2004年04月26日

2003年度決算及び日産バリューアップに関する記者会見
社長 カルロス ゴーン スピーチ原稿

日産自動車株式会社

I. はじめに
皆様、今日は。

日産の再建プロセスが始まって以来、私は毎年、前年度の決算見通しを発表して参りました。そして、日産の再建がスタートした99年以来、業績は常に前年度と予測を上回っております。

それは、2003年度についても同様です。

2003年度、日産は過去最高益を計上し、引き続き、グローバル自動車業界トップレベルの営業利益率を実現致しました。

また、これまでと同様に、数字が好業績を物語っています。2003年度は当初予想していたリスクの多くが現実のものとなったのにも拘わらず、私どもは日産180を徹底し、予想していた数多くの好機を掴むことに成功しました。

日産180の最終年度が始まるにあたり、今日は、2003年度の実績をご説明すると共に、今年度の見通しについてお話ししたいと思います。今日発表する決算数値は確定値です。また2005年の4月から実施します次の三ヵ年計画の概要を発表いたします。

I.2003年度まとめ
では販売状況についてご説明しましょう。

2003年度、当社のグローバル販売台数は305万7,000台となり、当初予測の304万台を上回りました。これは前年比10.4%増、28万7,000台の販売増に相当します。日産の販売は実に13年ぶりに年間300万台を突破したのです。

国内販売台数は83万7,000台に達し、全体需要が横這いの中、前年比2.6%増を果しました。この増販にはマーチとキューブが貢献しており、両車は月間車名別販売ランキング上位10位に毎月ランクインしています。更に、軽自動車込みの市場占有率は前年比0.3ポイント増の14.2%となりました。

米国における販売台数は前年比17.9%増の85万6,000台に達しました。その間、全体需要は1%の上昇でした。

ニッサン・チャンネルの販売台数は前年比16.1%伸び、車種構成が大幅に改善しました。高収益のトラックの販売は34.1%増加しましたが、これはムラーノとキャントン工場で生産している新型車によるものです。キャントン工場製の新型車はまだ立ち上がったばかりです。一方、乗用車の販売台数は、アルティマと新型マキシマの健闘によって6.5%伸びました。

インフィニティ・チャンネルは過去最高の売上を記録し、前年比29.4%増の12万4,000台に達しました。牽引役を果したのは、引き続き販売を伸ばしているG35セダンとG35クーペ、FX35、そしてFX45です。当社初のフルサイズSUVであるQX56も2月に発売し、好評を博しています。

米国における通期の市場占有率は5.1%となり、前年の4.4%を上回りました。2003年度の第4四半期、日産の成長は加速しました。第4四半期の当社の市場占有率は6.1%となりましたが、前年同期は4.7%でした。

米国における当社の販売実績は、各社のインセンティブ競争が更に激化する中で、実現することができました。私どもは、今まで申し上げて参りましたように、成長を続けるブランド力を犠牲にして、目先の市場占有率を追求することはありません。当社のインセンティブも微増だったものの、日産チャンネルではインセンティブを抑制する一方で、インフィニティ・チャンネルのインセンティブは競合他社の中で最低水準に抑えました。

欧州における販売台数は前年比14.4%増の54万2,000台となりました。2003年度はマイクラを、発売後初めて通期に亘って販売しましたが、17万5,000台の売上を果し、数多くの他社ユーザーの獲得に成功しています。販売の好調な4x4、特にエクストレイルとピックアップが、販売増に寄与しました。

メキシコとカナダを含めた一般海外市場における販売台数は9%増の822,000台でした。エクストレイルが主な牽引役となり、特にオーストラリアでは23.1%の拡販に貢献しました。中国では現地生産の新型サニーによって販売は30.4%伸び、101,000台となりました。

2003年度、当社はグローバルで新型車を10車種投入しました。また、日産は主に二つの事業の発展に成功しました。

米国では日産は自動車業界初の試みを成し遂げました。新しい工場を新たな土地で開設し、新しい従業員によって、予定通り8ヶ月間で新型車を5車種立ち上げたのです。キャントン工場は今や自動車業界の生産立上げのベンチマークとなっています。

中国では東風汽車有限公司を創立しました。私どもは、中国で三番目に大きな乗用車・トラックメーカーへの投資によって、急成長を遂げる乗用車とトラック市場における事業の拡大を目指します。

台湾では新裕隆日産によって、台湾において利益ある成長を目指すだけでなく、中国におけるプレゼンス強化も図ります。

では2003年度の連結決算についてご説明します。

連結売上高は7兆4290億円に達し、前年比8.8%増を果しましたが、これは主に販売台数の増加と、車種構成の改善によるものです。為替レートは、売上高に対し、1,116億円の減収要因となりました。先にご説明したリース会計処理の変更は180億円の減収要因となり、連結対象範囲の変更は230億円の減収要因となりました。

当社の連結営業利益は昨年度から11.9%改善し、8,249億円に到達しました。この数字は、僅か4年前の当社の連結営業利益の10倍に相当します。また、売上高営業利益率は11.1%となり、引き続きグローバル自動車メーカーの間でトップレベルの収益性を実現したのです。

2002年度と2003年度の営業利益8,249億円の増減要因は次の通りです。

  • 2003年度の連結営業利益に対し、為替は480億円の減益要因となりました。
  • 米ドルに対する平均為替レートは、8.8円、円高ドル安の113円20銭となり、1,010億円の減益要因となりました。
  • 対ユーロは13円円安の131円20銭となり、290億円の増益要因となりました。
  • その他の為替通貨は240億円の増益要因となっています。
  • リース会計処理変更は200億円の増益要因となり、連結対象範囲の変更による営業利益への影響は40億円の減益となりました。
  • 2003年度は初めて、台数増と車種構成の改善が最大の増益をもたらし、グローバルで1850億円の増益要因となりました。
  • 販売費は当初予測通り、720億円増加しました。
  • 購買コストの削減は1,830億円の増益要因となり、再び競争力のあるコストベースとサプライヤーとの有効な関係の重要性を物語っています。
  • 商品性の向上と、規制対応に関わるコストは、830億円の減益要因となりました。
  • 研究開発費は540億円増加し、商品と技術の開発の強化を図っています。
  • 生産と物流コストは120億円の減益要因となりましたが、これにはキャントン工場の操業開始に伴うコストも含まれます。
  • 最後に一般管理費とその他経費は273億円増加しました。

では所在地別に見てみましょう。日本事業の営業利益は2002年度の3,906億円に対し、3,525億円となりました。主な要因は研究開発費の増加、為替レートによる輸出の減益と、国内販売の車種構成の悪化です。

米国とカナダの営業利益は2003年度は3,518億円となり、2002年度の2,420億円から上昇しています。大幅な増益は台数増及び車種構成の改善によるものです。

欧州事業の営業利益も倍増し、2002年度の219億円に対し、492億円まで増加しました。台数増と有利な為替レートが収益改善に寄与しました。

一般海外市場については、2002年度の776億円に対し、2003年度は660億円でした。減益要因はメキシコ日産がセントラの対米輸出の減少により減益となったことです。

最後に、地域間の利益の内部消去は、54億円となっております。

営業外費用は152億円となり昨年より120億円減少しました。計画通り、年金の代行部分の返上により費用は100億円減少しております。

既に発表した1,337億円のリースのオンバランスを加えても金融コストは8億円減少し157億円となりました。

結果として経常利益は、8,097億円に達し、2002年度の7,101億円を上回りました。

特別損失は577億円増えましたが、これは主に昨年は村山工場跡地の売却益563億円があったことによるものです。

税引前利益は7,365億円となりました。また税金は2,190億円となり、実効税率は連結ベースで29.7%でした。今年度は34%を見込んでいます。

少数株主持分は2002年度の7億円に対し138億円となりましたが、これは完全子会社となっていない会社の収益改善によるものです。

当期純利益は5,037億円になりました。

昨年度の発表では、キャントン工場とリース負債を加えると自動車事業実質有利子負債は2,683億円となりました。2003年度は営業活動により生み出されたキャッシュは1兆420億円となり、昨年に比べて2,450億円改善しました。

投資活動による支出は4280億円となりましたが、これには527億円の東風汽車への投資が含まれています。残りの東風への投資615億円は2004年度第一四半期に発生する予定です。

財務活動による支出は2,328億円となりました。これには923億円の自己株式取得、746億円の配当支払い、659億円のリース債務の返済等を含んでいます。

為替レート差は1,269億円のキャッシュフロー減少要因となっています。

その結果として自動車事業実質有利子負債の総額は2003年度末時点でわずか136億円に過ぎず、1,500億円以下と言う予想を過達しています。

設備投資は490億円増加し4,270億円となり、売上高比5.8%となりました。三年連続で、設備投資は2桁の伸び率で増加したのです。

研究開発費は3,543億円となり、540億円増加し、新技術および商品開発に使われています。これには増加するハイブリッド車、燃料電池車への投資も含まれています。

将来に備えて大幅な出費があったにも関わらず、自動車事業実質有利子負債を2,500億円以上削減することができました。

当社の投資は投下資本利益率の厳しいガイドラインに沿って行なわれています。日産180の二年目、投下資本利益率の目標20%は達成しました。2003年度の投下資本利益率は21.3%です。

売上高に占める運転資金の比率は3.6%となり2002年の5.8%から改善しました。これは売掛金、買掛金および在庫の管理を強化したことによるものです。

既に発表しましたように、6月23日の定時株主総会では、1株当り19円の年間配当を提案する予定です。

II. 2004年度の予測
日産180の最終年度が始まるにあたり、2004年度の方向性についてご説明したいと思います。

グローバル市場の全体需要は前年比1.7%増の5,880万台を前提に、2004年度の当社のグローバル販売台数は前年比10.5%増の338万台を見込んでいます。

日本国内の販売目標は前年比4%増の87万台です。全体需要は前年と同水準の580万台を前提としています。計画達成に向け、新型車6車種を投入予定です。内訳はムラーノ、ラグジャリーセダン、そして小型車4車種です。

米国の販売目標は16.8%増の100万台を見込んでいますが、全体需要は前年と同水準の1,690万台を前提としています。これが実現すれば、日産は米国で初めて販売台数100万台を突破することになります。販売計画を支えるのは新型車パスファインダー、フロンティア、エクステラおよびインフィニティM45の市場投入です。

欧州の販売目標は53万8,000台で、前年とほぼ同水準となりますが、これは2004年度には新車投入がない為です。欧州の全体需要は前年と同水準の1,940万台を前提としています。

メキシコとカナダを含む一般海外市場の販売目標は97万2,000台で、前年比18.2%増を見込んでおりますが、今回は初めて東風の小型商用車96,000台を織り込んでいます。東風の大型・中型トラックとバスは2004年度に17万9,000台を見込んでおりますが、日産180の100万台の増販と同条件とするため当社の販売台数には加えておりません。

2004年度はグローバルで新型車を9車種発売し、地域別に合計で20の商品イベントを予定しています。大半の新型車の発売が下半期に集中する為、今年の後半から2005年9月にかけて販売は加速するでしょう。日産180の販売台数は2004年の10月から2005年の9月までの期間を対象に計算されます。

2004年度末には当社の販売台数は、日産180の100万台増販の内、783,000台を達成する見込みです。当初発表しました通り、100万台増販のコミットメントを果す予定です。

新たな年にはリスクと好機がつきものです。
リスク要因としては、為替レートの変動、原材料の市況と金利の上昇等があります。一方、プラス要因で最大の可能性を秘めているのは、最終年度における日産180のスピーディーな実行です。

以上を鑑みて、2004年度の業績予測は1米ドル105円、1ユーロ125円を前提に、次の通り、東京証券取引所に届け出を行っております。

  • 連結売上高は前年比10.1%増の8兆1760億円です。
  • 連結営業利益は前年比4.3%増の8,600億円。売上高営業利益率は10.5%を見込んでおります。
  • 経常利益は8,460億円を予想しています。
  • 連結当期純利益は5,100億円となります。
  • 設備投資は4,800億円となる予定です。
  • 投下資本利益率は20%以上を見込んでいます。

本日発表しました為替レートの予測値は、2004年度の営業利益に対し、1,300億円の減益要因に相当しますが、当社は引き続き利益の改善を図ります。これは、日産が更なる潜在能力を秘めている証です。

この予測を立てるにあたり、2003年と同じ為替レートであったと仮定すると、営業利益は9900億円、営業利益率は約11.6%となります。

グローバルに成長を遂げる中、日産は引き続き投資を拡大し、重要な事業の経営権を握ることになります。2004年度は裕隆日産、日産ライトトラック株式会社、そしてサイアム日産が連結子会社となります。

東風汽車有限公司については、持分法から、出資比率相当の50%を連結します。同社からは連結調整後で2500億円の売上、200億円の営業利益を見込んでいます。

III. 日産バリューアップの概要
今年度は日産180の最終年度にあたる為、皆様に2005年度から2007年度までの三ヵ年計画の重要な目標についてお話ししたいと思います。

日産リバイバルプランと日産180の下で日産はグローバルな自動車業界で常にバリューを産み出してきました。当社の時価総額は、1999年3月31日の1兆2000億円から2003年度末には5兆3000億円へと増加しています。当社は今後更に価値を創出することができると考えています。価値、バリューの創出が日産のあるべき姿なのです。

新3ヵ年計画は日産バリューアップと名付けましたが、これまでの計画と、意欲的な内容と言う意味で引けをとりません。日産バリューアップという名前はシンプルで、普遍的な一つの意味があり、コミットメントは数値化されています。

日産バリューアッププランは2005年4月から実施されます。本計画は、成長、持続的な収益性、そして投資収益率に関わる三つの重要なコミットメントから成っています。

ひとつめのコミットメントは、2005年から2007年の三年間で、年間グローバル販売台数420万台を実現することです。

コミットメントの台数は、日産バリューアップの起点にあたる2004年度に対して82万台の伸びに相当し、日産180の三年間における台数増を若干上回ることになります。82万台の増販には、世界中の全ての地域が寄与することになります。目安を申し上げますと、中国を主とした一般海外市場が35万台、米国とカナダが25万台、日本が15万台、欧州が7万台の拡販を果すことになります。日産バリューアップ終了時点で、3大市場国は、米国が120万台以上、日本が100万台以上、そして中国が50万台以上となります。

グローバルな全体需要については、比較的手堅い6,000万台を想定していますが、需要拡大は一般海外市場によるものであり、その大部分を中国市場が占めることになります。

日産180では大幅な台数増を実現しましたが、それは日産バリューアップでも同様です。しかし、更に飛躍的な上昇を見せたのは、台数増に伴う、グローバルな市場占有率です。2001年度の当社の市場占有率は4.7%でした。2003年は5.3%となりました。日産バリューアップで想定しているグローバルな全体需要を前提にすると、2007年度には7%に到達することになります。つまり、私どもの市場占有率は、会社の実力で、競争力のある商品に支えられて上昇するのであり、全体需要の伸びに頼ったものではないということです。

拡販を支えるのは商品投入計画であり、日産バリューアップでは、28の新型車を発売予定で、日産180と同様の新車攻勢を行うことになります。多くの現行車のモデルチェンジを予定しております。また、新型車28車種の内、7車種、又は四分の一が、現行車に対しして、より革新的なコンセプトやお客様へのメリットを有しています。また、多くの車種の仕向け地を拡大します。例えば、次期型キューブと次期型スカイラインGT-Rはグローバルカーとなります。

日産バリューアップのふたつ目のコミットメントは業界トップレベルの収益性を維持することです。つまり、日産バリューアップの三年間、二桁台の営業利益率を維持することになります。

最後に三つ目のコミットメントである、投下資本利益率は、日産バリューアップの三年間、20%以上を維持します。

日産180と同様に、日産バリューアップの三年間の配当政策についても、6月23日の定時株主総会で発表する予定です。経営陣には、株主の方々に、株価を支える為に配当計画を開示し、グローバルに競争力のある配当政策を提案する信用上の責任があります。日産バリューアップではその両方を果すことになります。

日産バリューアップを支える提案は、14の戦略タスクチーム、STT(Strategic Task Team)が策定しました。当社は4つの「ブレイクスルー」、即ち打開策を設定し、会社の成長と収益性の最大化を図ることを決定しました。「ブレイクスルー」とは、現行のビジネス体制、マネジメント、業績等を打破する方策であり、その実行には考え方や姿勢を大きく変えなければなりません。

いくつか具体例を挙げましょう。

一つ目のブレイクスルーは、インフィニティを一流のラグジュアリー・ブランドとしてグローバルに展開することです。89年の導入以来、インフィニティは主として米国で展開し、着実に独創的且つモダンで高性能な商品と、ひとりひとりのお客様に対応した先進的はサービスを提供するブランドとしてのイメージを築き上げてきました。近年のインフィニティの業績は、インフィニティが今やグローバルなラクジュアリー市場において、対等に渡り合える力をつけたことを物語っています。

現在、インフィニティが日産のグローバルな販売台数に占める割合は4%ですが、売上高に占める割合は8%、そして連結営業利益に占める割合は12%です。

先月、当社はソウルに韓國日産株式会社を設立し、2005年中頃からインフィニティを販売する予定です。また、日産バリューアッププランの期間中に、インフィニティを日本、中国、ロシアに導入し、その後、西欧でも販売することになります。

日本国内では、販売網の再編を行い、明確化したインフィニティ・チャンネルの導入に備えて、専門の系列、又は店舗による販売を検討する予定です。現行のブルーとレッド・ステージの体制を明確化することで、日本のお客様にとって、より魅力ある販売体制を確立しなければなりません。

二つ目のブレイクスルーは、事業を、地理的に大幅に拡大することです。1999年以来、成長に向けて一般海外市場に投資を行なってきました。

中国の東風との合弁会社は、日産180ではブレイクスルーの一つでしたが、日産バリューアップではかなりの成長を実現することになります。

アセアン商圏では、タイを戦略的な拠点として位置付け、タイ事業を子会社化し、連結対象としました。

中近東では、インフィニティの商品等、新型車10車種を投入します。エジプトでは大幅なプレゼンス拡大を目指し、既存の工場を買収し、整備し、エジプト、及びその周辺諸国における販売・マーケティング活動を強化します。

現在当社のプレゼンスが少なく、しかも南アフリカに集中しているアフリカ大陸全体にも注意を向けます。

ロシアでは新規に設立した販売会社の事業拡大を図ります。

インドとパキスタンも新たな好機を生み出すでしょう。

三つ目のブレイクスルーは、リーディング・コンペティティブ・カントリー、即ち競争力のある国々からの部品及びサービスのソーシングに関わる内容です。今まで、当社の調達先は日本、北米、欧州の従来のサプライヤーが圧倒的な割合を占めていました。今後の成長の大部分が中国と一般海外市場で見込まれることから、コスト競争力と、サプライヤーへの効果的な対応が、成長と収益性を左右する重要な要素となります。

お客様の満足に関わる分野でのブレイクスルーについても検討しています。

最後のブレイクスルーの候補に上がっているのは、小型商用車に関わる取組みです。小型商用車は世界中で成長を遂げているセグメントですが、今まで当社には小型商用車事業を支える、焦点を当てた、適切な組織体制がありませんでした。しかし、4月1日に、私どもはLCV事業本部を新設し、グローバルに、特に日本、中国、そして欧州を重点的に、小型トラックの生産と販売を手がけることになります。

小型商用車事業を強化する必要性は数字にも表れています。日産がグローバルで販売する74車種中、20車種、つまり28%が小型商用車です。しかし、これは当社の販売台数の僅か7%に過ぎず、営業利益に到っては、その割合は4%以下であります

まとめ
日産リバイバルプランの目的は、会社の磐石な基盤を作り、将来に向けての投資をすることでした。日産180では、利益ある成長を目指しました。日産バリューアップは、成長を続け、利益率を維持することを目的としています。

当社が目指すのは、利益率だけでも、成長だけでもありません。その両方なのです。自動車産業の固定観念がまたひとつ変わりました。成長と利益を両立することは可能なのです。

日産が目標を発表するたびに、達成は無理だろうという声があがりました。その都度、当社が目標を達成すると、目標はた易いものだったのだと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、結果が全てを物語っています。日産はひきつづき業界トップレベルの利益率を維持しているのです。

CEOとして、私は日産バリューアップに、日産リバイバルプラン、日産180と同様に深く関わって参りました。日産バリューアップの期間中に、ルノーのCEOを兼務することになりますが、日産のCEOとして、本日発表しましたコミットメントの達成について、全責任を負うことをお約束します。私は非常勤のCEOではなく、むしろ、2つの責務を負った常勤のCEOなのです。

今も、そしてこれからも変わらない一つの事実についてお話ししましょう。99年に始まった日産の方向性に変わりはありません。99年、私どもの夢は、利益ある成長を実現し、グローバルな自動車業界において、ルノー日産アライアンスとして、主要なグローバル・メーカーになることでした。

ルノー日産アライアンスの5周年記念を迎える今年、当社のビジョンに変わりはありません。今まで果した成長は、考え抜かれた計画を、大胆に実施した結果です。日産は確かに、社会、社員、株主の方々、そしてお客様にとって大きな価値を創出しています。

私どもは、本日お披露目したティーダを始め、それぞれの新型車を通じて、最高のものをご提供したいと考えています。日産の社員は実力を発揮しています。誇りと献身を取り戻した日産は、引き続き人々の生活を豊かにすることを目指す所存です。当社は正しい方向に進んでおります。私どもは引き続き力強いバリュー・アップを目指します。

ご静聴、ありがとうございました。


以上