• 野水靖二
  • 保全

2022年4月25日

保全コンサルティングで心掛けていること

私は、コンサルタントをやりながら、思うことがいくつかありますので、それについてお話ししたいと思います。
気楽に読んでいただきたいですね。

もう亡くなりましたが、私の父は教職一筋に勤め上げた人でした。
中学の教師でクラスを担任していた時は私の家の近くに山があり、
といっても歩いて上るには2時間はかかっていたような600mほどの山がありましたので、
気候がいい日曜日には、生徒をひとクラス連れ立って山登りを引率し、帰りには「だご汁(※)」を準備してふるまい、生徒を帰宅させるような人柄でした。
だご汁は「だんご汁」から来た言葉で、野菜が沢山入っていて栄養満点で家庭ごとに味が異なり、
今でも故郷を思い出すソウルフードです。
その父から、自分自身の教訓からか、私に二つのことを心に銘じておくように若いころ言われていました。

一つは「馬の後ろと保証人には立つな」と。
実際先祖が保証人になって家をなくした、痛い目にあったことから来た教訓だと言っておりました。
家族と自分の一生を台無しにするからなと。
まあ、確かに馬の後ろに立っては、いつ蹴られて大怪我をするかわかりませんからね。
これは家訓として代々受け継ぐようにと。江戸時代のようですが本当です。

もう一つは、「情を尽くして、すじを通す」
多分、いろいろな人と接触することが社会人になれば多くなるでしょうが、誠意をもって人に接し、誠心誠意、事に当たれば、その心が通じるように徐々になっていく。
その中で教育のすじや人としてのすじ、などを自分で築き上げてすじはきちっと通すように心がければいいと、言っていたような気がします。
教育者であった亡き父ですから、教育のすじだけは外さなかったのでは、ないでしょうか。

私はその二つ目の教訓が頭に残っていまして、コンサルを進めるとき、まさしくコンサルは教育ですので、
その基本として「情を尽くして、すじを通す」ことを心がけています。

コンサルは、お客さまの要望に応えて戦略と成果を出すのが、業務です。
しかし、仕組み、ルール、企業文化が日産とは違うのは当然です。
最初から相手を無視して進めるわけには行かず、結構悩みましたね。
しかし、先ずは話を聞く精神で進めました。日産流に合わせる必要はないのです。

ただ、日産が経験してきた良い保全管理の進め方、考え方の論理を体験していただき、それをお客さまの中で構築して実践していただくように心がけています。
そういう中で明らかに大事な正しい論理だけは、外さない様に「すじを通す」ことを心がけています。
先ずは、お客さまの悩みを少しずつ紐解かせてもらっています。
ベクトルが合うお客さまに当たると、いつも以上にがんばってしまう私がいます。

あるメーカーの人から、「故障が減って、保全の仕事に余裕が出来て、計画的に進められるようになりました。休日が家族と過ごせるようになりました。」というお声をいただきました。嬉しかったですね。
また、あるメーカーの人からは、「良い仕組みづくりが出来て、組織の垣根を超えた新しい戦略活動が出来たことから、会社で発表したところ格別の賞をもらいました。」と。
相手様の喜びのお手伝いが出来た場合は、コンサル冥利に尽きますね。

若いころ、教職には就職したくないと思っていましたが、何となく誰かの後をついて行っているような気がしてなりません。
これからも、「情を尽くして、すじを通す」精神を継続しそうです。

※だご汁
熊本県の郷土料理。小麦を練った団子と肉や野菜を味噌や醤油で煮た料理。

出展:農林水産省Webサイト
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/dagojiru_kumamoto.html