• 伊藤嘉津美
  • NPW

2022年9月12日

オンラインコンサルティングについて思うこと

ここ1、2年、オンラインでコンサルティングを行う機会が多くなりました。
離れた場所で論議することに関してはテレビ会議が何十年も前からあるわけですが、会議室を出て現場に出るということに関してはwebカメラやタブレット端末などの通信機器やオンライン会議アプリがあればこそ可能になったことではないかと思います。

オンラインコンサルティングのメリットはいくつかありますが、やはり距離と時間という物理的要素で発生するロスを削減できるということでしょうか。現地への移動時間をクライアント様の支援の準備やサポートに使うことができますし、お互いのスケジュールの調整がしやすいので、クライアント様の都合に合わせた活動時間や活動頻度でコンサルティングを行うことができます。お金の話で恐縮ですがクライアント様に負担していただいている現地までの往復交通費も削減されます。

一方、私たちが提供しているコンサルティングサービスは生産現場の改善ということですので、現場に行かず現物や現実は画面を通して見ることになり、古くから三現主義という現場・現物・現実を把握してアクションを起こすべしという、私たちの生産現場の改善活動で大事にしている教示からは外れてしまいます。現地に赴いてのコンサルティングが一番良いことに変わりありませんが、ここ1、2年の経験から工夫次第で現場に行かずともオンラインでの支援が可能だという感触が得られてきたところもあり、オンラインで『できる・できない』の条件について思うところを3点ほどお話したいと思います。

一点目は活動のステージがどの段階にあるかという点です。現状把握という活動初期はやはり現地で実施したいものです。現場の課題・問題をコンサルタントの頭にインプットすることやクライアント様の活動メンバーとお互いの人となりを知って以降のコミュニケーションを円滑に行うためにも現地での実施が必要だと思います。活動がある程度進捗して会議室での論議が中心になるような回はオンラインで問題ないと思います。

二点目は取り組む改善テーマによって適不適があるということです。不適の筆頭テーマは5Sや工程間をまたがるようなレイアウト変更です。これは現状把握だけでなく、方策検討や実行段階においても現場に行ってコンサルタントの視野で実際のモノを見なければ的確なアドバイスはできないと思います。特定の工程の作業改善やそれに伴う小規模なレイアウト変更などは画面越しの観察でもさほど不自由は無いと感じています。

三点目はコンサルタントのスキル・経験によるところが大きいと考えています。オンラインでは画面を通した映像や活動メンバーからの情報で進めていくので、現地を訪問する場合以上に事前準備として仮説を立ててコンサルティングに臨むことが大事であり、先手先手で活動をリードするには様々な業種・工程の知識経験がものを言います。なお私たちに関しては個々のスキル・経験に加え日産自動車内の組織なので直近の事業環境の中でどのような問題が発生しどのように対処しているのかということを見聞きしており、それらを踏まえた最新の知見で改善の提案できることもひと言付け加えておきたいと思います。

他にもオンラインコンサルで「できる・できない」の条件はあると思いますが、様々な場面でオンラインが普及してきた現在や、より臨場感のある情報技術が出てくるであろう将来においては、私たちのサービスもそれに合わせた工夫が必要と考えています。
個人的にはクライアント様を訪問するのが好きですし、その工場や活動メンバーの前に立ったほうが「よし!やるぞ!」という気持ちが入るというのは正直ありますが、クライアント様の要望を踏まえ、その時々の最善の方法を模索し、改善活動を効率よく進め最大効果を出せるように様々なスタイルで私たちのサービスを提供していきたいと考えています。