連結売上高は前年比10.4%増の2兆4,656億円、連結営業利益は1,226億円、売上高営業利益率は5%となりました。当期純利益は1,121億円に増加し、売上高純利益率は4.5%となりました。自動車事業のフリー・キャッシュ・フローは33億円のプラスとなり、2014年度第1四半期末は自動車事業で9,163億円のキャッシュ・ポジションとなりました。

当社の業績をより正確に反映するのは、中国合弁会社を持分に応じて反映させた比例連結ベースの実績であり、日産パワー88の目標は、この比例連結ベースを前提にしています。従いまして、後程の財務実績の説明では、この比例連結ベースの実績についてもご提示致します。

財務実績の詳細に入る前に、2014年度第1四半期の主な事業活動と販売状況についてご説明したいと思います。

2014年度第1四半期事業報告

当社はこの第1四半期も、着実に前進しています。

例えば、新型車のローグ、エクストレイル、そしてキャシュカイの販売台数は、重要な市場であるアメリカ、日本、欧州で前年同期比20%増となっています。これらのモデルは、ルノー・日産アライアンスの成果であるコモン・モジュール・ファミリー(CMF)を採用するモデルの第一弾となります。この3モデルは数々の賞に輝いており、合計すると今年に入って20件近くの賞を獲得しました。

これら新車の成功に加え、日産パワー88の前半に実施してきた重要な新工場への投資の成果がいよいよ現れてきます。新工場が次々と操業を開始しています。4月にはブラジルのレゼンデ新工場を正式にオープンしました。 ブラジルは世界で4番目に大きな自動車市場です。

5月には、インドネシアの第2工場が稼働しました。また、今月初めには、タイの第2工場が操業を開始し、日産の次世代ピックアップトラックNP300ナバラの生産・輸出拠点となります。

ゼロ・エミッション戦略についても進歩を遂げています。日産リーフは、世界で最も売れている電気自動車であり、発売以来、現在までに累計12万4千台の販売台数を達成しました。
6月には、当社の電気自動車第2弾であるゼロ・エミッション商用車e-NV200を発表しました。e-NV200は当社のゼロ・エミッションに対する強い決意と、拡大するゼロ・エミッション市場における当社のリーダーシップを更に強化します。

当社は電気自動車の普及のために、引き続き充電インフラの整備にも注力していきます。昨年11月に、充電インフラを設置する事業者に対し、当社を含め、国内の4メーカーが協力し、設置費用の一部を支援する計画を発表しました。この支援を具体的に実施し、国内の充電インフラ設置の推進をはかるため、本年5月には『日本充電サービス』を共同で設立しました。

米国では、"No Charge to Charge"というプログラムのもと、日産リーフを購入されたお客様に、公共の充電スタンドを無料で使用できるというサービスを提供しています。現在、本プログラムは11の都市で展開しています。
また、当社は、米国における充電インフラの充実のため、ディーラー、企業、自治体との協力を通じて、更に500基の急速充電器の設置を計画しています。

以上の当社のゼロ・エミッションへ向けた取り組みは、世界的に評価されており、インターブランド社の調査による、グローバル・グリーン・ブランド・ランキングで、当社は順位を一つあげ、2014年は4位を獲得しました。

当社は世界的なブランド認知度向上についても歩を進めています。2週間ほど前、当社とシティフットボールグループは、グローバルパートナーシップを締結することを発表しました。これにより、日産自動車は、シティフットボールグループのオフィシャル・オートモーティブ・パートナーになります。このパートナーシップによって世界中のマーケットと多くのサッカーファンに日産をアピールすることが出来ます。

第1四半期にはダットサンの南アフリカでの発表を行いました。インドならびにインドネシアではすでに販売も開始しています。そして、今月、ロシア市場のニーズに合わせて設計・デザインされた「ダットサンオンドー」の生産を開始しました。これでインド、インドネシア、ロシア、南アフリカという4つの重要なマーケットでダットサンが出そろったことになります。

先ほど、私はコモン・モジュール・ファミリー(CMF)で、引き続き、ルノー・日産アライアンスのメリットを享受していると申し上げました。

今後も更にアライアンス・シナジーを追求していきます。2013年は、総額29億ユーロにのぼるシナジー効果を生み出しました。昨年度末には、アライアンスで、購買、研究開発、生産・物流、そして人事の機能統合を発表しましたが、この統合の効果も含めて、2016年には少なくとも43億ユーロのシナジー効果を見込んでいます。

ダイムラーとの戦略的協力関係も進化しています。テネシー州で操業を開始したインフィニティのデカード・パワートレイン工場は、欧州向けのインフィニティQ50スポーツセダンと、メルセデス・ベンツCクラスに採用するエンジンを生産します。

また、先月、インフィニティとメルセデス用のプレミアム・コンパクトを、メキシコの新工場で生産することを発表しました。インフィニティ・モデルは2017年、メルセデス・ベンツ・モデルは2018年に生産を開始する予定です。

では販売状況と財務実績についてご説明したいと思います。

2014年度第1四半期販売状況

2014年度第1四半期のグローバル全体需要は、前年比2.7%増の2,169万台となりました。当社の販売台数は、前年比6%増の124万台となりました。北米、中国、そして欧州での好調な販売が、国内の販売の軟化と、引き続き不安定な状況が続く新興市場での販売減を補いました。

地域別の内訳をご説明します。

日本国内の当社の販売台数は前年から0.5%減少し、13万4,000台となりました。消費税増税前の駆け込み需要の反動があったものの、エクストレイルとデイズ・ルークスが健闘しました。その結果、市場占有率は0.1ポイント改善し、11.5%となりました。

中国では会計年度が暦年ベースのため、第1四半期は、2014年1月から3月までの期間となります。この期間の当社の販売台数は、前年比21.1%増の28万3,000台となりました。市場占有率は前年から0.5ポイント改善し、5%となりました。

次に北米ですが、米国の当社の販売は前年比14.1%増の35万台となり、全体需要の伸びを上回りました。その結果、市場占有率は7.4%から7.9%に上昇しました。好調な販売を支えたのは主にローグとアルティマです。カナダでは、当社の販売台数は前年比28.2%増の3万2000台となりました。メキシコの販売台数は64,000台と僅かに減少したものの、当社は引き続きトップブランドの地位を維持しており、市場占有率は25.6%となりました。

欧州では、競争環境は厳しいものの、全体需要は安定化の兆しを見せています。当社の販売台数は前年比13.3%増の17万1000台となりました。重要なイギリス市場ではこれまでの地位を維持し、ロシアを除く欧州の市場占有率は3.2%から3.4%に上昇しました。ロシアでの販売台数は、前年比31.2%増の39,000台となり、市場占有率は2.0ポイント改善し、6.1%となりました。

アセアン、アフリカ、南米を含むその他市場では、販売台数は前年比0.8%増の20万6000台となりました。アジアとオセアニアでは、前年比6.2%増の90,200台を販売しました。一方、中東では前年比10.9%増の52,700台となりました。これらの市場での台数増が、前年から12.6%減少した南米での販売を一部補いました。

2014年度第1四半期財務実績

中国合弁会社持ち分法ベースでは、連結売上高は前年から2,327億円増加し、2兆4,656億円となりました。この増収は主に販売台数の増加と為替影響によるものです。

連結営業利益は1,226億円、当期純利益は1,121億円となりました。

営業利益の増減要因は次の通りです。

  • 原材料価格上昇影響を含む購買コスト削減は、415億円の増益要因となりました。
  • 台数・車種構成は289億円の増益要因となりました。
  • 販売費の増加は、259億円の減益要因となりました。
  • 研究開発費と生産コストは合計で90億円増加しました。
  • リコール費用とサービス保証費は16億円増加しました。
  • その他項目は194億円の減益要因となりました。

2014年度第1四半期末時点の自動車事業実質有利子負債は9,163億円のキャッシュ・ポジションとなり、しっかりとした水準を確保しています。2013年度末の1兆159億円からは季節的な要因で減少しているものの、2013年度第1四半期末の6,229億円からは2,934億円改善しています。

こちらが、中国合弁会社を持分に応じて反映させた比例連結ベースの業績です。2014年度第1四半期の連結売上高は前年から1,797億円増加し、2兆6,918億円となりました。連結営業利益は380億円増の1,558億円、売上高営業利益率は5.8%となり、前年同期比1.1ポイント向上しました。当期純利益は301億円上昇し、1,121億円となりました。

まとめ

第1四半期の業績と、残る3四半期の見通しを鑑み、通期予測に変更はありません。また、通期配当金の一株当たり33円についても予定に変更はありません。

当社は日産パワー88の目標を達成するコミットメントを引き続き維持してまいります。

以 上