スピーチ


2013年6月25日

第114期定時株主総会 事業報告

志賀COO

私からはまず、2012年度の販売実績についてご説明いたします。

2012年度販売状況
2012年度の世界全体の自動車需要は、欧州での低迷があったものの、前年より4.8%増え、7,900万台となりました。

当社のグローバル販売台数は491万台となり、過去最高を記録しました。
それでは、市場毎の状況をご説明いたします。

日本国内の全体需要は、エコカー補助金の効果もあり、前年に比べ9.6%増え521万台となりました。当社の販売台数は64万7,000台となり、主に拡大する軽自動車市場での供給不足によりシェアを落としました。その中でも、新型ノートはフィット勝ち、セレナがミニバンN01を取るなど主力車種が健闘しました。遅れを取っている軽自動車ですが、三菱自動車との共同事業であるDayzシリーズの発売で、今後、シェア挽回を図っていきます。

世界最大の自動車市場である中国の全体需要は1,821万台でした。当社の販売台数は前年を下回りましたが、これは主に諸島問題に起因しています。
諸島問題が起こった9月の第2週以降、販売は半減しましたが、様々な販促活動が功を奏し、状況は徐々に改善してきています。4月以降の販売台数は前年を超えています。

次に北米ですが、米国の全体需要は継続して改善しており、前年から二桁増となる1,471万台となりました。当社は過去最高の113万8,000台を販売しましたが、激しい競争と新車の供給不足により、シェアを落としました。しかしながら、現時点では供給問題は全て解決し、2013年度は好調を維持できると見込んでいます。

メキシコの市場占有率は24.8%で、引き続きナンバーワンブランドです。販売ランキングトップテンの内、5車種は日産車で、顧客満足度もトップレベルを維持しています。

ロシアを含む欧州の全体需要は1,718万台となり、6.4%減少しました。当社の販売台数も66万台に留まりました。厳しい市場環境にも拘わらず、当社は市場占有率を堅持し、スペイン、イギリス、そしてフランスでは過去最高の市場占有率を記録しました。

アジア、オセアニア、アフリカ、中南米、中東を含むその他市場における当社の販売台数は、16.3%増加し、95万9,000台となりました。当社は、これらの地域で、市場全体の倍近い伸びを記録しました。例えば、タイでは前年に比べ80%以上伸ばし、ブラジルや中東でも20%前後の伸びとなりました。

2012年度の日産パワー88の取り組み
2012年度は、引き続き、中期経営計画である日産パワー88の目標達成を目指し、活動を進めてきました。日産パワー88は、2016年度末までにグローバル市場占有率8%と、売上高営業利益率8%の達成・維持を目標としています。本計画の達成に向け、セールス・パワーとブランド・パワーの強化、ゼロ・エミッションリーダーシップ、事業の拡大、そして品質の向上とコスト競争力の強化に取り組んでいます。

財務実績をご説明する前に、2012年度のいくつかの目覚ましい成果についてお話ししたいと思います。

2012年度の成果
2012年度は、世界中で10車種の新型車を投入しました。その内、3車種はグローバル成長モデルで、米国ではアルティマ、中国ではシルフィ、そして国内ではノートを発売しました。加えて、日本国内にはNV350キャラバン、NV350キャラバン ワイドボディ、そしてNT450アトラス、米国にはパスファインダー、そして中国ではインフィニティMロングホイールベース、ヴェヌーシアD50とR50を投入しました。

2012年度、当社の商品は高く評価され、複数の賞をいただきました。例えば、日産ノートは、2013年RJCカー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。また、中国では、新型シルフィが、自動車メディア連盟による「カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。更に、自主ブランドのヴェヌーシアR50が「最優秀経済車」に選ばれました。

2010年12月の発売以来、電気自動車、日産リーフは世界で65,000台販売し、日本でも累計26,000台を販売しました。ゼロ・エミッション車リーダーを狙う当社の実績が認められた証です。

昨年度、飛躍的な拡大を果たしたもう一つの領域は、プレミアム・ブランドのインフィニティです。2012年度の販売は、対前年比12%増の17万3,000台で、過去最高を記録しました。チリ、ドミニカ共和国、南アフリカ、そしてオーストラリアで販売を開始しました。また、12月には、英国サンダーランド工場で、インフィニティの新型プレミアム・コンパクトカーを生産することを発表しました。

アライアンス
2012年度は、投資の最適化、原価低減、業務の効率化、そして拡販を目的に、パートナーシップを更に進化させました。14年の歴史を持つ、ルノー、日産アライアンスでは、2012年に年間26億ユーロのシナジー効果を生み出しました。
また、ロシア最大の自動車メーカー、アフトワズがアライアンスに仲間入りし、3社合わせてロシアで40%の市場占有率を目指しています。
今年1月、日産、ダイムラー、そしてフォードは、燃料電池技術に関する協力関係を発表し、2017年の市場導入を目指して技術開発を進めています。

事業の拡大・投資
成長著しい市場を中心に継続して事業の拡大を図っています。BRICs諸国やそれに続く市場では、生産能力を増強し、現地生産を拡大すべく、投資を行っています。例えば、ブラジル、レゼンデに新工場、メキシコのアグアス・カリエンテスに第二工場、タイやインドネシアでも第二組立工場を建設しています。

更に、革新に向けた投資も進めています。例えば、2月には米国シリコンバレーに研究開発センターを新設し、インターネットによる外部と「つながるクルマ」コネクテッドカーや自動運転車の技術革新に取り組んでいます。

2012年度連結財務実績
以上のような、数々の取り組みが、2012年度の業績に寄与しました。単独決算値を含む、詳しい財務実績は、6月3日付けの第114回定時株主総会 招集ご通知でご覧いただけますが、私のほうから簡単に、2012年度の財務実績をご報告します。

連結売上高は9兆6,296億円となり、2011年度から2.3%増加しました。連結営業利益は5,235億円、当期純利益は3,424億円となりました。尚、年度末の自動車事業のキャッシュポジションは9,159億円に達しました。

まとめますと、日産自動車は、当期純利益の通期予測を達成し、多額の自動車事業のフリーキャッシュフローを生み出し、バランス・シートを更に強化しました。

ではこれより、CEOのゴーンから、2013年度の見通しと計画についてご説明いたします。

ゴーンCEO

志賀さん、ありがとうございます。

申し上げるまでもなく、2012年度は進歩した一年でした。過去最高の販売台数を記録し、複数の戦略的なパートナーシップを新たに締結し、大規模な投資を、新商品、技術、そして、世界中の成長市場の生産能力に対して行いました。2013年度は健全な財務基盤をもってスタートしました。

ネット・キャッシュはこれまで以上に高水準を維持しています。ブランド力も飛躍的に向上しています。新技術は今まで以上に、効果的に市場投入されています。現在、日産自動車はゼロ・エミッション領域で圧倒的な首位の座を誇っています。そして私が初めて株主総会で皆さまにお目にかかった14年前に比べ、当社のグローバル販売台数は倍増しました。

端的に申し上げますと、日産自動車は正しい方向に進んでいます。

今後数か月間、日産自動車は近年の成果を更に発展させていきます。また、当社がこの80年間、守り続けてきたイノベーション、すなわち革新を更に強化していきます。

創立80周年
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、今年12月に、日産自動車は創立80周年を迎えます。

向こう半年間、この大事な節目に向かって、日産自動車の歴史と今後の数々の計画を称え、国内外で重要な商品イベントを行う予定です。これまで当社が歩んできた長い道のり、特に1999年以降の歳月に改めて思いを馳せる機会となるでしょう。

14年前、当社が破たん寸前だった当時、私どもは会社の態勢を立て直し、活性化するという目標を掲げました。そしてそれらを全てやり遂げました。日産自動車は、実力を100%発揮する態勢が整いました。当社には、適切な商品、技術、人財、そして事業戦略が揃っています。

では今年、株主の皆さまのご期待にどのようにお応えするのか、お話ししたいと思います。

2013年度の見通し
まずは、今年度の世界の自動車市場の見通しについて触れたいと思います。2013年度のグローバル全体需要は前年比3%増の8,100万台と、過去最高を見込んでいます。当社はあらゆる機会をとらえ、競争力の向上を図り、拡大する市場でシェアを伸ばしていきます。

2013年度、当社はグローバル販売500万台越えを果たします。事実、今年度のグローバル販売台数は過去最高の530万台を見込んでおり、これは前年から7.8%の伸びに相当します。グローバル市場占有率は6.5%を想定しています。以上を達成することで、日産パワー88で掲げる2016年度末までに8%のグローバル市場占有率と8%の売上高営業利益率を達成・維持する目標に更に近づきます。

2013年度の業績予測は、昨年度と同様の会計基準を前提に、連結売上高は前年から1.5兆円以上増加する見込みです(11.2兆円)。連結営業利益は1,750億円以上改善する(7,000億円)予定です。当期純利益は前年から800億円近く増加し、4,200億円に達する見込みです。

以上の予測に基づき、2013年度の年間配当金は前年比20%増の一株当たり30円に増配する予定です。

2013年度の戦略
私どもはこの1年間に大いに期待しています。目標達成のための包括的な計画も揃っています。本戦略は、3つの重点領域から構成されています。

  • 成長に向けた取り組みの強化
  • 新商品の発売
  • ブランド活動とマーケティング活動の向上

成長に向けた取り組み
当社の成長に向けた取り組みは、世界の自動車市場の発展に合わせて進めていきます。ではここで、2013年度とそれ以降、需要の増大を想定している市場をVTRでご覧いただきましょう。

世界の自動車市場は、大きな過渡期にあります。今後は、新規市場を中心に需要が伸びていく見込みです。新規市場では、経済発展に伴い、これまでクルマを持つことを夢見ていた大勢の人々が、新規購入者として、実際にクルマを購入するようになります。

中流層が増えるに伴い、豊かになった人々が最初に買うのは、多くの場合、クルマです。グローバル市場を見渡すと、米国では1000人当たりの保有台数は800台です。一方、欧州全体では平均で1000人当たり約500台です。日本国内では約600台です。ロシアでは既に280台に達しました。中国は50台です。インドは僅か15台です。

ブラジル、インドネシア、南アフリカをはじめとする他の国々の保有台数は成熟市場の水準を大幅に下回っています。従って、これらの国々が、21世紀の世界経済の成長をけん引することが想定される中、自動車を購入する需要も当然増えていく見込みです。

例えばいわゆるBRICs諸国であるブラジル、ロシア、インド、そして中国の状況を見てみましょう。私が日産自動車に就任した1999年当時、当社のグローバル販売台数は年間250万台でした。内、BRICs諸国が占める割合はわずか0.6%、1万5,000台に満たない販売に留まっていました。2012年度の当社の販売台数は500万台近くでしたが、BRICs諸国の占める割合は30 %以上に増加し、99年に比べ100倍に相当する約150万台を販売しました。

特に成長著しいのは中国です。2012年度は、諸島問題の影響があったにも拘わらず、中国は、当社にとって最大の市場であり、グローバル販売の25%近くを占めています。2013年度は、勢いを回復し、前年比6%近くの販売増を見込んでいます。同国では、ニッサン・ブランド、インフィニティ・ブランド、ヴェヌーシア・ブランドで、それぞれ新型車を発売し、販売網を拡充し、市場が拡大している中部及び西部の都市のお客さまに対応していきます。

また、今後の成長に備えて、生産に関する投資戦略を準備しています。今年度は、メキシコとブラジルで新工場を開設し、タイとインドネシアでは生産能力の増強を行います。通期にわたり、アジア・大洋州、アフリカ、中南米、そして中国でも事業を拡大していきます。

創立80周年を迎える今年、象徴的なダットサン・ブランドが復活することは、正に時宜を得ています。ダットサンの投入により、成長著しい市場の大勢のお客さまのニーズに、より的確にお応えする、信頼できる、最新のデザインの、敷居の低いクルマをご提案します。

ダットサン・モデル第一弾は来月、インドでご披露する予定ですが、今年度の後半には、ロシアとインドネシアでそれぞれの商品を発表し、販売は今年度末に控えています。

急成長を続けるロシア市場では、当アライアンスを拡大・強化し、アフトワズ・グループが新たに仲間入りを果たしました。アライアンス全体で、それぞれ特徴のある5つのブランドを同市場で展開し、40%の市場占有率獲得を目指しています。今週の木曜日、アフトワズの取締役に再選された後、私は同社の取締役会の会長に任命される予定であり、本格的な協業関係が始まります。

今後は、益々重要性を増している、この成長市場で、当アライアンスのスケール・メリットを活かしながら、ラーダ・ブランドを更に強化し、アフトワズをサポートしていきます。

当社の地理的拡大は、新興市場に留まりません。世界金融危機に端を発した困難な時期から米国経済は回復しつつあり、新車市場も危機が起こる前の水準に戻りつつあります。商品と技術に対する多額の投資と、一新したマネージメント体制のもと、米国事業には大いに期待しております。

米国の日産自動車には、昨年度の市場占有率8%弱を遥かに上回る実力があると自負しております。ローグやヴァーサ・ノートをはじめとする複数の新型車に支えられ、今年度は販売を11%以上伸ばし、日産パワー88の終了する2016年度末までに10%の市場占有率を達成することが目標です。これは将来に向けた重要な布石です。

新商品と技術
では2013年度の二つ目の重点領域である、商品計画の拡充と新技術の採用についてお話ししたいと思います。中期経営計画で予定している、6年間で平均1車種の新型車を6週間ごとに発売する計画は順調に進んでいます。2016年度末までで、日産自動車は世界中で51にのぼる新型車を立ち上げる予定です。今年度発売を控えている新型車についてご説明する前に、映像でその一部をご紹介いたします。

2013年度、ニッサン、インフィニティ、そしてダットサン・ブランドは合計7車種のグローバル成長モデルと、10以上の地域モデルを発売します。

日本国内では、デイズとデイズ・ルークスという軽自動車2車種を中心に、新車攻勢を計画しています。今や国内市場の4割を占める軽自動車セグメントにおける成否は極めて重要です。

デイズは三菱自動車と共同開発し、6月6日に発売したばかりです。非常に注目を集めております。これは、日本全国のお客様にデイズのエコ性能と、経済性をご理解いただけた証だと考えております。おかげさまで、お客さまからは、私たちの期待以上の注文をいただいております。

デイズは、ハイトワゴン・タイプの軽自動車の中で、最も燃費が優れています。低燃費を実現しているため、デイズ・オーナーの皆さんには、国内の優遇税制が適用されます。

デイズに加え、デイズ・ルークスも2014年の初旬に発売予定です。デイズ・ルークスは、国内で最も売れている軽自動車の一つであるルークスの後継です。これら魅力溢れる2車種で、当社は、国内の軽自動車市場で二桁台の市場占有率を達成する見込みです。

当社の軽自動車に対する認知度と話題想起にあたり、私どもは来店されるお客さまをお待ちしているだけではありません。潜在的なお客さまにも商品を知っていただくべく、国内最大の小売業であるイオンをはじめとする全国のショッピング・センターと協力すると同時に、新たな広告キャンペーンも行っています。VTRで具体例をご紹介しましょう。

国内では、主力車種であるセレナ、シルフィ、そして2012年RJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したノートで販売を伸ばしていきます。新型エクストレイルにも大いに期待しています。新型エクストレイルは、グローバル成長モデルの一つで、今年の後半に発売予定です。

国内外で、新型エクストレイルは、日産自動車の大きな強みの一つであるSUV/クロスオーバー・セグメントで、人気を博すでしょう。今年、米国で投入予定の新型ローグの健闘にも期待しています。近々、欧州で販売される新型キャシュカイも有望です。

あらゆるセグメントにおいて、更に力を発揮するべく、今年の新商品は、具体的なお客様のニーズと期待にお応えします。例えば、今年後半に中国に投入予定のティアナ ロング・ホイールベースは、クルマ選びの際に、広い後席を重視する中国固有のお客様ニーズに対応するべく、開発しました。

また、欧州、米国、そして日本のように、ハイ・パフォーマンス・ブランドのニスモが人気の市場には、ジュークNISMOを投入し、究極のパフォーマンス・カー GT-R NISMOの計画も発表しました。

一流の商品を開発し、違いのわかるお客様のニーズにお応えする取り組みは、グローバルなプレミアム市場に投入する新型車、インフィニティQ50でも具現化されています。

Q50セダンは長きに亘り、インフィニティの売上ナンバーワンの座を維持してきました。次世代モデルは、インフィニティ・ラインアップを刷新する主力商品です。この新型車は国内で開発され、栃木工場のエキスパートが手掛けたクルマであり、正に、日本の職人芸と革新的なデザインを伝える親善大使の役割を果たします。

当社は、2013年度、前年比8%近くの拡販を目指しています。目標達成に向けて、モデル効率の向上に取り組んでいます。より細かく分析を行い、販売会社とのコミュニケーションを改善し、各モデルの生産と販売台数の適正化を図っていきます。

一連の新型車に加え、今年度は20件の新技術を商品化します。これは、日産パワー88の期間中に90件の新技術を採用するコミットメントの一環であり、順調に進んでいます。2013年度は、ダイレクト・アダプティブ・ステアリング、エマージェンシー・ブレーキ、FFハイブリッドをはじめとする画期的な安全装備を採用予定です。更に、インターネットによる外部と「つながるクルマ」コネクテッドカーや自動運転車の先進技術にも引き続き取り組みます。

クルマと技術をより効果的に市場にご提案し、お客さま対応を向上させるべく、2013年度末には、世界中の販売拠点を現在の9,100店舗から9,600店舗に拡大します。

ブランド・パワーとコトづくりの取り組み
では戦略の三つ目にあたる、ブランド・パワーの強化についてご説明したいと思います。ブランド・パワーの向上は、プライシング・パワー、すなわち価格支配力の向上につながり、最終的には、株主の皆さまにより大きな利益をもたらします。

自動車産業を取り巻く環境がどうあれ、世界で最も成功しているブランドは、どれも、お客さまの目から見て「自分のために作られた、情緒に訴える、ワクワクする、期待を上回る、信頼性の高い、馴染みのあるブランド」です。力強いブランドを手掛ける企業は、お客さま、従業員、そして投資家の声に耳を傾け、心を通わしています。ブランドを掲げ、そのブランドの持つ物語りを、人の心を動かす語り口で表現しています。その結果として、価格支配力が向上します。

日産自動車は、ベスト・グローバル・ブランド100ランキングで、73位となりました。更に、この2年間、当社は同ランキングで、最も大きく順位をあげています。ただし、まだ道半ばです。ではここで、どのように、今の勢いに弾みをつけて、ブランド認知度向上に取り組んでいるか、映像をご覧ください。

ご覧いただきました活動をはじめ、様々な取り組みを通して、ブランドの一貫性、ブランド力の向上、そしてブランド・エンゲージメント、すなわちお客さまとブランドとの絆づくりに、これからも力を入れていきます。これらの活動を支えるのは、力強い、画期的なコトづくりです。日産自動車は、コトづくりを、モノづくりと同様に重視しています。

すべてのステークホルダーの皆さまに、私どものブランドに関する、より明快で、一貫したメッセージをお伝えするべく、2013年度より、コーポレート・ロゴを見直し、デジタル・メディアの取り組みを強化し、グローバル・ブランド・キャンペーンを拡大しています。

コトづくりの力を向上させるために、日産グローバル・メディア・センターは、日産自動車のストーリー、すなわち物語を様々な切り口からお伝えし、2013年度末には、累計1,000万件の視聴者を獲得する見込みです。画期的なグローバル・メディア・センターが始動して僅か24か月で達成した目覚ましい成果です。

世界中で展開している「ホワット・イフ?」(「もしも・・・だったら」)キャンペーンは今や、45にのぼる国際空港に導入され、2013年度には、延べ8億人を超える空港利用者の目に触れることになります。また、ブランドの活性化に向け、創造性溢れる、最先端のプロモーションを行っています。

例えば、日本では、世界最速の男であり、ニッサン・ブランドの親善大使であるオリンピックの金メダリスト ウサイン・ボルト選手とニッサンGT-Rがコラボしました。本イベントのために、7,500人以上のファンが、グローバル本社に集まってくれました。

もう一つの具体例は日産GTアカデミーです。これは、ビデオ・ゲームの世界を現実のものにする革新的なプログラムで、ソニー・プレイステーションとともに開発しました。2008年の設立以来、GTアカデミーは400万件の応募と、8,000万人の視聴者を獲得しました。本プログラムは、160か国で放送され、新しい世代の日産ファンを生み出しています。

同様に、新しい発想は、現実のモータースポーツにも活かされています。インフィニティ・ブランドの認知度向上を目指し、F1で最強のレーシング・チームとの協力関係を更に拡大しました。インフィニティ・レッドブル・レーシングです。

インフィニティは冠スポンサーとテクニカル・パートナーとして、サーキットで最も注目されるブランドとなりました。モータースポーツ・ファンを更に惹きつけるべく、日産自動車は先週末、ルマンにカムバックを果たしました。この機会をとらえて、新たな「ゼロ・エミッション・オンデマンド・レーシングカー」略してZEOD RCで参戦します。ZEOD RCは、24時間耐久レースのために作られたマシンで、オン・デマンドでゼロ・エミッション走行するパワートレーンを搭載しています。2014年シーズンに参戦する予定です。先週末の発表会では、当社が引き続き革新し、2014年ルマンに、これまでになかったワクワクをサーキットでご紹介することを世界に伝えました。

以上の取り組みは、日産ブランドで人をワクワクさせ、その結果として価格支配力を向上させる活動の一端です。

CSR
日産自動車は、今後も財務基盤の強化と、株主利益の増大に取り組んでいくものの、それと同時に、持続可能な社会の実現にも注力していきます。

持続可能な社会の実現こそ、当社のCSR活動の目標です。例えば、包括的な環境行動計画である日産グリーンプログラム、そして先日、インドで開催し、ブラジルでの開催も控える安全運転啓蒙活動の日産セーフティ・ドライビング・フォーラム、更にはハビタット・フォー・ヒューマニティとのグローバルなパートナーシップもその一環です。

国内では、ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパンの協力のもと、当社の従業員が東日本大震災で被災した岩手県の復興活動に参加しました。延べ80人を超える従業員が、大船渡市の港町に赴き、ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパンによる家屋の修繕支援に携わりました。

地域限定の社会貢献活動に加え、日本は、日産自動車の環境活動と、持続可能なモビリティ社会の実現に向けた力強い取り組みが最も顕著な国です。ホームマーケットである国内のお客さまのお蔭で、ゼロ・エミッション車である日産リーフの販売は拡大しており、電気自動車の普及を促進しています。事実、7月には、ルノー・日産アライアンスの電気自動車の累計販売台数は10万台を超える見込みです。

世界中の自動車メーカーの中で、日産自動車とルノーは唯一、ゼロ・エミッション技術の開発に専心しているグループです。そして本取組みは、総合的な組織力に裏付けされています。事実、日産自動車は自動車メーカーで唯一、電気自動車とバッテリー工場をそれぞれ3拠点ずつ運営しています。

ゼロ・エミッション車の普及に向けて、当社は引き続き日本、欧州、そして米国の政府と自治体に働きかけ、民間部門のパートナーとも協業し、急速充電器の整備を促進しています。

日産自動車の環境の取り組みとCSR活動の詳細については、先日、当社のウェブサイトに掲載されたばかりのサステイナビリティ・レポート2013をご参照ください。また、まだご覧になっていない皆さんは、是非、マリン・ロビーの展示物もご覧ください。主な活動の一部をご紹介しております。

グローバル日産社長賞
以上のような対外的な活動に加え、社内での活動も更に強化しています。優れた取り組みを促し、ベスト・プラクティスを紹介するモチベーション向上のための手段の一つとして、従業員を対象としたグローバル社長賞を設けています。

先月、2012年度グローバル日産社長賞を、従業員のナンバーワンとしての心構え、闘志、そして目覚ましい成果を称え、メキシコ日産に授与しました。

メキシコ日産は、48か月連続で、市場シェアナンバーワンの座を維持することに成功しました。現在の市場占有率は24.8%で、2位メーカーとは7ポイントの差をつけています。更に、同市場で日産自動車は、自動車産業で最高の顧客満足度を達成しています。

以上のような取り組みにより、私は2013年度、そしてそれ以降、当社の成長を大いに期待しています。

まとめ
2013年度は、成長と目標達成の数々のチャンスに恵まれることを期待しています。日産自動車はそのひとつ一つを確実につかみとっていきます。直面する課題には速やかに対処し、顧客志向のサービスと、スマート・ディシプリン(賢い規律)の実践、そして株主の皆さまに対する責任を常に忘れず、取り組んでいきます。これからも、昨年学んだ教訓を活かし、力をつけ、この80年間の歴史の中で培ってきた革新性とエキサイトメント(ワクワク)を更に発展させていきます。

日産自動車には誇るべき歴史があります。しかし、それ以上に、私どもは将来を見据えています。日産自動車は世界に画期的な商品であるGT-Rや日産リーフをご提案し、日本を、世界の自動車産業の中心に据える活動に寄与した会社であるという事実だけで満足してはおりません。これらの成果に加え、日産自動車は、世界で最もつながっている「コネクテッドカー」を提案し、自動運転車の夢を実現し、燃料電池技術で次世代のゼロ・エミッション車メーカーの先駆けとして活躍する会社を目指しています。

これが、私どものビジョンであり、今後の会社の方向性を決める指針です。

以 上