スピーチ


2013年11月1日

2013年度上期決算報告
日産自動車株式会社
最高経営責任者 カルロス ゴーン

はじめに
本日は、2013年度上期の財務実績と、通期の販売及び業績予測の修正についてご説明したいと思います。
上半期の主な実績をご報告した後、通期予測の見直しと、事業活動を是正するための当面の取り組みについてお話ししたいと思います。
プレゼンテーション終了後、皆さんのご質問にお答えしたいと思います。2013年度上期の業績の詳細、前年度との比較、そして通期予測については添付資料をご参照ください。

2013年度上期販売状況
2013年度上期のグローバル全体需要は前年比3.9%増の4,144万台となりました。当社のグローバル販売台数は前年比1.5%減の244万台に留まりました。欧州販売の低迷、そして複数の新興国における大幅な減少が、北米の着実な伸びと日本国内における増販を相殺しました。

当社の国内販売台数は前年比3.6%増の31万5,000台となりました。健闘するノートと、軽自動車の新型日産デイズの好調な販売が功を奏し、市場占有率は12.4%に伸びました。拡大する軽自動車市場と新車効果が寄与しました。

次に北米ですが、米国の当社の販売は、全体需要の伸びを上回る前年比14.5%増の62万3,000台に達し、市場占有率は7.7%に上昇しました。パスファインダー、ローグ、アルティマ、そして日産リーフが大きく貢献しています。さらに、カナダでは前年比14.8%増の5万台を販売し、メキシコでも販売を12万6,000台に伸ばし、首位の座を維持しています。

中国においては、新型シルフィと新型ティアナの販売は好調でしたが、6月末までの上期の当社の販売台数は前年から8.3%減少しました。市場占有率は前年比1.4ポイント減の5.8%に留まりました。日系メーカー各社に影響した諸島問題の余波が依然として残っています。

欧州では、市況が引き続き低迷し、需要は変動し、価格競争が激化しています。当社の販売台数は前年比6.1%減の30万8,000台に留まりました。しかしながら、台数を伸ばした数少ない市場である、重要なイギリスにおいてプレゼンスは維持しました。その結果、ロシアを除く欧州の市場占有率は3.4%を維持しました。一方、ロシアの販売台数は13.9% 減少し、7万台に留まりました。9.4%減少したロシア市場の影響に加え、当社の重要な新型車の供給遅れが影響しました。

アセアン、アフリカ、南米など、その他の市場では、当社の販売台数は前年比8.4%減の42万4,000台となりました。アジア・オセアニアでは価格引き下げの圧力と競争激化により、販売台数は前年比11.8%減の17万7,800台に留まりました。タイでは政府の補助金打ち切りに伴い、販売台数は前年比33.7%減の35,000台となりました。需要が低迷するインドでは、販売台数は9,000台減少しました。中南米では前年比17.8%減の99,700台となりました。これは主として、新たなブラジルへの輸出制限により、同国の販売台数が前年比29.8%減の40,200台に留まったことに起因しています。一方、中東では前年比10.1%増の96,400台を達成し、その他の販売減を補いました。

2013年度上期財務実績
中国合弁会社比例連結ベースでの連結売上高は、前年比6,686億円増の5兆2,154億円となり、主として円高是正の増収が寄与しました。

一方、連結営業利益は2,647億円に減少しました。想定より増加したリコール関連費用、そして複数の新興市場での販売減に加え、さらに現地通貨の為替変動のマイナス等、複数の要因が影響しました。当期純利益は1,898億円となり、前年から僅かに増加しました。

2013年度の見通し
上期の実績と、下期に想定される市況を前提に、2013年度通期の販売台数と業績予測を修正しました。

2013年度通期のグローバル販売台数は当初の530万台から10万台減の520万台に見直しました。日本、中国、北米の販売予測を上方修正しましたが、これは、ロシアをはじめとする多くの重要な新興市場の販売減を補うには至りませんでした。

これらの逆風を受け、通期業績見通しの修正を行いました。2013年度下期の為替レートは1ドル97円と1ユーロ130円を前提としています。こちらの業績予測は中国の現地合弁会社に比例連結を適用した場合の数字です。

  • 連結売上高は前年比16.3%増の11兆2,000億円。
  • 連結営業利益は前年比14.6%増の6,000億円。
  • 連結当期純利益は前年比3.7%増の3,550億円。
  • 設備投資は前年比8.7%増の5,700億円。
  • 研究開発費は前年比10.7%増の5,200億円。

下期に生み出す利益で、年度末にはプラスのフリー・キャッシュフローと株主の皆さまに対する確かなリターンを確保します。従って、年度当初発表しました一株当たり30円の通期配当に変更はありません。本日の取締役会で、一株当たり15円の中間配当を決定し、2013年11月26日にお支払いする予定です。

難題と厳しい環境下、当社は断固たる決意で臨み、会社の軌道を維持するべく、力を尽くしてきました。2013年度上期の業績を受け、不備や未達の分野を洗い出しました。これらの問題解決に迅速に取り組んでいます。

中期経営計画 日産パワー88達成の自信に揺らぎはありません。2011年に発表した日産パワー88は、日産として初めての6か年計画であり、生産能力の増強、技術・商品開発に関わる大規模な投資を伴う内容です。日産パワー88は中期的な成長のための計画のみならず、2020年とそれ以降も競争力を維持するために必要な投資計画です。

売上高に対する設備投資と研究開発費の割合は今年度、ピークに達しました。日産パワー88の後半には設備投資と研究開発費は横ばい、または減少に転じる見込みです。

例えば、台数拡大のため、複数の工場建設と能力増強に取り組んできました。今年度だけでも、9つの大きな生産プロジェクトが進んでおり、現時点では多額のキャッシュ・アウトに対し、リターンはありません。来年度にはプロジェクト案件の数は2つに減り、新設した工場の生産により、リターンがいよいよ始まります。

新車投入についても同様です。平均で6週間に1車種投入する日産パワー88の計画通り、今後も進めていきますが、台数を期待できるグローバル成長モデルの多くは、この3年間で立ち上がりました。今年度は日産ローグ、エクストレイル、キャシュカイ、そして新型インフィニティQ50を発売します。それぞれ多額の投資を伴うプロジェクトですが、大きな利益をもたらします。

販売費の効率化にも取り組み、バランスを取りながら、持続的なブランド力の向上と、北米や欧州における厳しい価格競争とインセンティブ競争に対応しています。日産パワー88の前半には、ブランドの向上と販売固定費(FMI)の管理徹底に努めました。今年度下期と日産パワー88の後半には、販売変動費、インセンティブの管理に取り組みます。本活動に大きな効果を見込んでいます。

以 上