メッセージ

「A to Z」! NISSAN NEXT発表の当初から使っているこのシンプルな表現は日産自動車のラインナップを的確に表現しています。私たちの手掛けていくデザインは多様性をもって大きく広がり、実際のところ商品の数では私達は他社に及びませんが、その形や美しさ、コンセプトははるかに幅広く、奥深いものになっています。

この、真の多様性、創造性、そして世界中のお客様の夢をデザインの中に反映するという日産の戦略は私たち日産のデザイナーとしての最大の強みであり、また果たすべき責任だと考えています。私たちの作るクルマを愛して下さる皆さんそれぞれの個性を反映させながら自らの形を作っていくというカルチャーは、カーデザインの世界では大変ユニークなのではないでしょうか。面白いことに、数十年をかけて深く根付いたこの多様性は、今やニッサンとインフィニティ両ブランドに革新とイノベーションをもたらす日産デザイン独自のカルチャーとなっています。多様なビジュアル表現がある中、ブランドとして独自のまとまりをみせる、その2つを両立した風土の中で私たちはクルマをデザインしているのです。

私達はすべてのクルマにニッサンやインフィニティとしての自由な表現が感じられるように、自分たちの哲学や「どうやってデザインするか」の理解を深めると共に、果てしなく高いレベルまで進化させていかなければなりません。私達にはデザインの豊かな歴史があり、ニッサンやインフィニティに期待される未来を実現するために、初心を忘れず謙虚でありながらも貪欲な挑戦者であり続けるのです。

日産自動車株式会社
シニア・バイス・プレジデント

Alfonso Albaisa

デザインはお客様を満足させるための行為であって、自己表現が目的ではありません。しかし、ただお客様を満足させるのではなく、驚きをもって満足していただくために、独自の発想や比類なき(無類、唯一無二、独特な)表現が(会社として個人として)常に有る事を志しています。日産デザインでは、当社創業者である鮎川義介の言うところの「他がやらないことをやろうとする」アプローチ、を「カブク(傾く)」と表現します。

これは想像もできない変化が日々起こる今の時代を生き抜いていくために、生き抜ける人々を育てるために、そして日産らしくあるために、最も大切な考え方であり、また生き抜こうという気概をもち、日々エネルギッシュに活動されているお客様にも私たちがお届けすべきものだと思っています。

デザインは多くの共同作業を必要としますが、一方デザインコンペティションの中において、誰かのアイデアが選ばれる(=ほかは敗者となる)という意味において、全員が勝者とは成り得ない仕事です。
そんな切磋琢磨を是とし、より幅広くアイデアを生み出せる組織は強いし、その中から生き残ったアイデアは強いし、選ばれないアイデアも全体を強くすることに貢献しています。

激動の世の中をよく観察し、分析し、お客様の声にもしっかりと耳を傾けながら、「そう来るとは思わなかった、いいね!」と言われるデザインを引き続き目指したいと思います。

日産自動車株式会社
エクゼクティブ・デザイン・ダイレクター

田井 悟