2005年4月25日

日産自動車株式会社

2004年度決算報告および日産バリューアップ記者会見

日産自動車株式会社取締役社長兼CEOカルロス・ゴーン

2004年度は厳しい年となり、想定していたリスク、予定外のリスク共に現実のものとなりましたが、日産は全ての課題に挑みました。2004年度、当社は売上高、営業利益、当期利益、販売台数、生産台数で過去最高を記録しましたことをご報告します。

この機会に、高いモチベーションをもって世界中で会社を支えてくれた社員に感謝したいと思います。社員は日産と、日産の全てのステークホルダーに価値を提供し続けています。

本日は2004年度の実績の最終値をご説明すると共に、今年度の見通しについてお話しします。また日産180全体の振り返りを行ったあと、この4月1日に始まりました次の3ヵ年計画である日産バリューアップのご説明で締めくくりたいと思います。

2004年度販売状況

では販売状況についてご説明しましょう。

2004年度、当社のグローバル販売台数は338万8000台となり、当初予測の338万台を上回りました。過去最高となったこの販売台数は前年比10.8%増、33万1000台の販売増に相当します。またこれまでに過去最高を記録した1990年の販売台数を281,000台上回ります。

2004年度はグローバルで9車種の新型車を投入しました。

販売台数と共に、グローバル生産台数も過去最高を記録しました。当社のグローバル生産台数は337万8000台に到達し、前回の最高記録を293,000台上回りました。

日本における販売台数は848,000台に達し、1.4%の微増となりました。日産ブランドと日産車は引き続きご好評をいただいております。フーガはRJCカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、3月にはノート、ティーダ、キューブ、マーチが国内の車名別販売ランキングベストテンに入りました。更に、当社の市場占有率は0.4ポイント上昇し、14.6%に達しました。

米国における販売台数は前年比18.4%増の101万3000台に達しました。当社は米国で初めて100万台販売を達成したのです。米国における2004年度通期の市場占有率は6%となり、前年度は5.1%でした。

ニッサン・チャンネルの販売台数は前年比20.4%伸び、好調なトラックが牽引役を果しました。新型フロンティア、新型パスファインダーとタイタンの健闘によって、トラックの販売は47.6%増加しています。また、アルティマも引き続き乗用車販売に大いに貢献しています。

インフィニティ・チャンネルは再び過去最高の売上を記録しました。牽引役となったのは、競争力の高いG35スポーツセダンとクーペ等、魅力的な商品ラインアップです。インフィニティ・チャンネルの販売台数は前年比6.5%増の132,000台となりました。

会計年度が暦年ベースの欧州では、販売台数はほぼ横這いの544,000台となりました。好調なエクストレイルとピックアップが、商品イベントのなかった乗用車の売上を補いました。

メキシコとカナダを含む一般海外市場における販売台数は19.5%伸び、983,000台に達しました。中国における売上は92.7%増の194,000台となり、ティアナが2005年度カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

2004年度財務実績

2004年度の連結財務実績は予想通りとなりました。

2004年度の連結売上高は8兆5,763億円となり、前年比15.4%の増収となりました。販売台数増及び車種構成の改善は、7,070億円の増収要因となっています。為替レートの変動は売上高に対し、1,730億円の減収要因となりました。連結対象範囲の変更は、主に東風(とんぷう)汽車(きしゃ)有限公司と裕隆日産を加えた結果、4,320億円の増収要因となりました。

連結営業利益は前年度から4.4%増加し、過去最高の8,612億円となりました。また、売上高営業利益率は10.0%です。

2003年度と2004年度の営業利益の増減要因は次の通りです。

  • 2004年度の連結営業利益に対し、為替は780億円の減益要因となりました。
  • 連結対象範囲の変更による営業利益への影響は310億円の増益となりました。
  • 台数増と車種構成の改善により2,840億円の増益となりました。米国における販売増が主な牽引役となりました。
  • 販売費は1,140億円増加しました。
  • 購買コストの削減は1,310億円の増益要因となりました。
  • 商品性の向上と、規制対応に関わるコストは920億円の減益要因となりました。
  • 研究開発費は440億円増加し、商品と技術開発の強化を図っています。
  • 生産の効率化による原価低減を、キャントン工場の能力増強に伴うコスト増が相殺した結果、生産と物流コストは150億円の減益要因となりました。
  • サービス保証費は410億円の減益要因となりました。
  • 一般管理費とその他経費は257億円増加しました。

では所在地別に見てみましょう。日本事業の営業利益は2003年度の3,525億円に対し、3,411億円に留まりました。主な要因は替レートの悪化と過去最高となった研究開発費です。

米国とカナダの営業利益は3,797億円となり、2003年度の3,518億円から上昇していますが、これは台数増によるものです。

欧州の営業利益は560億円となり、前年度の492億円から増加しました。これは車種構成の改善とロシアにおける台数増によるものです。

メキシコを含む一般海外市場については、前年度の660億円から848億円に増加しました。これは主に連結対象範囲の変更で、東風汽車有限公司と裕隆日産が加わった結果です。

経常利益は8,557億円となり、2003年度の8,097億円に対し増益となりました。

当期純利益は5,123億円で、前年比86億円の増益となりました。

自動車事業実質有利子負債は完済しました。2004年度末の実質キャッシュは2,058億円となりました。

6月21日に予定されている定時株主総会では、既に発表しましたように一株当り12円の期末配当金を提案し、2004年度の年間配当は一株当り24円になる予定です。

日産バリューアップ終了時には、当社の年間配当は一株当り40円以上となり、2004年度から66%の増配に相当します。

2005年度の予測

では2005年度の見通しについてご説明したいと思います。

グローバル市場の全体需要はほぼ横這いの6100万台を前提に、2005年度の当社のグローバル販売台数は前年比6.8%増の361万8,000台を見込んでいます。

2005年度はグローバルで新型車を6車種発売し、地域別に合計で20の商品イベントを予定しています。国内では新型車5車種を投入し、本日お披露目させていただきます新型セレナ、三菱自動車からのOEMによる軽自動車で6月販売開始予定の、新型オッティ等を発売します。欧州ではマイクラのコンバーチブル・クーペを投入します。今年は北米向けの新型車は予定しておりませんが、2006年と2007年の新車攻勢に向けて準備を行っています。

国内の販売目標は前年比10%増の933,000台です。全体需要は前年と同水準の580万台を前提としています。

米国の販売目標は3.3%増の104万7,000台を見込んでいますが、全体需要は横這いの1,690万台を前提としています。

欧州の販売目標は前年比1.1%増の550,000台です。西ヨーロッパの全体需要は前年と同水準の1,610万台を前提としています。

メキシコとカナダを含む一般海外市場の販売目標は108万8000台で、前年比10.7%増を見込んでおります。

新年度にリスクと好機はつきものです。2005年度は不確定要素も多く、今回初めて、リスクが好機を大きく上回る年です。リスク要因は為替レートの変動、金利の上昇、原材料価格の高騰、エネルギー費の増加、インセンティブの上昇に加え、米国及び日本経済の成長の不確実性があげられます。唯一の好機は日産バリューアップのスピーディー且つ効果的な実施にあります。

以上を鑑みて、2005年度の業績予測は、1米ドル105円、1ユーロ130円を前提に、次の通り、東京証券取引所に届け出を行っております。予測値には当社が現在41.2%保有しているカルソニックカンセイが含まれております。

  • 連結売上高は前年比4.9%増の9兆円です。
  • 連結営業利益は前年比1%増の8,700億円を見込んでおります。
  • 経常利益は8,600億円を予想しております。
  • 連結当期純利益は5,170億円です。
  • 設備投資は5,400億円となる予定です。
  • 研究開発費は4,500億円を見込んでおります。

この3月に発表しましたように、2005年7月には、退職給付制度を改定します。当社は年金基金に一時金として2,280億円を注入しますが、これには金利の低い、国内の債権市場も活用します。

日産180

2004年度は日産180の最終年度でした。

とはいえ、日産180が完了するのは9月末です。しかし、当社は日産180の三つのコミットメントの内二つを既に達成しています。

売上高営業利益率8%以上を達成するというコミットメントについては、日産180の3年間、当社は毎年度、10%以上の営業利益率を実現しました。

負債ゼロのコミットメントについては、更に厳しくなった新会計基準のもと、現在、当社の実質キャッシュは2,000億円以上です。

残る唯一のコミットメントは100万台の増販ですが、これもほぼ順調に推移しています。測定期間の折り返し地点にあたる現在、当社は180万9000台を達成しておりますが、9月末までに目標としている販売台数359万7,000台に対して、若干前倒しで推移しています。

日産180では、世界中のお客様のニーズを満たすべく、重要な商品を次々と投入しました。北米には当社の初めてのクロスオーバー車、フルサイズトラック、SUV、国内には軽自動車とコンパクトカー、中国にはティアナ、欧州には小型商用車のラインアップ、そして日産復活のシンボル、350Z等です。

日産180を振り返ってみると、この3年間は日産にとって、高い業績を残した、密度の濃い、学習期間であったと言えるでしょう。日産180で、当社は大胆な一歩を踏み出しました。アメリカ、ミシシッピー州のキャントン新工場で新型車5車種を立ち上げるという大きな課題に挑戦し、成功を収めました。中国市場では東風との合弁事業を通じてブレークスルーを実現しました。以上の取組みだけでなく、他の様々な活動によって、日産は世界の自動車メーカーのトップレベルを確立し、日産バリューアップにおける課題に取り組む上で必要な力を身につけることができました。

日産バリューアップ

日産バリューアップの内容についてご説明する前に、日産バリューアップの重要性についてお話ししたいと思います。

ご承知のように、日産の現在の状況は6年前とも、あるいは3年前の状況とも異なります。

99年当時、日産は危機に瀕しており、日産リバイバルプランによって、劇的な変革を起こし、会社を再生させ、将来の発展に備える必要がありました。日産リバイバルプランは会社の再建を目的とした、純粋でシンプルな事業計画でした。

日産180が始まった2002年4月、当社は再建プロセスの完了を目指し、利益ある成長に軸足を移しました。1−8−0という数字がそれを物語っています。

では、日産バリューアップの明確で間違えようのない焦点とは何でしょうか?

日産バリューアップでも、その名称が目的を表しています。つまり、価値、バリューを上げ続けることです。日産バリューアップは業績を持続させることを目的としています。今まで築いてきたお客様との関係、拡販、価値創造、利益の増大、マネジメントの向上による効果を刈り取ると同時に、それを更に発展させることが狙いです。

これは厳しい挑戦になるでしょう。短距離走は全力疾走で進まなければなりません。一方、長時間走りつづけるマラソンは、エネルギー、フォーカス、パフォーマンスを常に持続させて、先頭に立たなければならないのです。

日産バリューアップの内容は、日産180から大きくかけ離れたものではありません。日産バリューアップは進化的であって、革命的なものではないのです。日産は、今の日産を可能にした中核的な要素を継続させます。つまり、売上の増大、原価低減、品質・スピードの向上、そしてルノーとのアライアンスによる効果の最大化です。そして更にそれらを発展させます。

以上を念頭においた上で、当社の業績を、日産バリューアップでどのように持続させるかについてお話ししましょう。

2005年度から2007年度に亘る日産バリューアップには三つの重要なコミットメントが設けられています。

一つ目は利益に関するコミットメントです。コミットメントは、2005年度から2007年度の毎年度、グローバル自動車業界トップレベルの売上高営業利益率を維持することです。営業利益率は引き続きマネジメントの主眼となり、日産の真の業績を判断する尺度となります。

次に、販売台数のコミットメントは、グローバル販売台数420万台を2008年度末までに達成することです。これは、起点にあたる2004年度の台数に対して、812,000台の増大に匹敵します。

日産の利益ある成長は2008年度以降も続きます。この計画をスタートしたばかりの現在、私どもは既に日産バリューアップ以降にもより大きな成長を果すべく、準備を始めています。日産の拡販はまだ終ったわけではありません。

日産バリューアップの三つ目のコミットメントは3年間平均で、投下資本利益率20%以上を確保することです。この計算に手許資金は含まれていません。

日産バリューアップ策定にあたり、向う3年間の具体的な前提条件を設けました。2007年度のグローバルな全体需要は6,300万台を想定していますが、これは妥当で控えめな前提です。初年度の為替レートは米ドルに対して105円、ユーロに対して130円を想定しています。2年目、3年目については、より厳しい条件で、米ドルに対して100円、ユーロに対して120円を想定しています。

日産バリューアップは28の新型車によって支えられ、グローバルで70の生産立上げが予定されています。日産180における生産立上げは44件でした。日産には長年培ってきたモノ作りの力があります。日産生産方式は、日産バリューアップで注目を集めることになるでしょう。

28の新型車の内、18車種は現行車のモデルチェンジ、10車種は新規投入です。新規参入するセグメントもあり、うち6車種はお客様に喜んでいただける極めて革新的なコンセプトとメリットを提供します。

日産バリューアップ実施にあたり、日産は4つの主なブレークスルー、打開策を追求します。ブレークスルーとは、当社の現行のビジネス体制、マネジメント方式、あるいは現在の業績から脱却するための提案です。ブレークスルーの実現には、考え方と姿勢を大きく変えなくてはなりません。ブレークスルーは日産が開拓すべき新たな領域なのです。

第一のブレークスルーはインフィニティを、グローバルに展開し、一流のラグジュアリーブランドにすることです。

現在、インフィニティは北米、台湾、中東で展開されています。日産バリューアップでは、インフィニティを韓国、中国、ロシアに導入します。国内については、日産バリューアップ期間中は、日産ブランドで高級車市場における存在を維持・強化し、同時に高級車戦略実行案を精緻なものとします。国内では日産バリューアップ終了以降、インフィニティを導入します。

日産バリューアップの二つ目のブレークスルーは小型商用車、LCVです。

日産は1935年のダットサン・トラック投入以来、あらゆる市場で小型商用車を販売してきました。現在は日産ブランドとして、22車種の小型商用車を扱っています。例えばおなじみの小型トラックアトラス、キャラバン、ADバン、キャブスター、シビリアン等です。

日産バリューアップで、当社の小型商用車の販売台数は2004年度から40%増大し、2007年度末には、434,000台以上を達成する予定です。

小型商用車の収益性は現在の二倍を見込んでいます。2001年度、小型商用車は殆ど採算が取れていませんでした。2004年度の売上高営業利益率は4%に留まっています。2007年度末までに、小型商用車の連結営業利益率を8%以上に引き上げる予定です。

日産バリューアップの三つ目のブレークスルーはLCC、リーディング・コンペティティブ・カントリー、競争力のある国々からの部品・サービスの調達です。

これからは日本、北米、欧州以外の地域にもソーシングを拡大し、タイ、中国、エジプト等の生産拠点拡大を支えなければなりません。私どもはより効率的なグローバル・ソーシング戦略を実施し、機会を最大限に活用し、総コストを最小限に抑えながら、会社を成長させます。それには優れたサプライ・チェーン・マネジメントが不可欠です。

日産のグローバル・ソーシング戦略は四つ目のブレークスルーである大幅な地理的拡大に関わっています。

当社は既に中国、タイ、湾岸諸国、エジプト、ロシア、東ヨーロッパにおけるプレゼンスの強化を図っていますが、新たな市場であるインド、パキスタン等における拡大にも取り組みます。

加速的改善活動

以上四つのブレークスルーの他に、日産バリューアップでは複数の継続的な改善、または加速的な改善活動を追求し、現行プログラムの価値増大を図ります。

日産は品質という広い領域を向上させる具体的な計画を策定しましたが、これはお客様対応とビジネス・マネジメントも対象にしています。

先週、国内でマネジメント・インスティテュートを開設しました。マネジメント・インスティテュートは、リーダーシップや会社にとって重要な専門性の育成、そして日産マネジメントウェイに基づいた革新を行う基地として機能する教育施設です。

また、日産はダイバーシティ、多様性の促進に関する啓蒙活動と具体的な取組みにも引き続き力を入れていきます。ダイバーシティは会社にとって財産であると同時にチャンスでもあります。2004年10月に設立されたダイバーシティ・ディベロップメント・オフィスが、社内のダイバーシティ推進活動を強化しています。

また、サステイナビリティ・オフィスを設立し、ステークホルダーの価値増大に取組み、特にコーポレート・ガバナンス、環境への配慮、そして社会的責任に注力しています。

今後もルノー日産アライアンスによる効果の刈り取りを進めていきます。現在、ルノーと協力している分野を最大化するほか、新たな領域を模索し、日産とルノー両社にとっての更なる価値創造を目指します。私は両社のCEOを兼任することになりますが、本来のアライアンスの精神のもと、両社のパートナーシップは強化されるでしょう。

まとめ

日産は移行期にあります。日産180を完了すると同時に、日産バリューアップを始めようとしています。私どもは今まで数多くのことを成し遂げてきました。日産は事実、復活を果したのです。しかし、1999年以来、当社が遂げた進歩の中で、私どもが最も嬉しいのは、日産がお客様志向の会社に生まれ変わったということです。

当社がお客様志向になったということは事実が物語っています。

私どもは最早、競合他社に追随することを目的にクルマ作りをしていません。お客様のニーズを満たすべくクルマ作りに取り組んでいます。タイタン、ティアナ、エクストレイル等、それぞれ独自の目的をもった商品です。

私どもはお客様に新鮮で独創的な、また明快で創造力に溢れる、一貫したデザインを提供しています。ムラーノ、キューブ、Zをご覧ください。全て日産にしかない、力強い、情緒に訴える日産ブランドを表現しています。

日産はお客様にご満足いただける性能をご提案しています。日産車は今までも、これからも、木目細やかに設計されたクルマであり続けるでしょう。例えば日産のVQエンジンは毎年表彰されています。

私どもはお客様に常に、魅力的で競争力のある商品をご提案してきました。この5年間で40車種の新型車を投入し、今まで以上に充実したラインアップを揃えています。今後も更に新型車を投入しますが、米国向けの小型車もそのひとつです。

日産はお客様に、より良い販売・サービスをご提供するべく取組みを続けています。これは日産バリューアップでは特に重要な点です。本日より、日産の商品ラインアップは全て、レッドステージとブルーステージで併売します。お客様には、全国の日産2600店舗で、レッド、ブルーを問わず、あらゆる日産車をご購入いただけます。これにより、お客様の利便性が向上し、お客様の満足度につながると考えております。

当社は積極的に技術開発に取り組みます。私どもは国内で最大のS-ULEV(極超低排出ガス車)の販売台数を誇っていますが、今後もS-ULEVと新しいXTRONIC CVTの採用を拡大します。XTRONIC CVTは、二酸化炭素排出削減と燃費の向上に寄与します。日産バリューアップの終了時には、現在の4倍に相当する、世界で100万台のCVT搭載車を販売する予定です。これは20万台のハイブリッド車を販売した場合と同等の二酸化炭素排出削減効果を生み出します。

安全性については、新しい考え方を導入します。セーフティ・シールドは現実の世の中、いわゆるリアルワールドにおける衝突事故の過程を6段階に分類し、それぞれの状態において最適な技術を機能させることによって衝突防止、または衝突が避けられない場合の損傷を最小限に抑えるという発想です。日産が発売した世界初の車線逸脱警報システム(LDW)もこの一環であり、北米向けの乗用車に搭載しておりますが、当社は向う3年間で10もの安全技術を実用化する予定です。

最後に、日産がグローバルに拡大するということは、今まで以上に多くの価値を、より多くのお客様と、より多くの市場にご提供するということを意味します。

当社の飛躍的な成長は、顧客志向の取組みの結果にほかなりませんが、同時に、持続的な将来と利益を犠牲にするものではありません。私どもの活動は全て長期的な価値創造を目的とするものであり、ブランド力向上にも寄与するものです。

本日ご紹介いたします新型車にも価値を認めていただけるでしょう。新型セレナです。

新型セレナはBIG! EASY! FUN! ボックスです。同クラスでは最大の室内空間を実現した新型セレナには、便利で、使いやすく、機能的なメリットが満載です。新型セレナは家族や仲間と楽しみたいアクティブなお客様をターゲットに設計されています。新型セレナは日本のお客様に全く新しい選択肢をご提供することになるでしょう。

今週末、現在の日産における立場に加えて、私をルノーの社長兼CEOに選任する議案が提出されます。決議された場合、変わることと変わらないことの両方があります。

変更点は、私の責任範囲が広がることです。今までと変わらないのは、私の日産に対するコミットメントです。私は引き続き日産の経営会議であるエグゼクティブ・コミッティのメンバーと執行役員と共にマネジメントにあたり、日産の業績と結果の全責任と説明義務を担います。

皆様には、結果にもとづいて日産と、そして私どもひとりひとりの業績をご判断いただけると思いますが、今までもこれからも、大切なのは言葉ではなく、結果です。

日産バリューアップでは、卓越した商品と価値をステークホルダーの皆様にご提供することをお約束します。私どもには明確なプランがあります。それを実行に移し、私どもが望んでいる将来を勝ち取らなくてはなりません。実現することで、明るい将来が開けるでしょう。

ご静聴ありがとうございました。