• 武尾裕司
  • NPW

2020年12月21日

The power comes from inside
(すべては一人ひとりの意欲から始まる)

The power comes from inside(すべては一人ひとりの意欲から始まる)

この言葉のニュアンスを正しく伝える日本語はなかなか難しいです。
これは、日産が20年前に経営危機に陥り、その後V字回復した直後に生まれた言葉です。 私はこの言葉が好きです。今でも。
ちなみに社内では、「すべては一人ひとりの意欲から始まる」と表現しています。

当時の日産を知る人はかなり少なくなったと思いますが、当時の新しい経営者のもとで、次々と復活に向けた新たな改革がミドル層から提案されて短期間で実行されました。そしてその際のやり方を手法化して活用し、その後数年間で非常に大きな変革を遂げたと実感しています。マネジメントはもちろん、モチベーションとコミュニケーションの相乗効果によって、生まれ変わったと思えるくらいの変化が起こりました。

当時の経営者が日本にやってきてまず行ったことは、現状を数字で見るだけでなく、あらゆる現場に何度も出向いて第一線の話を聴き、彼らが何を考え何を思っているのかを深く確認したことでした。そこでわかったことは、現場は潜在的に意欲をしっかり持っているということでした。これが、その後The power comes from insideという言葉につながったと言われています。

今の日産は再び危機に陥っていますが、OBの身となった今、この言葉通り、必ず復活すると信じています。

そして、この言葉は、我々のコンサルの現場でも生きています。
私は、ものづくり改善を担当していますが、いくつもの工場や事業所を訪問して思うことは、
そのほとんどが実は潜在力を持っているということです。
現場の監督者や若手作業者の中には、理解力があり、情熱や思いを持っている方々が実は多数おられます。普段はあまり発言しない方もいらっしゃいますが、そのような方々の思いや考えを引き出すことが大変重要と考えています。
逆に、例えば、あることを実現する上で、強く反対される方もいます。いわゆる抵抗勢力です。抵抗勢力の特徴はパワーを持っているということです。その場合には、目的を再確認しながら、Healthy conflict (健全な対立)を推奨して進めます。抵抗勢力だったメンバーがある気付きで豹変し、むしろ積極的な推進役になって成功したケースもあります。

The power comes from insideとは、外から言われた「こうあるべき(should be)」で進めるのではなく、「こうありたい(want to be)」をいかに創り出し具体化し、その実現に向けた手順を引き出すかが重要だ、ということを教えている言葉だと思っています。